配当・高配当株

配当利回りと預金金利は、そのまま比べていい?

式の形は同じです。違うのは、分母に置いたものが動くかどうかです。

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この記事の要点

  • 預金の元本は動きませんが、株価は毎営業日動きます。分母が動く割り算と動かない割り算を、同じ数字として並べているのがこの比較です。
  • 利息も配当も元本の上に積まれる部分です。違うのは土台のほうで、預金は動かず、株は上にも下にも動きます。
  • 配当にも利息にも同じ率の税金がかかります。片方だけ税引前で比べると、その分だけ大きく見えます。
  • 預金の利率は預けた時点で決まりますが、配当利回りは買った時点で固定されません。会社が配当を変えれば分子も変わります。
  • 預金には預金保険という元本を守る仕組みがありますが、株にはありません。
  • 比べるなら、税引後の受け取り額、1〜3割下がったときの金額、それが増える配当の何年分かを同じ画面に置いてください。

預金の金利が0.3%、配当利回りが4%。同じ「年に何%」という書き方をしていると、 10倍以上の差があるように見えます。この2つは、そのまま比べてよいのでしょうか。

同じ「年に何%」でも、中身が違う

どちらもパーセントで書かれていますが、計算しているものが違います。

預金の年利 = 1年に付く利息 ÷ 預けた元本 × 100
配当利回り = 1株あたりの年間配当 ÷ 株価 × 100

式の形は同じです。違うのは、分母に置いたものが動くかどうかです。 預金の元本は動きません。株価は毎営業日動きます。分母が動く割り算と、動かない割り算を、同じ数字として並べているのが、この比較の実態です。

もうひとつ、分子の決まり方も違います。 利息は契約した利率で計算されますが、配当は会社が毎期決めます。 利率が変わることはありますが、そのときは新しい利率が適用されるだけで、 預けた元本が減ることはありません。

受け取るまでの確実さも違います。 預金の利息は、決められた日に必ず付きます。銀行が「今年は付けない」と決めることはありません。 配当は、会社が決算のたびに決めます。 業績が悪ければ減らされますし、出さないという判断もありえます。同じ「年に何%」でも、片方は約束で、もう片方は予定だということです。

マネック案内役):「4%と0.3%」だけを並べると、まず数字の大きさに目がいくよね。 でも比べるべきは、その数字の下にあるものだよ。

違うのは、台が動くかどうか

図にすると、差がはっきりします。 利息も配当も、元本の上に積まれる部分です。違うのは土台のほうです。

利息は台が動かない。配当は台が動く元本利息預金台は動かない株の値段配当台が上下に動く
上に積まれる部分(利息・配当)だけを比べると、利回りの高いほうが良く見えます。違うのは土台のほうです。預金は動かず、株は上にも下にも動きます。

預金は台が動きません。付いた利息の分だけ、確実に増えます。 株は台そのものが動きます。配当が積まれても、台が下がれば合計は減ります。利回りの数字を並べても、この差は出てきません

具体的な大きさで見ると、差の意味が分かります。 500万円を利回り4%の株に回すと、配当は年20万円です。 同じ500万円を年利0.3%の預金に置けば、利息は年15,000円です。 差は185,000円で、確かに大きく見えます。

一方で、株価が1割下がると50万円減ります。 増えた配当の差185,000円の、およそ2.7年分です。1年ぶんの差を2.7年ぶん失うのに、必要なのは1割の下落だけです。 株価が1割動くことは、めずらしいことではありません。

この計算は「株価が下がったら」という仮定の話ですが、 上がる可能性も同じだけあります。 言いたいのは損をするということではなく、預金には無い振れ幅が乗っているということです。

比べるなら、どちらも税引後で

配当にも利息にも、受け取るときに税金がかかります。率は同じです。 ところが、表示されている数字は税引前であることが多く、片方だけを税引後にすると、比較がずれます

比べるときは、どちらも税引後で配当預金の利息手取り引かれる率は、どちらも同じ
薄い部分が引かれる税金です。配当も利息も同じ率で引かれるので、順番は変わりません。金額そのものを知りたいときだけ、税引後にそろえれば十分です。

率が同じなので、税引前どうしで比べても順番は変わりません。 変わるのは金額です。「年20万円増える」と思っていた配当は、 税を引くと16万円ほどになります。この差は無視できません。

もうひとつ、日本株には100株単位でしか買えないという制約があります。 株価4,794円の銘柄に500万円を回そうとしても、買えるのは1,000株で479万円ぶんまでです。 残りの21万円ほどは現金のまま残り、配当を生みません。「500万円ぶんの配当」ではなく「479万円ぶんの配当」になる、ということです。 預金にはこの端数がありません。全額がそのまま利息を生みます。

引かれる率と仕組みは配当から引かれる税金のページに、出典と確認日を付けて掲載しています。 預金の利息のほうは預金利息にかかる税金にまとめています。

ToMiの計算機は、配当も預金の利息も税引後にそろえて並べています。預金の一部を高配当株に回したら、年間配当はいくら増える?で、自分の金額で確かめられます。

利率は決まっている。利回りは決まっていない

預金の利率は、預けたときに決まります。定期預金なら満期まで変わりません。 普通預金の利率は変わることがありますが、変わったことは通知されますし、 変わっても元本は減りません。

