住宅ローン

家を売るときにかかる費用は?

費用の多くは決済の日にまとめて出ていきます。一日のうちに全部が動くので、内訳を知らないと何が引かれたのか分かりません。

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この記事の要点

  • 売却の諸費用は、おおよそ売却価格の4%から6%です。
  • 大半は仲介手数料で、内訳の8割を超えることもあります。
  • 仲介手数料の「3%」は相場ではなく上限で、400万円を超える部分にだけかかる率です。
  • 仲介手数料は契約時に半分、引き渡し時に半分という形が一般的です。
  • 譲渡所得税と住民税は、売ってから1年半ほど先まで支払いが続きます。

売値がそのまま手元に来るわけではない

家が3,000万円で売れたとして、3,000万円が手元に入るわけではありません。 売るためにかかる費用と、住宅ローンの完済額が引かれます。

費用の多くは決済の日にまとめて出ていきます。 売却代金が振り込まれ、そこからローンを返し、仲介手数料を払い、 登記の手続きをして、残った分が手元に来ます。 一日のうちに全部が動くので、事前に内訳を知らないと何が引かれたのか分かりません。

手残りと税金は、引くものが違う売却価格から、何を引くか手元に残る現金ローン完済額売却の諸費用税金残る現金税金をかける利益買ったときの値段売却の費用特別控除残りが利益ローンの残高は、上では引き、下では引きません買ったときの値段は、下では引き、上では引きません
同じ売却でも、現金の計算と税金の計算では引くものが違います。住宅ローンの残高は手残りからは引きますが、利益の計算からは引きません。逆に、買ったときの値段(取得費)は利益からは引きますが、手残りからは引きません。

ここで扱うのは、上の図でいう「売却の諸費用」の中身です。 税金の計算とは別の話で、こちらは実際に現金として出ていくものです。

売却の諸費用は、おおよそ売却価格の4%から6%に収まることが多いものです。 内訳の大半は仲介手数料で、残りは印紙税と登記の費用です。

割合で覚えるより、項目で覚えるほうが使えます。 項目さえ分かっていれば、自分の売却価格から金額を出せますし、 見積もりに知らない項目が入っていたときに気づけます。

仲介手数料

不動産会社に買い手を探してもらう費用です。 諸費用のなかでいちばん大きく、多くの場合は全体の8割を超えます。

よく「3%」と言われますが、これは相場ではなく上限です。 法律にもとづく告示で、これを超えて受け取ってはならない額が決まっています。 しかも3%がかかるのは、価格のうち400万円を超える部分だけです。

  • 200万円以下の部分 … 5%(税込5.5%)
  • 200万円を超え400万円以下の部分 … 4%(税込4.4%)
  • 400万円を超える部分 … 3%(税込3.3%)

区分ごとに分けて計算し、足します。 価格全体に3%をかけるのではありません。 3,000万円の家なら、税込でおよそ105万円です。

「3% + 6万円」という簡便式をよく見かけます。 400万円を超える物件では上の計算と同じ額になるので、 使っても差し支えありません。400万円以下では合いません。

上限であって定価ではないので、交渉の余地はあります。 ただし手数料を下げると、広告にかける費用や営業の優先度が下がることもあります。 安く売れてしまえば、手数料で浮いた分は簡単に消えます。 金額そのものより、どう売ってくれるのかを確かめるほうが大事です。

払うタイミングも知っておくと、資金の計画が立てやすくなります。 仲介手数料は売買契約のときに半分、引き渡しのときに半分という形が 一般的です。契約から引き渡しまでは1か月から3か月ほどあくので、 契約の時点でまとまった額が必要になります。 売却代金が入るのは引き渡しの日なので、最初の半分は自分の手持ちから出すことになります。

もうひとつ、覚えておくと得なことがあります。 売るためにかかった費用の多くは、 税金を計算するときに譲渡費用として利益から引けます。 仲介手数料、売買契約書の印紙税、売るために行った測量や解体の費用が該当します。 領収書は捨てずに取っておいてください。

一方で、引けないものもあります。 抵当権を外す費用、住宅ローンの繰上返済手数料、引っ越し費用、 修繕のうち売却と直接の関係がないものは、譲渡費用に入りません。現金としては出ていくのに、税金の計算では引けないという項目があることは、 押さえておいてください。

価格が800万円以下の物件には別の上限があります。 上の計算を超えて、税込33万円まで受け取れることになっています。 「空家等の特例」という名前ですが、使用の状態は問われません。 住んでいる家でも、価格が800万円以下なら対象です。

価格ごとの上限額は仲介手数料の上限に、出典と確認日を付けて置いています。

売買契約書の印紙税

売買契約書には収入印紙を貼ります。 額は契約金額で決まり、いまは軽減措置が適用されています。

3,000万円の家なら1万円、6,000万円なら3万円です。 金額としては大きくありませんが、内訳を数えるときに抜けやすい項目です。

売買契約書は売主と買主がそれぞれ1通ずつ持つのが一般的で、 その場合はそれぞれが自分の分の印紙を負担します。 1通だけ作って写しを持つ形にすれば、印紙は1通分で済みます。 どちらにするかは契約の当事者で決めることです。

軽減措置には期限があります。 期限を過ぎて作られた契約書は本則の額に戻るので、 税額は不動産売買契約書の印紙税で確かめてください。判定するのは契約書を作った日で、引き渡しの日ではありません。

