最終回に選べる3つ
残価設定型クレジットの契約が終わるとき、選べるのは3つです。 車を返す、同じ販売店で新しい車に乗り換える、残価を払って買い取る。 トヨタ・ホンダ・日産とも、公式サイトで同じ3つを示しています。
この3つは、契約のときに決めておく必要はありません。 最終回が近づいたときに選べます。ただし、どれを選ぶつもりかで、契約期間と走行距離のコースの選び方が変わります。返すつもりなら距離の条件に余裕を持たせ、買い取るつもりなら残価と実質年率をよく見ることになります。
返す:0円で終われる条件
返却を選んだとき、最終回の支払いは原則として不要です。 ただしこれは残価が保証される条件を満たしている場合に限られます。 条件を外れた分は、返却のときに精算になります。
3社に共通している条件は次の3つです。
- 事故による修復歴がないこと
- レース(競技会等)での使用や、違法改造をしていないこと
- 走行距離が、契約で決めた距離を超えていないこと
これに加えて、内外装の損傷についての基準があります。 公表のしかたは会社ごとに違い、日産は車種区分つきの金額で、ホンダは点数で示しています。 トヨタは「車両の状態や走行距離の程度に応じて算定される精算金」とだけ書いていて、 具体的な基準は販売店に確かめる形です。
走行距離には2本の線がある
走行距離の条件は「超えたら返せない」という1本の線だと思われがちですが、 実際には2本あります。日産が表で公表している形がいちばん分かりやすいので、それを例にします。
1本目が免責基準です。ここまでは超過の精算がありません。 2本目が精算可能上限です。免責基準を超えても、この線までなら、 超えた分を精算すれば返却できます。上限そのものを超えると返却できず、買い取ることになります。
日産は月あたり1,000kmと1,500kmの2コースを用意していて、 1,000km/月コースの3年契約なら免責基準が36,000km、精算可能上限が54,000kmです。 5年契約なら60,000kmと90,000kmになります。 電気自動車(アリア・リーフ・サクラ)は4〜6年の別の表が公表されています。
契約の前に確かめておきたいのは、自分が年に何km走るかです。 通勤で片道20km走る人なら、往復40km×月20日で年およそ9,600km。 これに休日の分が乗るので、1,000km/月コースだとかなり際どくなります。足りないと分かっているなら、最初から上のコースを選ぶほうが安く済みます。
傷とへこみは、金額で決まる
内外装の損傷は、返却のときに査定されます。 「きれいに使っていれば大丈夫」ではなく、査定の金額で線が引かれます。
日産は車種を3つに分けて免責基準を公表しています。 アリア・エルグランド・ムラーノ・フェアレディZは修理費用20万円以内(精算可能上限25万円)、 スカイライン・キャラバンは15万円以内(同20万円)、 リーフ・サクラ・オーラ・ノート・エクストレイル・キックス・セレナ・ルークス・デイズなどは10万円以内(同15万円)です。 免責基準を超えて精算可能上限までは、査定減点×1,000円(別途消費税)を払えば返却できます。
ホンダは点数で示しています。契約満了時の査定に100点分の免責が付帯し、1点が1,000円です。 公表されている減点の例は、ドア下の傷(内装)が10点=1万円、 バックドアのへこみが30点=3万円、リアドアの傷・へこみ(A4サイズ以上)が50点=5万円。 100点までは負担しません。
| 公表のしかた | 免責の範囲 | |
|---|---|---|
| 日産 | 車種区分つきの金額の表 | 10万円/15万円/20万円(車種による) |
| ホンダ | 点数(1点=1,000円) | 100点分 |
| トヨタ | 基準は販売店が定める | 公表なし。契約書で確認 |
買い取る:残価を払う
その車に乗り続けたい場合は、最終回に残価を払って買い取ります。 現金一括で払うか、組み直して分割にするかを選べます。
ここで確かめておきたいのが、総額で見たときにどうなるかです。 トヨタは公式サイトに、買い上げを選んだ場合は 「最終回のお支払額(残価)を含めたお支払合計額は、一般的なクレジットの方が軽くなる場合があります」と書いています。 残価の部分の元本が最後まで減らないぶん、利息を多く払っているためです。
もうひとつの選択肢として、買い取ってから売る、という形もあります。 中古車の相場が残価より高く育っていれば、買い取って売ったほうが手元に残ります。 ただし、この判断ができるのは最終回が近づいてからです。 契約のときに相場は分かりません。
買い取るかどうかを迷ったときに効くのが、その車にあと何年乗るつもりかです。残価を払って買い取ったあと、 2年で手放すなら、払った残価のうち回収できるのは売却代金の分だけです。 あと5年、10年と乗るなら、残価を払ったあとは支払いのない期間が続きます。 買い取りの判断は、残価の額そのものより、そのあと何年乗るかで決まります。
もうひとつ見ておきたいのが、そのときの手元の現金です。 残価は数十万円から百万円を超えることもあり、一括で払えば預金はその分減ります。 車を残すために生活費の備えを削ることになるなら、返して次を考えるほうが落ち着く場面もあります。 金額の大小だけでなく、払ったあとに手元へいくら残るかを見てください。
組み直す:新しい契約になる
残価を一括で払えない場合、分割に組み直せることがあります(再クレジット、再分割)。 ここで注意したいのは、これが元の契約の延長ではないことです。
- 新しい審査がある。日産は「審査の結果、ご利用いただけない場合もございます」と公表している
- 金利は、組み直しを申し込んだ時点の金利が適用される。契約時の金利がそのまま延びるわけではない
- トヨタ・ホンダとも「別途条件がございます」としている
つまり、残価を払えないときの逃げ道として当てにできるものではありません。 審査に通らなければ、一括で払うか、返すかのどちらかになります。 乗り続けたい車なのに返すしかなくなる、ということが起こり得ます。
いつまでに決めるか
3つのうちどれを選ぶかは、最終回が近づいたときに決めます。 販売会社から案内が来るのが一般的ですが、決めるための材料は、自分で早めにそろえておけます。
| 確かめること | どこで分かるか |
|---|---|
| いまの走行距離と、満了時の見込み | メーターと、残り期間からの概算 |
| 契約の免責基準と精算可能上限 | 契約書。公表している会社は公式サイトでも |
| 内外装の状態 | 返却の数か月前に販売会社で見てもらう |
| その車の中古車相場 | 複数の買取業者の査定 |
| 残価と、買い取った場合の総額 | 見積書の最終回支払額と実質年率 |
とくに3つ目は早めがおすすめです。 返却の直前に初めて査定を受けて精算額を知ると、直す時間も選び直す余地もありません。 数か月前に見てもらえば、自分で直したほうが安いのか、精算したほうが安いのかを比べられます。
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