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プラチナとは?

「金より希少なのに金より安い」と言われます。採れる量が少ないのは事実ですが、希少さがそのまま値段にはなりません。

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この記事の要点

  • プラチナの需要は自動車・工業・宝飾・投資に分かれ、いちばん大きいのは自動車向けです。
  • 排ガス浄化装置に使われるため、ガソリン車が減れば長い目で見た需要も減ります。
  • 供給は南アフリカなど限られた国に集中していて、産地の事情がそのまま値段に出ます。
  • 金と違い、中央銀行が資産として買う金属ではありません。値段を支える力がその分弱くなります。
  • かつては金より高い金属でしたが、その関係は逆転したまま続いています。戻る保証はありません。
  • 高値を付けたあと、10年以上その水準を下回り続けた期間があります。
  • 持っているあいだ、配当も利息も生みません。待っているあいだも保管料や経費は引かれます。

結論から

プラチナは、需要の大きな部分を自動車が占める金属です。 宝飾品のイメージが強いですが、値段を動かしてきたのは主に工業の需要でした。 金と同じく、持っているあいだは配当も利息も生みません。

「金より希少なのに金より安い」という説明を見かけます。 採れる量が少ないのは事実ですが、希少さがそのまま値段の高さになるわけではありません。 値段を決めるのは、採れる量と使われる量の関係です。

この記事では、プラチナが何に使われている金属なのか、 どこで採れるのか、そして過去に何が起きたのかを整理します。

何に使われている金属か

プラチナの需要は、大きく4つに分かれます。 自動車、工業(化学や医療など)、宝飾品、そして投資です。 このうちいちばん大きいのは自動車向けで、 ガソリン車やディーゼル車の排ガスを浄化する装置に使われます。

  • 自動車:排ガス浄化装置の触媒
  • 工業:化学プラントの触媒、ガラス製造、医療機器
  • 宝飾品:指輪などの装身具
  • 投資:地金・コイン・ETF

ここが投資判断に直結します。 自動車の需要が大きいということは、ガソリン車が減れば、長い目で見た需要も減るということです。 電気自動車には排ガス浄化装置が要りません。

マネック(案内役):「結婚指輪の金属」という印象が強いけど、値段を動かしているのは工業の側なんだ。 宝飾品の売れ行きより、自動車の生産台数のほうが効いてくるよ。

触媒には、プラチナのほかにパラジウムも使われます。 この2つは用途が重なる部分があり、一方が高くなりすぎると、もう一方へ置き換える動きが出ます。 自動車メーカーは値段の差を見ながら配合を変えるため、 プラチナの需要は「自動車が何台つくられたか」だけでは決まりません。 パラジウムとの値段の関係も効いてきます。

供給の側にも、鉱山以外の経路があります。 使い終わった自動車の触媒から回収されるリサイクルです。 値段が上がると回収が進んで供給が増えるため、 値上がりにはそれ自体が上げ止まりの力を生む面があります。

反対に、水素を使う技術や化学分野での新しい用途が増えれば、 自動車の減り方を補う可能性もあります。 ただし、それがいつどれだけ増えるかは分かりません。見通しを根拠に買うなら、その見通しが外れた場合まで考えておいてください。

採れる場所が偏っている

プラチナの供給は、限られた国の鉱山に集中しています。 とくに南アフリカの比重が大きく、そこにロシアなどが続きます。 金や銀に比べると、産地の偏りがはるかに強い金属です。

偏っているとどうなるか。 その国の事情が、そのまま値段に出ます。 鉱山の労働争議、電力不足、政治の変化、輸出をめぐる制裁。 どれも会社の業績とは関係のないところで起きて、供給を止めます。

供給が止まれば値段は上がります。つまり、プラチナの値上がりは、良くない出来事をきっかけに起こることがあるということです。 持っている側にとっては利益でも、原因は歓迎できるものとは限りません。

産地が偏っている資産は、値段が跳ねやすい一方で、 いつ跳ねるかは誰にも読めません。 「そのうち供給不足になるから上がる」という説明は、 いつ上がるかを言っていない点に注意してください。

需要と供給の状況は、業界団体が四半期ごとにまとめて公表しています。 数字は毎回動くので、記事の中で覚えるより、 気になったときに一次情報を見に行くほうが確実です。

金より安い、が続いてきた

かつてプラチナは金より高い金属でした。 希少で、工業でも必要とされ、宝飾品としても金より格上とされた時期があります。 その関係は、いまは逆転しています。

理由は1つではありませんが、需要の構成が大きく効いています。 金は世界中の中央銀行や投資家が資産として買います。プラチナにはその買い手がいません。 工業の需要が細れば、値段を支える力が弱くなります。

金プラチナ
需要の中心投資・宝飾自動車・工業
中央銀行が買うか買う買わない
産地の広がり世界各地南アフリカなどに集中
採れる量多い少ない
持っている間の収入なしなし

「本来は金より高いはずだから、いつか戻る」という見方があります。 それは1つの考え方ですが、戻る保証はどこにもありません。 需要の構成が変わった結果としての値段だと考えるなら、 元の関係に戻る理由も無いことになります。

