年金・老後
企業型DCがあるなら、マッチング拠出を給与天引きで足して掛金を全額所得控除にする
勤務先の企業型DCに加入者掛金の定めがある人が、マッチング拠出を給与天引きで始めることで、掛金の全額を小規模企業共済等掛金控除として所得から引き、所得税と住民税を減らすアイデアです。
税・社会保険が減る
24,000円/ 年
加入者掛金を月1万円(年12万円)出していて、合計税率が20%の場合
- 月あたり 2,000円
- 5年で 120,000円
- 条件が違うと 9,000円〜198,000円
- 手間
- 比較が必要
- 効果が出るまで
- 1年以内
- 条件依存度
- 高い
- 初期費用
- なし
2026/10/07 時点で有効 · 金額は前提を決めた目安で、おすすめ度ではありません
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企業型DCとは?
企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が掛金を出し、本人が運用先を選ぶ年金制度です。
企業型年金規約に定めがあれば、加入者が自分の掛金(企業型年金加入者掛金)を上乗せして出すこともできます。これがマッチング拠出です。
事業主掛金と加入者掛金の合計は拠出限度額を超えられず、他の企業年金がない人の限度額は月5万5千円です(確定拠出年金法第20条、同施行令第11条)。
- 積み立てる先も、選べる運用商品も、会社の制度の中のままです。動かすのは、自分の掛金を上乗せするかどうかだけです。
- 加入者が出した掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除になります。国税庁は、控除できる金額を「その年に支払った掛金の全額です」としています。月1万円を1年出せば12万円が所得から引かれ、合計税率20%なら24,000円、30%なら36,000円、税が減ります。
- 掛金は給与から控除できます(確定拠出年金法第21条の3)。会社は控除に関する計算書を作り、控除額を本人に通知しなければならないとされています。自分で振り込む手間はありません。
- 2026年4月1日から、加入者掛金の額の制限が撤廃されました。 それまでは「加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えてはならない」という制限があり、会社の掛金が小さい人は枠をほとんど使えませんでした。厚生労働省は「事業主掛金の額によらずに、加入者がそれぞれの状況に応じ拠出限度額の枠を十分に活用し老後の資産所得の確保が可能となるよう、当該制限を撤廃します」としています。
- ただし、マッチング拠出を始めるとiDeCoには加入できません。 厚生労働省は、企業年金加入者がiDeCoに入れる条件のひとつとして「企業型DCの加入者掛金を拠出していない」ことを挙げています。iDeCoは運用商品と手数料を自分で選べるので、どちらが有利かは枠の大きさと商品で変わります。始める前に両方を比べてください。
加入者掛金と、減る税
加入者掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除になるので、減る税は「掛金 × 合計税率」です。
| 月の加入者掛金 | 年間の掛金 | 合計税率20%のとき | 合計税率30%のとき |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | 60,000円 | 12,000円 | 18,000円 |
| 10,000円 | 120,000円 | 24,000円 | 36,000円 |
| 20,000円 | 240,000円 | 48,000円 | 72,000円 |
| 30,000円 | 360,000円 | 72,000円 | 108,000円 |
5,000円
- 年間の掛金
- 60,000円
- 合計税率20%のとき
- 12,000円
- 合計税率30%のとき
- 18,000円
10,000円
- 年間の掛金
- 120,000円
- 合計税率20%のとき
- 24,000円
- 合計税率30%のとき
- 36,000円
20,000円
- 年間の掛金
- 240,000円
- 合計税率20%のとき
- 48,000円
- 合計税率30%のとき
- 72,000円
30,000円
- 年間の掛金
- 360,000円
- 合計税率20%のとき
- 72,000円
- 合計税率30%のとき
- 108,000円
- ※ 合計税率は所得税と住民税の所得割を足したもので、課税所得と住んでいる自治体で変わります。表の20%・30%は読みやすさのために置いた値です。
- ※ 出せる額は、事業主掛金と合わせて拠出限度額までです。他の企業年金がない人の限度額は月5万5千円、確定給付企業年金などがある人は5万5千円から他制度掛金相当額を引いた額です。
- ※ 規約にマッチング拠出の定めがなければ、加入者掛金は出せません。
具体例で見る
加入者掛金を月1万円(年12万円)出していて、合計税率が20%の場合
- 合計税率20%は、この例で置いた値です。 課税所得195万円超330万円以下の所得税10%(国税庁 No.2260)に、住民税の所得割を10%として足したものです。自分の率は課税所得と住んでいる自治体で変わります
- 勤務先の企業型年金規約にマッチング拠出(加入者掛金)の定めがある
- 事業主掛金と合わせて拠出限度額に収まっている
- 減るのは所得税と住民税です。社会保険料の計算は別の仕組みなので、この額には含めていません
- 1年間の加入者掛金 = 10,000円 × 12か月 = 120,000円
- 2この全額が小規模企業共済等掛金控除になる
- 3減る税 = 120,000円 × 20% = 24,000円/年
この条件なら年間24,000円/ 条件が違えば額も変わります
式:年間の加入者掛金 × 合計税率(所得税+住民税の所得割)
あなたの場合は?