抵当権を外す費用

住宅ローンが残っている家には、金融機関の抵当権がついています。 売るときには、これを外す手続きが必要です。

かかるのは登録免許税と、司法書士に頼む場合の報酬です。 登録免許税は不動産1個につき1,000円で、 土地と建物で2個と数えるので2,000円になることが多いものです。 司法書士の報酬は、1万円台から3万円程度が目安です。

このほか、住宅ローンを期限前に全額返すことに対して、 金融機関が繰上返済の手数料を取ることがあります。 無料のところもあれば、数万円かかるところもあります。 固定金利の期間中だと高くなる場合があるので、 売ると決めたら早めに金融機関に確かめてください。

マネック(案内役):繰上返済の手数料は、借りている銀行によってぜんぜん違うの。 「いくらですか」と一度聞いておくだけでいいよ。

住宅ローンの残高そのものは費用ではありませんが、売却代金から返すので、手元に残る現金は大きく減ります。 そして売却価格がローン残高と諸費用の合計に届かなければ、 差額を自分の現金で埋めることになります。

売れても、ローンを返しきれないことがある売却価格が足りている場合売却価格ローン+諸費用手元に残る売却価格が足りない場合(オーバーローン)売却価格ローン+諸費用現金で埋める
売却価格がローン残高と諸費用の合計に届かないと、差額を自分の現金で埋めることになります。これをオーバーローンといい、埋められなければ通常の売却はできません。

この状態をオーバーローンといいます。 埋める現金がなければ、通常の方法では売れません。 くわしくは住宅ローンが残っている家は売れるかに書いています。

場合によってかかるもの

ここまでは、ほとんどの売却でかかるものです。 次は、物件や事情によってかかるものです。

  • 測量費 … 土地の境界がはっきりしない場合に必要になります。数十万円かかることがあり、諸費用のなかでは大きな部類です。
  • 建物の解体費 … 古い家を更地にして売る場合。木造の戸建てで100万円を超えることもあります。
  • ハウスクリーニング・残置物の処分 … 数万円から十数万円。引き渡しの条件によります。
  • 引っ越し費用 … 売却そのものの費用ではありませんが、住み替えなら必ずかかります。仮住まいが要るなら、その家賃も。
  • 譲渡所得税 … 利益が出た場合にかかります。ただし納めるのは翌年で、決済の日ではありません。
測量と解体は、金額が読みにくく、期間もかかります。 必要になりそうなら、売り出す前に見積もりを取ってください。 売買契約を結んだあとで判明すると、引き渡しの期日に間に合わないことがあります。

譲渡所得税だけは、他と払うタイミングが違います。 決済の日ではなく、売った年の翌年の確定申告で納めます。売却代金を使い切ってしまうと、翌年に払えなくなります。住民税はさらに遅れて、その年の6月以降に通知が来ます。

お金が出ていく順番

費用の合計だけ分かっていても、いつ出ていくのかを知らないと資金が回らないことがあります。 売却の流れに沿って並べてみます。

まず売り出す前に、測量や解体が必要ならここで出ていきます。 数十万円から百万円を超えることもあり、 しかもこの時点では売れる保証がありません。 売り出してから買い手がつかなければ、費用だけが出た状態になります。

買い手が決まって売買契約を結ぶときに、 印紙税と、仲介手数料の半分を払います。 このときに買主から手付金が入るので、 そこから払えることが多いのですが、 手付金の額は売買代金の5%から10%程度が目安です。

引き渡しの日に、残りの代金が振り込まれます。 同じ日に住宅ローンを完済し、抵当権を外し、 仲介手数料の残りと司法書士の報酬を払います。 ここで手元に残った額が、最終的に自由に使えるお金です。

そして翌年に、譲渡所得税の確定申告があります。 さらにその年の6月以降に、住民税の通知が来ます。売ってから1年半ほど先まで、支払いは続きます。引き渡しの日に残った現金を全部次の家に入れてしまうと、 翌年に税金を払えなくなります。

合計でどのくらいになるか

3,000万円で売る場合の、標準的な内訳を並べてみます。

  • 仲介手数料 … 約105万円(税込)
  • 印紙税 … 1万円
  • 抵当権抹消の登録免許税 … 2,000円
  • 司法書士報酬 … 2万円前後
  • 繰上返済の手数料 … 0円から数万円

合計で110万円前後、売却価格の約3.7%です。 ここに測量や解体が入ると、一気に増えます。 冒頭に書いた「4%から6%」という幅は、 こうした追加のぶんを見込んだものです。

諸費用の大半は仲介手数料です。 他の項目をいくら削っても、全体はあまり変わりません。 見積もりを見るときは、まずここが上限を超えていないかを確かめます。

自分の売却価格での内訳は、自分の金額で、諸費用と手元に残る額を計算するで出せます。ローンの完済額と譲渡所得税まで引いた現金が並びます。

よくある質問

仲介手数料は値切れますか?
上限であって定価ではないので、交渉の余地はあります。ただし手数料を下げると広告費や営業の優先度が下がることもあります。安く売れてしまえば浮いた分は簡単に消えるので、金額よりどう売ってくれるかを確かめるほうが大事です。
売却の費用は、税金の計算でも引けますか?
一部は引けます。仲介手数料、売買契約書の印紙税、売るために行った測量や解体の費用は譲渡費用として利益から引けます。抵当権抹消の費用、繰上返済手数料、引っ越し費用は引けません。

参照した一次情報

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