車の買い方

残クレと銀行ローンの違い

比べるときに真っ先に見られるのは金利ですが、使い方を決めるのは契約の形のほうです。片方は買う契約、もう片方は返す前提の契約です。

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この記事の要点

  • 銀行ローンは車の代金を払うために借りる契約で、車は自分のものになります。残クレは返すことを前提にした契約です。
  • 残クレには走行距離・事故修復歴・内外装の損傷に条件が付き、原則として途中でやめられません。
  • 銀行の自動車ローンは金利を幅で公表しています。審査で決まるので、下限で借りられるとは限りません。
  • 返済期間を延ばすと月々は下がりますが、元本の減りも遅くなり、途中で手放すと残債が残ることがあります。
  • 200万円を5年で借りるとき金利0.1%の差は約5,000円で、事務手数料3,300円はその差と同じ桁になります。
  • 比べるときは、終わったあとに車があるかどうかをそろえてください。片方だけ車が残る比較は残クレが安く出ます。

いちばん大きな違いは金利ではない

銀行の自動車ローンと、販売会社で組む残価設定型クレジット。 比べるときに真っ先に見られるのは金利ですが、使い方を決めるのは金利ではなく、契約の形のほうです。

銀行ローンは「車の代金を現金で払うためにお金を借りる」契約です。車は自分のものになります。 残クレは「返すことを前提に乗る」契約です。走行距離や車の状態に条件が付きます。 金利の差は、この違いのあとに効いてきます。
車が自分のものになるか、返すことが前提か銀行ローン借りたお金で買う距離や傷の制限はない残価設定型クレジット返すことが前提の契約距離・傷・修復歴に条件同じ車を、同じ年数乗るとき途中で売れるか、乗り方に制限が付くかが変わる
銀行ローンは車の代金を現金で払うのと同じ形なので、車は自分のものになります。残価設定型クレジットは返すことを前提に組まれているため、走行距離や車両の状態に条件が付きます。金利の差より先に、ここが使い方を決めます。

この違いは、乗っている間ずっと効きます。 銀行ローンなら、距離を気にせず走れますし、途中で売ることもできます。 残クレは、契約で決めた距離を超えれば精算になり、原則として途中でやめられません。 年に2万km走る人と、5,000kmしか走らない人とでは、同じ契約でも意味が変わります。

車が自分のものになるかどうか

銀行ローンは、借りたお金で車の代金を販売会社に払います。 車は買った人のものになり、ローンは銀行との間に残ります。 販売会社との関係は、買った時点で終わります。

残クレは、信販会社が代金を立て替え、返すことを前提にした分割払いの契約になります。 契約が終わるときに、返す・乗り換える・買い取るのどれかを選びます。 返す前提の契約なので、戻ってくる車の価値を保つための条件が付きます。

銀行ローン残価設定型クレジット
車の扱い自分のものになる返すことが前提
走行距離の制限なし契約で決めた上限がある
傷・修復歴の条件なし返却時に査定され、条件を外れると精算
途中で売るできる(残債は完済が必要)原則としてできない
契約終了時払い終われば終わり返す・乗り換える・買い取るから選ぶ
申し込み先銀行(車が決まる前でも申し込める行がある)販売会社
マネック(案内役):距離の条件って、契約するときはピンとこないんだよね。 でも転勤や生活の変化で走る距離は変わる。そこだけは先に考えておきたいな。

金利の比べ方

銀行の自動車ローンは、どの行も金利を幅で公表しています。 審査の結果でその範囲のどれかに決まるので、公表されている下限で借りられるとは限りません。 同じ銀行でも、借入額・使いみち・ほかの取引によって率が変わります。

刻み方も行ごとに違います。借入額が大きいほど下がる段を持つ行、 電気自動車なら引き下げる行、住宅ローンを使っていれば引き下げる行があります。銀行別の自動車ローン金利に、公式サイトから読んだ条件をまとめてあります。