配当利回りは、買った時点で固定されません。 株価が動けば毎日変わりますし、会社が配当を変えれば分子も変わります。 「利回り4%の商品を買った」のではなく、「いま計算すると4%になる株を買った」というほうが実態に近いです。

預金配当のある株
受け取る額の決まり方契約した利率で計算会社が毎期決める
元本減らない上にも下にも動く
受け取りが止まることない減配・無配がある
いつでも引き出せるか普通預金は可売る必要があり、値段は選べない
元本を守る仕組み預金保険(1金融機関1,000万円まで)ない

預金保険の対象となる預金の場合です。詳しくは預金保険のページを見てください。

途中で現金にしたいときの動きも違います。 普通預金なら、必要な額だけを引き出せます。額も日も自分で決められます。 株を現金にするには売る必要があり、そのときの値段は市場が決めます。下がっている日に必要になれば、下がった値段で売ることになります。 さらに、100株単位でしか売れないので、必要な額だけを取り出すこともできません。

表の最後の行が、いちばん大きな違いです。 預金には、金融機関が破綻したときに元本と利息を守る仕組みがあります。 株にはありません。 金融機関が破綻したときに元本と利息が守られる範囲は、 預金保険の仕組みで決まっています。

それでも比べたいときの並べ方

「そのまま比べられない」で終わると、判断ができません。 比べるなら、次の3つを同じ画面に置いてください。

  • 税引後の受け取り額(配当と利息を、同じ円で)
  • その株が1割・2割・3割下がったときの金額
  • その金額が、増える配当の何年分にあたるか

1つめだけを見ると、配当のほうが必ず大きく見えます。 2つめと3つめを並べてはじめて、何を引き受けて、その差を得ようとしているのかが見えます。

預金と株を「どちらが得か」で比べることはできません。 比べられるのは「受け取る額の差」と「引き受ける振れ幅の大きさ」で、 そのどちらを重く見るかは人によって変わります。

もうひとつ、時間軸をそろえることも大切です。 「1年で185,000円の差」は、1年だけを切り取った数字です。 10年持つつもりなら、配当の差は10年分積み上がりますが、 その10年のあいだに減配や大きな下落が起きる確率も上がります。差が積み上がる時間は、下げに出会う時間でもあります。 長く持てば有利になるという言い方は、この両面を含んでいません。

比べるときは、期間を先に決めてから並べてください。 3年で使う予定のお金と、20年使わないお金では、同じ金額でも答えが変わります。 期間が短いほど、下げた局面に当たったときに戻る時間が残っていません。

判断が分かれるのは、手元にいくら残るかによっても変わるからです。 預金が生活防衛資金しかない人と、それを超えて積み上がっている人とでは、 同じ金額でも意味が違います。

その中間にあるもの

預金と株のあいだには、振れ幅の小さい選択肢もあります。 値動きを抑えたいけれど、預金の利息では物足りないという場合に、 先に見ておく価値があります。

  • 個人向け国債(変動10年)… 元本割れしない仕組みで、金利には下限があります
  • 定期預金 … 普通預金より利率が高く、預金保険の対象です
  • 複数の銘柄をまとめて持つ形 … 1社の減配で受け取る額がまとめて減ることは避けられます

どれを見るにしても、順番は変わりません。 先に手元へ残す額を決め、数年以内に使う予定のあるお金を外し、 残った額の中で考えます。比べる前に、比べてよい額を決めるということです。 この順番を飛ばすと、利回りの差だけを見て額を決めることになります。

この3つは、値動きの小ささの順に並べています。 上にあるものほど元本の動きが小さく、下にいくほど動きます。 自分がどのあたりまでなら落ち着いていられるかを、金額で確かめてみてください。

最初の2つは、台が動かないほうの仲間です。個人向け国債の仕組みを知っておくと、 「元本が動かないこと」を重く見る場合の選択肢が増えます。

振れ幅の小さいものから順に見ていくと、 自分がどこまでの動きなら受け入れられるのかが分かってきます。 最初から利回りの高いものだけを見比べると、受け入れられる範囲を確かめないまま額を決めることになります。 順番を逆にするだけで、判断の質が変わります。

3つめは台が動くほうですが、当たりどころが分かれます。 違いは高配当株とETFの違いにまとめています。

よくある質問

利回り4%と金利0.3%なら、株のほうが得ではないですか?
受け取る額だけを見ればそうなります。ただし500万円で比べると、差は年185,000円ほどなのに対し、株価が1割下がれば50万円減ります。増えた差の約2.7年分です。得か損かではなく、預金には無い振れ幅が乗っていると考えてください。
税金は両方にかかるなら、比べるときは無視していいですか?
率が同じなので、税引前どうしで比べても順番は変わりません。変わるのは金額です。「年20万円増える」と思っていた配当は、税を引くと16万円ほどになります。金額で判断するときは、税引後にそろえてください。
預金と株の中間にあたるものはありますか?
元本の動きを抑えたいなら、個人向け国債や定期預金が振れ幅の小さい選択肢です。値動きは受け入れたうえで1社に集中させたくないなら、複数の銘柄をまとめて持つ形があります。どちらを見るかは、何を重く見るかで変わります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては国税庁の配当所得のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。