上と同じ式に、自分の数字を入れてください。概算です。
この条件なら年間24,000円(月あたり 2,000円)
式のとおりに1回計算しただけの概算です。上の「得になる条件」と「注意点」に当てはまらない分は、 この額から減ります。
こんな人向け
- 勤務先に企業型DCがあり、規約にマッチング拠出(加入者掛金)の定めがある
- 事業主掛金の額と、拠出限度額までの残りを確かめられる
- 60歳まで引き出さない前提で積み立てに回せるお金がある
- iDeCoに入っていない、または入るかどうかをまだ決めていない
得になる条件
- 企業型年金規約に定めがなければ、マッチング拠出はできません。 加入者が掛金を出せるのは、規約で定められている場合だけです(確定拠出年金法第19条第3項)。まず勤務先に確かめてください。
- 事業主掛金と加入者掛金の合計は、拠出限度額を超えられません。他の企業年金がない人は月5万5千円、確定給付企業年金・厚生年金基金・私立学校教職員共済制度などに入っている人は、5万5千円から他制度掛金相当額を引いた額です(同法第20条、同施行令第11条)。
- 2026年4月1日に、加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えてはならないという制限が撤廃されました。 事業主掛金の額にかかわらず、限度額の枠まで使えます。
- 2026年12月1日からは、拠出限度額そのものが引き上げられる予定です。 厚生労働省は、第2号加入者のiDeCoの拠出限度額を勤務先の企業年金の有無による差異を解消して企業年金と共通の枠に一本化し、その共通拠出限度額を月額6.2万円に引き上げるとしています。施行前と後で使える枠が変わります。
- 掛金の額を変えられるのは、原則として企業型掛金拠出単位期間につき1回限りです。前納も追納もできません(同施行令第6条第4号ロ・ハ)。
- マッチング拠出をしていると、iDeCoに加入できません。
注意点
- iDeCoに入れなくなります。 厚生労働省は、企業年金加入者がiDeCoに加入できる条件として「企業型DCの加入者掛金を拠出していない」ことを挙げています。iDeCoなら運用商品と手数料を自分で選べるので、勤務先の企業型DCの商品が限られている場合は、マッチング拠出をしないほうが有利なこともあります。
- 60歳まで原則として引き出せません。老齢給付金を受け取れるのは原則60歳到達後で、通算加入者等期間が10年に満たない場合は支給開始年齢が段階的に後ろへずれます。
- 元本が保証される仕組みではありません。減るのは税で、運用の損は別です。選んでいる商品で結果は変わります。
- 掛金の額を変えられるのは原則として年1回です。生活が変わっても、すぐには減らせません。
- 減るのは所得税と住民税です。課税所得が小さい人ほど効果も小さくなります。課税所得がゼロなら、控除しても減る税はありません。
- 2026年12月1日に拠出限度額が変わる予定です。施行日をまたぐ年の枠は、前と後で分けて考えてください。
やり方
- 1勤務先の企業型年金規約に、加入者掛金(マッチング拠出)の定めがあるかを確かめる
- 2企業型DCの加入者ウェブサイトで、いまの事業主掛金の額を確かめる
- 3拠出限度額(他の企業年金がない人は月5万5千円)までの残りを計算する
- 4iDeCoに入る場合と比べる(マッチング拠出をするとiDeCoには入れない)
- 5勤務先の担当部署に申し出て、給与天引きで掛金を始める
- 6会社から通知される控除額を確かめる(会社は控除に関する計算書を作り、控除額を通知する義務がある)
読むもの・数字の出どころ