残クレの金利は「実質年率」として見積書に書かれています。 こちらは車種・販売会社・契約時期で変わり、公表された一覧がありません。比べられるのは、自分の見積書に書かれた実質年率と、銀行の提示金利です。一般論としての「残クレは高い」「銀行は安い」は、自分の2つの数字の前では意味を持ちません。

実質年率という言葉にも触れておきます。これは、利息だけでなく 手数料も含めた年あたりの負担を1つの率に直したものです。 分割手数料の総額だけを見せられても、期間が違えば重さは比べられません。 実質年率なら、期間の違う見積書どうしでも同じ物差しに乗ります。見積書に実質年率が書かれていなければ、書いてもらってください。分割払いの契約では表示されることになっている数字です。

もうひとつ、銀行の金利には「引き下げの条件」が付くことがあります。 住宅ローンを同じ銀行で使っていれば下げる、電気自動車なら下げる、 借入額が大きいほど段階的に下がる、といった形です。 これは審査で決まる幅とは別に効くので、自分に当てはまる条件があるかを先に確かめると、 提示される率が変わることがあります。

銀行ローンは、車が決まる前でも申し込める行があります。 先に仮審査を通して自分の金利を知っておくと、販売会社の提示と並べて比べられます。

返済期間を延ばすと何が起きるか

銀行ローンで月々を軽くする方法は、返済期間を延ばすことです。 ただし、延ばした分だけ元本の減りが遅くなり、払う利息は増えます。月々が下がったぶん負担が消えたわけではありません。

ここで効いてくるのが、乗る年数と返済期間のずれです。 7年ローンで買った車を5年で手放すと、その時点でまだ残債があります。 売った代金が残債に届けば差額が手元に残り、届かなければ差額を払って完済することになります。

途中で売るとき、代金で残債を返せるとは限らない5年で手放す場合5年ローン残債なし。売却代金はそのまま手元へ7年ローン残債が残る売却代金足りない分月々の軽さは、返し終える時期を先に送って作られている
返済期間を延ばすと毎月の負担は下がりますが、元本の減りも遅くなります。売った代金が残債に届かないと、差額を手元から払って完済することになります。乗る年数より長い返済期間を選ぶときは、ここを確かめてください。
売却代金が残債を下回る状態では、車を売っても借金だけが残ります。 乗る年数より長い返済期間を選ぶときは、途中で手放す可能性を含めて考えてください。

残クレも形は似ています。残価の部分が最後まで元本として残るので、 契約の途中では残債が大きいままです。違うのは、残クレには返すという出口があることです。

金利以外にかかるお金

金利だけでは比べられません。銀行ローンには、金利とは別に費用がかかる行があります。

  • 融資時の事務取扱手数料。無料の行もあれば、定額でかかる行もある
  • 繰上返済の手数料。窓口では有料で、アプリやネットバンキングなら無料という行がある
  • 保証料。金利に含まれている行と、別に必要な行がある
  • 条件変更の手数料、印紙代

桁の感覚をつかむために、具体的に置いてみます。 200万円を5年で借りるとき、金利が0.1%違うと利息の差はおよそ5,000円です。 事務手数料3,300円や繰上返済手数料5,500円は、その差と同じ桁になります。 小数点以下の金利を比べる前に、手数料の有無を見たほうが早いことがあります。

残クレ側にも、金利に現れない費用があります。返却時の精算です。 走行距離の超過や内外装の損傷は、返すときに初めて金額になります。 契約の時点で分かっているのは、条件と、超えたときの計算方法までです。

この精算は、見積書の支払総額には出てきません。 返すときにいくら請求されるかは、そのときの車の状態で決まるからです。 ゼロで済むこともあれば、十万円を超えることもあります。 数字が確定していないものを「ないもの」として比べると、残クレの側だけが軽く見えます。 返却を前提に比べるなら、精算の見込みをいくらか置いて計算しておくほうが実態に近くなります。

逆に、銀行ローンにも見積書に出てこない負担があります。売るときの手間です。 買取業者を回って査定を取り、名義変更の書類を用意して、値段の交渉をする。 残クレの返却なら、販売会社に持ち込んで査定を受けるだけで終わります。 この差を金額に直すことはできませんが、数年おきに乗り換える人にとっては毎回かかる手間です。 残クレが選ばれている理由のひとつが、ここにあります。

