資産配分・分散

資産が1つに偏っているとは?

相場がどう動くかは分かりませんが、動いたときに自分の資産がどれだけ動くかは、いまの割合で決まっています。

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この記事の要点

  • 集中は、いちばん大きいまとまりの金額を資産全体で割った割合で見ます。銘柄や商品の数では決まりません。
  • 資産全体の減り方は、その資産の割合とその資産の下げ幅の掛け算です。同じ下げ幅でも、割合が4倍なら減る額も4倍です。
  • いくつに分けたかは当てになりません。5つに分けていても、1つに8割が寄っていれば実質は1つと少しです。
  • 気づきにくい集中が4つあります。投信の中身の重なり、通貨、勤め先、自宅です。
  • 円建てで買えるものでも、値段が外貨で決まるものは通貨の集中に入ります。貴金属や暗号資産がこれにあたります。
  • 集中には理由があることが多く、比率だけで良し悪しは決まりません。確かめるのは、下げたときに生活が続けられるかどうかです。

結論から

集中とは、資産の大部分が、同じ理由で下がるものに乗っている状態です。 銘柄の数でも商品の数でもなく、割合で決まります。 集中していること自体は間違いではありませんが、 下げが来たときに減る額が割合にそのまま比例します。

この記事は、集中を見つけて数えるための話です。 集中しているから売ったほうがよい、という話はしません。 持ち続ける理由がある集中はいくらでもありますし、 外から見た比率だけで決められることでもありません。

できるのは、いまどれだけ寄っているかを知り、 その状態で何が起きるといくら減るのかを先に見ておくことです。 知ったうえで持ち続けるのと、知らずに持ち続けるのとでは、 下げが来たときの行動が変わります。

集中しているとは

集中は、次の式で見ます。難しい計算は要りません。

集中の度合い = いちばん大きいものの金額 ÷ 資産全体の金額

「いちばん大きいもの」の数え方が要点です。 個別の銘柄だけを見ても足りませんし、商品の本数を数えても意味がありません。 同じ理由で下がるものをひとまとまりとして数えます。

「同じ理由で下がるもの」でまとめるのは、 下げが来るときに、まとまって来るからです。 銘柄を1つずつ数えていると、たまたま同じ業種の株を3つ持っている人も、 まったく違う3つを持っている人も、同じ「3銘柄」に見えます。 下げたときの結果はまるで違うのに、数え方のほうがそれを消してしまう。 だから、数える単位を先に決めます。

まとまりの取り方例
資産の種類株がいくら、債券がいくら、現金がいくら
通貨外貨で値段が決まるものの合計
1つの銘柄・商品最大のものが全体の何割か
収入源とのつながり勤め先の株・自社の業績に連動するもの

どの取り方でも、答えは「何割か」という1つの数字になります。 率にしてしまえば、資産の大きさが違う人どうしでも同じ物差しで見られます。 金額のままだと、300万円という数字が多いのか少ないのかが決まりません。

実質いくつに分かれているか

「いくつに分けたか」という数は、あてになりません。 分けた数が同じでも、割合が均等かどうかで意味がまったく違うからです。

5つに分けた資産の帯。均等なものと、1つが8割を占めるもの均等に5つ5つがそれぞれ同じだけ効く5つだが、1つに8割先頭の1つが、ほぼすべてを決める
どちらも5つに分けています。下は数の上では5つですが、値動きのほとんどを先頭の1つが決めます。「いくつに分けたか」ではなく「どれだけの割合が1つに乗っているか」で見てください。

上の図はどちらも5つに分けています。 けれども下のほうは、先頭の1つが8割を占めています。値動きのほとんどは、その1つが決めます。残りの4つは、全部合わせても全体の2割にしかなりません。 数の上では5つでも、実質は1つと少しです。

この「実質いくつぶんか」は、割合の二乗を足し合わせて逆数をとると 1つの数字になります。均等に5つに分ければ5になり、 1つに8割が寄っていれば1.5前後にまで落ちます。 計算の中身を覚える必要はありませんが、 数えるべきは本数ではなく偏りだ、という感覚は持っておく価値があります。

マネック(案内役):「10本持ってるから大丈夫」って思ったら、金額の割合を見てみて。 1本に半分入っていたら、それは10本ぶんの動きにはならないよ。

集中していると、下げがそのまま効く

集中の度合いが分かると、下げが来たときに減る額も計算できます。 割合にそのまま比例するので、掛け算1つで出ます。

資産全体の減り方 = その資産の割合 × その資産の下げ幅
同じ資産が3割下がったときに、資産全体が何割減るかを比べた棒−6%その資産が2割−15%その資産が5割−24%その資産が8割どれも「その資産が3割下がった」場合の、資産全体の減り方
下げ幅はどれも同じで、違うのはその資産が全体に占める割合だけです。減る額は割合にそのまま比例します。相場を当てなくても、この部分は自分で決められます。

同じ資産が3割下がったとしても、それが資産の2割なら全体は6%減で済み、 8割なら24%減になります。下げ幅はどちらも同じです。 違うのは割合だけで、そこは自分で決められる部分です。

相場がどう動くかは分かりませんが、動いたときに自分の資産がどれだけ動くかは、いまの割合で決まっています。先が読めないからこそ、読まなくても決まるほうを先に確かめておく意味があります。

もうひとつ、減る額を先に見ておく理由があります。 率で聞いたときの印象と、金額にしたときの印象がかなり違うからです。 24%減と言われてもぴんと来なくても、 2,000万円が1,520万円になる、と書かれると話が変わります。 持ち続けられるかどうかは、たいてい金額のほうで決まります。