- 厚生労働省 2025年の制度改正(企業型DCの拠出限度額の拡充=マッチング拠出における加入者掛金の額の制限撤廃、2026年4月1日施行。「マッチング拠出における加入者掛金の額は、事業主掛金の額を超えてはならないという制限が設けられています。事業主掛金の額によらずに、加入者がそれぞれの状況に応じ拠出限度額の枠を十分に活用し老後の資産所得の確保が可能となるよう、当該制限を撤廃します」。あわせてiDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げが2026年12月1日施行予定で、第2号加入者のiDeCoの拠出限度額は企業年金と共通の枠に一本化され月額6.2万円に引き上げ)(2026/10/07 確認)
- 厚生労働省 iDeCoの概要(企業年金加入者がiDeCoに加入できるのは、[1]iDeCoの掛金額が企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額と合算して各月の拠出限度額を超えていない、[2]掛金(企業型DC・iDeCo)が各月拠出である、[3]企業型DCの加入者掛金を拠出していない、のすべてにあてはまる場合に限る。企業型DCの事業主掛金額と他制度ごとの掛金相当額の合計額は55,000円の範囲内。拠出時は加入者が拠出した掛金が全額所得控除=小規模企業共済等掛金控除。老齢給付金は原則60歳到達後で、通算加入者等期間が10年に満たない場合は支給開始年齢が段階的に引き延ばし)(2026/10/07 確認)
- e-Gov法令検索 確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)(第19条第3項=企業型年金加入者は、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定めるところにより、年一回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。第20条=事業主掛金の額(加入者掛金を拠出する場合は両者の合計額)の総額は拠出限度額を超えてはならない。第21条の3=事業主は企業型年金加入者掛金を給与から控除することができ、控除したときは控除に関する計算書を作成し、その控除額を加入者に通知しなければならない)(2026/10/07 確認)
- e-Gov法令検索 確定拠出年金法施行令(平成十三年政令第二百四十八号)(第11条=拠出限度額は、他制度加入者以外の企業型年金加入者は5万5千円、他制度加入者は5万5千円から他制度掛金相当額を控除した額(零を下回る場合は零)。第6条第4号ロ=企業型年金加入者掛金について前納および追納することができないものであること。同号ハ=加入者掛金の額は、原則として企業型掛金拠出単位期間につき一回に限り変更することができるものであること。現行条文に、加入者掛金が事業主掛金の額を超えてはならないという定めは無い)(2026/10/07 確認)
- 国税庁 No.1135 小規模企業共済等掛金控除(対象は小規模企業共済法の共済契約の掛金、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金、心身障害者扶養共済制度の掛金。「控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です」)(2026/10/07 確認)
- 国税庁 No.2260 所得税の税率(速算表。1,000円〜1,949,000円は5%、1,950,000円〜3,299,000円は10%(控除額97,500円)、3,300,000円〜6,949,000円は20%、6,950,000円〜8,999,000円は23%、9,000,000円〜17,999,000円は33%、18,000,000円〜39,999,000円は40%、40,000,000円以上は45%)(2026/10/07 確認)
- iDeCoの拠出限度額・加入ルール(厚生労働省・国民年金基金連合会)
- 所得税の税率・給与所得控除・基礎控除(国税庁)
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