同じ条件に並べるには

2つを比べるときに、ほとんどの比較が崩れるのはここです。 残クレを返却で終わらせると最終回の支払いがありません。 銀行ローンで買った人は、同じ時期に車を持っていて、売れば代金が入ります。片方だけ車が残っている比較をすると、残クレが実際より安く出ます。

比べるときは、終わったあとに車があるかどうかをそろえてください。 手放す前提なら、銀行ローンは売却代金を引き、残クレは返却の精算を足します。 乗り続ける前提なら、残クレは最終回の残価を払った形で比べます。
そろえる条件銀行ローン残クレ
手放す売って残債を完済。代金が手元に入る返却。最終回なし。精算が出ることがある
乗り続ける返済を続ける。車は手元にある残価を払う(または組み直す)。車は手元にある
比べる数字払った総額 − 売却代金または車の価値同じ考え方で計算する

この引き算を自分の見積書の数字で見たい場合は、計算機を用意しています。 支払総額・金利・残価・乗る年数を入れると、3つの買い方が同じ条件で並びます。

自分の見積書の金額で、どの買い方の負担が小さいか試算する

どちらを先に検討するか

どちらが正しいという話ではなく、どちらが自分の使い方に合うかです。 判断の順番としては、次のように見ると早く決まります。

こういう場合先に検討するもの
長く乗るつもり銀行ローン。距離や傷の制限がなく、払い終われば終わる
数年で乗り換えるつもり残クレ。売却の手間と相場の変動を自分で負わずに済む
走る距離が多い・読めない銀行ローン。距離の条件が重く効く
手元の現金を残したいどちらも。頭金を抑えられるが、利息の総額は増える
返済に不安がある買い方の前に、借りる額と時期の見直し

最後の行だけは性質が違います。金利を0.5%下げて得られる額より、 払えなくなったときに失うもののほうがはるかに大きくなります。 月々いくらまでなら確実に払えるかを先に決めて、その範囲に収まる買い方だけを比べてください。 収まらないなら、車両価格を下げる、購入の時期をずらす、いま乗っている車を長く使う、 という選択肢のほうが先にあります。

「手元の現金を残したい」の行も、少し補っておきます。 どちらを選んでも頭金を抑えれば現金は残りますが、その分だけ借りる額が増え、利息も増えます。現金を残すことには値段が付いているということです。 それでも残す判断には理由があります。急な出費や収入の変動に対応できる幅が、現金の量で決まるからです。 大事なのは、いくら払って何を残しているのかを金額で把握しておくことで、 「なんとなく頭金ゼロ」にしないことです。

マネック(案内役):「どっちが得か」より先に、「何年乗るか」と「年に何km走るか」。 この2つが決まると、だいたい答えは出ているんだよね。

残クレそのものの仕組みは残クレとは?に、契約が終わるときの選び方は残クレの最終回はどうなる?にまとめています。

よくある質問

銀行ローンのほうが金利は低いのですか?
一般にそう言われますが、どちらも幅があるため自分の2つの数字で比べる必要があります。銀行は金利を幅で公表し、審査で範囲のどれかに決まります。残クレの実質年率は車種・販売会社・契約時期で変わり、公表された一覧がありません。銀行の仮審査を先に通して自分の金利を知っておくと、販売会社の提示と並べられます。
残クレの途中で車を売ることはできますか?
原則としてできません。残クレは契約期間を前提に残価と支払額が組まれているため、途中解約の扱いは契約ごとに異なります。銀行ローンであれば売却できますが、売却代金が残債を下回る場合は差額を用意して完済する必要があります。
金利のほかに、どんな費用がかかりますか?
銀行ローンには、融資時の事務取扱手数料、繰上返済の手数料、保証料、条件変更の手数料などがあります。無料の行もあれば定額でかかる行もあり、金利の小数点以下の差と同じ桁になることがあります。残クレには、返却時の走行距離超過や内外装の損傷による精算があります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては3社が公表している残クレの返却条件や、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。