気づきにくい集中

口座の画面を見ても分からない集中があります。よくあるのは次の4つです。

  • 投資信託の中身が重なっている。商品名は違うが上位の銘柄がほぼ同じ
  • 通貨で寄っている。外国株・外貨預金・外貨建て保険・金が同じ方向に効く
  • 勤め先に寄っている。持株会や自社株と、給与の出どころが同じ
  • 自宅で寄っている。金融資産だけを見ると分からない

投信の中身を確かめるのは、思われているほど手間ではありません。 月次レポートの上位10銘柄を2本ぶん並べるだけで、 重なっているかどうかはすぐ分かります。 顔ぶれがほぼ同じなら、その2本は値動きの上ではほぼ1本です。 買った時期も金融機関も違うので、別のものに見えているだけです。

2つめは、円建てで買えるものにも起こります。 値段が外貨で決まるものは、円で買っていても為替で動きます。 金などの貴金属や暗号資産がこれにあたり、 「円で買ったから円資産」と数えると、通貨の集中を小さく見積もります。

3つめは、金額の話にとどまりません。 勤め先の業績が悪くなると、株価が下がるのと同時に、 賞与が減ったり職を失ったりすることがあります。 資産と収入が同じ理由で同時に細るので、 同じ割合でも、ほかの集中より影響が重なりやすい形です。

含み益の大きい資産は、売ると税金がかかるため動かしにくくなります。 「動かせない集中」も集中です。 割合を数えるときは、売れるかどうかとは切り離して、そのまま数えてください。

集中には理由があることが多い

集中している人の多くは、うっかりそうなったわけではありません。 理由があって、その結果として寄っています。

長く持っていた株が値上がりして割合が大きくなった、 相続で受け継いだ、勤め先の制度で買い続けてきた、 売ると譲渡益に課税されるので動かせない。 どれも、比率だけを見て正しいか間違っているかを決められる話ではありません。

そのうえで、確かめておけることがあります。その集中が下げたときに、生活が続けられるかどうかです。 資産が減っても暮らしに影響しないなら、比率の大きさは判断の材料の1つにすぎません。 逆に、近く使う予定のお金が同じところに乗っているなら、 それは資産配分の話ではなく、必要な時期に間に合うかどうかの話になります。

集中が悪いものだと決めつけないでおきます。 大きく増やした人の多くは、どこかに集中していた人です。 分けるほど、当たったときの効きも薄くなります。 集中と分散は、うまくいったときの大きさと、 外したときの痛手の大きさを、同じつまみで動かしているだけです。 どちらに寄せるかは、増えたときの喜びより、 減ったときに続けられるかどうかで決めたほうが、あとで困りません。

使う時期が決まっているお金については、一般論では決められません。 いつ、何に、いくら要るのかで答えが変わります。 金融庁の金融サービス利用者相談室や、日本FP協会の無料相談のように、 自分の事情を前提に相談できる窓口があります。

自分の集中を数える

数えるのに要るのは、資産の種類ごとのおおよその金額だけです。 商品名も金融機関名も要りません。万円単位で足ります。

率を出すところまでは、紙とえんぴつでもできます。 むしろ面倒なのは、資産の種類ごとに足し合わせるところです。 口座がいくつにも分かれていると、同じ種類のものが別々の画面に散らばります。 このため、数える前に、種類ごとの合計を1か所に書き出しておくと早くなります。

  • 持っているものを、値段が決まる理由でまとめ直す
  • いちばん大きいまとまりが、全体の何割かを出す
  • 外貨で値段が決まるものを足して、全体の何割かを出す
  • その割合のまま下げが来たら、全体で何円減るかを出す

自分の金額で、どこに寄っているかと減る額を試算すると、この4つがまとめて出ます。減り方は資産の種類ごとの内訳つきで、 どれがいくら効いたのかまで分かれます。 おすすめの配分や、売買の指示は出しません。

実際に数えてみると、思っていた以上に寄っていることが多くなります。 預金を含めた全体で見ると現金に寄っている人もいれば、 投資している分だけを見ると1本に寄っている人もいます。 どちらが良い悪いではなく、まず自分がどちらなのかを知るところからです。 寄っている先が分かれば、これから入れるお金をどこに置くかの判断が早くなります。

集中は、数ではなく割合で見ます。減る額は、割合にそのまま比例します。相場は読めませんが、割合は自分で数えられます。 数えたうえで持ち続けるかどうかは、持ち主が決めることです。

よくある質問

資産の何割までなら偏っていないと言えますか?
一律の線はありません。同じ割合でも、使う予定のあるお金かどうか、収入が安定しているかどうかで意味が変わるためです。割合そのものより、その割合のまま下げが来たときに何円減り、それで生活が続くかで見てください。
勤め先の株を持っているのは、ほかの集中と何が違いますか?
資産と収入が同じ理由で同時に細ることがある点です。業績が悪くなると株価が下がるのと同時に、賞与が減ったり職を失ったりすることがあります。同じ割合でも、ほかの集中より影響が重なりやすい形になります。
含み益が大きくて売れない場合はどうしますか?
この記事は売ることを勧めるものではありません。ただし「動かせない集中」も集中なので、割合を数えるときは、売れるかどうかとは切り離してそのまま数えてください。そのうえで、これから入れるお金をどこに置くかで調整する方法もあります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては金融庁の資産形成の基本のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。