金そのものについては金(ゴールド)とは?で扱っています。比べて考えるなら、先にそちらを見ておくと整理しやすくなります。

戻らなかった期間がある

プラチナには、高値を付けたあと10年以上その水準を下回り続けた期間があります。 「いつか戻る」と考えて持ち続けた人が、長く報われませんでした。

持っているあいだにお金を生む資産と、生まない資産資産の種類持っているあいだ増える理由株式配当値上がり+収入債券利息値上がり+収入不動産・リート家賃値上がり+収入金なし値上がりだけビットコインなし値上がりだけ下の2つは、値段が動かなければ1円も増えない
株式・債券・不動産は、値段が動かなくても持っているあいだに配当や利息、家賃が入ります。金とビットコインは何も生まないので、増えるのは値段が上がったときだけです。減る側も同じで、値段が下がればそのまま減ります。

ここで効いてくるのが、収入を生まないという性質です。 株式なら、株価が戻らなくても配当が入ります。 債券なら利息が入ります。 プラチナは待っているあいだ、何も入ってきません。 むしろ保管料や経費のぶん、少しずつ減ります。

どこから数えるかで、同じ指数でも答えが変わる好調な時期から数える大きく増えた高値の直前から数えるほとんど増えない暴落の直後から数えるとても大きく増えた
始まりの月を変えるだけで、同じ指数から別の結論が出ます。過去のリターンを読むときは、いつからいつまでを数えたのかを必ず見てください。都合のよい期間を選べば、都合のよい数字が出ます。

過去の実績を見るときは、どの年を起点にするかで答えが変わります。 下げ切ったあとから数えれば良い数字になり、 高値の直前から数えれば厳しい数字になります。同じ資産でも、切り取る期間で結論が反対になります。

自分が入れようとしている金額で、過去にどうなっていたかは試算できます。自分の金額で、下げた時期も含めて確かめると、途中でいちばん低かった月まで合わせて出ます。

年ごとに何%動いたかはプラチナの年間騰落率に並べています。良い年だけを切り取らず、下げた年も並べ替えずに出しています。

買い方と、かかる費用

日本からプラチナを持つ方法は、おおむね次の3つです。 値動きは同じですが、費用と手間が変わります。

方法費用のかかり方気をつけること
地金・コイン売買の差と保管買う値段と売る値段に差がある
純プラチナ積立買付手数料と年会費少額から始められるが、費用の率は高めになりやすい
ETF・投資信託毎年の経費証券口座で完結する。現物は受け取らない

どの方法でも、持っているだけでは増えません。 増えるのは値段が上がったときだけで、 その間も保管料や経費は引かれ続けます。 値段が動かなかった年は、その分だけ確実に減ります。

宝飾品として買ったものを資産として数えるのは、勧めにくいところがあります。 加工の費用が値段に乗っているため、売るときには金属としての値段までしか付きません。 投資として持つなら、地金かETFなど、金属そのものの値段で売買できる形を選んでください。

マネック(案内役):「持っているだけで増えない資産」は、いつ売るかを先に決めておくほうがいいんだ。 値上がりを待つ期間が長引くほど、費用のぶんは静かに積み上がっていくからね。

資産全体の中での置き方も、先に決めておいてください。 プラチナは、金のように「とりあえず一定割合を持っておく」という位置づけで語られる資産ではありません。持つなら、なぜ持つのかを言葉にできる範囲の金額に収めるのが現実的です。 「値上がりしそうだから」だけでは、下げたときに続ける理由が残りません。

そして出口も決めておいてください。 配当も利息も入らない資産は、売って初めて結果が確定します。 いつ売るのか、どうなったら売るのかを買う前に決めていないと、 上がれば「もっと上がるかも」、下がれば「戻るまで待とう」となり、 待っているあいだの費用だけが積み上がります。

売るときの手順も、買う前に確かめておいてください。 地金やコインは、買った店でしか引き取ってもらえないことがあります。 ETFなら証券口座で売れますが、取引のある時間帯は市場に合わせて決まっています。換金までにかかる手間と日数は、持ち方によって変わります。必要になってすぐ現金にできるとは限らないので、使う予定のあるお金は入れないでください。 売る手順を知らないまま買うと、必要になった日にそこで初めて調べることになります。 買う前に、売るときの窓口と手数料まで一度見ておいてください。

最後に金額です。生活費や近く使う予定のお金は入れないでください。 手元にいくら残すかは生活防衛資金の診断で決められます。そこを決めてから、残りの中でいくらまで振り向けるかを考える順番になります。

よくある質問

プラチナは金より希少なのに、なぜ金より安いのですか?
希少さではなく、採れる量と使われる量の関係で値段が決まるためです。金は世界中の中央銀行や投資家が資産として買いますが、プラチナにはその買い手がいません。工業の需要が細れば、値段を支える力が弱くなります。
「いつか金より高くなる」と言われますが、本当ですか?
そうなる保証はありません。需要の構成が変わった結果としての値段だと考えるなら、元の関係に戻る理由も無いことになります。過去の関係を根拠にするなら、それが成り立たなくなった理由まで確かめてください。
宝飾品として買ったプラチナは、資産に数えてよいですか?
投資として数えるのは勧めにくいところがあります。加工の費用が値段に乗っているため、売るときには金属としての値段までしか付きません。投資として持つなら、地金やETFなど、金属そのものの値段で売買できる形を選んでください。

参照した一次情報

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