結論から
この10年で大きく伸びた指数として名前を見ることが増えました。 ただ「米国株の代表」として扱うと、中身を取り違えます。 ナスダック100が見ているのは米国市場の全体ではありません。
この記事では、何を集めた100社なのか、どこに寄っているのか、 そして円で持つ人に何が効いてくるのかを順に見ていきます。
何を集めた100社なのか
ナスダック100(NASDAQ-100)は、ナスダックに上場している非金融の会社のうち、規模の大きい100社で構成されます。 銘柄の入れ替えは年1回、比率の調整は四半期ごとに行われます。
ここには2つの絞り込みが入っています。ひとつは「ナスダックに上場していること」。 米国にはニューヨーク証券取引所(NYSE)もあり、そこに上場している大企業は どれだけ大きくても入りません。
もうひとつは「金融を除く」という条件です。 銀行・保険・資産運用といった業種は、規模が大きくても対象外になります。 S&P500では金融が一定の比重を占めるので、ここは中身の違いとして効いてきます。
| ナスダック100 | S&P500 | |
|---|---|---|
| 社数 | 100社 | 500社 |
| 上場市場 | ナスダックのみ | 市場を限定しない |
| 金融 | 含まない | 含む |
| 銘柄の入れ替え | 年1回 | 随時 |
| 業種の広がり | 情報技術に寄る | より広い |
上位数社に寄っている
100社と聞くと分散されている気がしますが、重みは会社の大きさで決まるので、実際の中身は上位に大きく寄ります。 上位の数社だけで指数のかなりの部分を占める状態が、長く続いています。
これは欠点というより、指数の作りからくる性質です。 時価総額で重みを付ける指数は、大きい会社が伸びるほどその会社の比重がさらに上がります。 伸びている局面では、それが指数の伸びをそのまま押し上げます。
逆向きも同じです。上位数社が売られる局面では、 残りの90社あまりが持ちこたえても、指数全体は下げます。100社に投資しているつもりでも、結果を決めているのは上のほうの数社という時期があります。
偏りが行きすぎたときのために、指数の決まりには調整の仕組みが用意されています。 通常の比率調整は四半期ごとですが、 上位の比重が一定の水準を超えた場合には、臨時で比率を組み替えることがあります。放っておくと数社の指数になってしまうので、決まりの側で歯止めをかけているという形です。
ただし、歯止めがあるからといって偏りが消えるわけではありません。 比重を下げても、その会社が伸び続ければまた上がります。 上位に集まりやすいのは指数の性質であって、例外的な状態ではありません。
比重の偏りは時期によって変わります。 いま上位が何社でどれくらいを占めるのかは、連動するETFの運用会社が毎日公表しています。 気になったときはそこを見るのがいちばん確実です。
S&P500と何が違うのか
どちらも米国の株式に投資する指数なので、値動きは似た方向に動くことが多くなります。 上位に同じ会社が並ぶことも珍しくありません。 それでも、違いが出るのは下げる局面と、業種が入れ替わる局面です。
情報技術の比重が高い指数は、金利が上がる局面で売られやすくなります。 将来の利益を当て込んで買われている会社ほど、金利が上がるとその将来の価値が割り引かれるためです。 2022年のように金利が大きく動いた年は、ナスダック100のほうが深く下げました。
反対に、その業種に資金が集まる局面では、S&P500より速く伸びます。どちらが優れているかではなく、振れ幅の大きさが違うと考えてください。
- 伸びる局面では、S&P500より大きく伸びることがある
- 下げる局面では、S&P500より深く下げることがある
- 業種の偏りがあるぶん、どちらか一方だけで「米国株を持った」とは言いにくい
- 両方を持つと、上位の会社が重なって思ったより分散されないことがある
もうひとつ、社数そのものの違いも効いてきます。 500社なら1社が指数に占める割合は平均して小さくなりますが、100社ではそうなりません。1社の不調が指数に出やすいぶん、 個別の会社のニュースが自分の資産に直結しやすくなります。
買い方は、連動する投資信託かETFを通すのが一般的です。 日本の証券会社で買える投資信託にも、米国上場のETFにも、ナスダック100に連動する商品があります。 為替の影響を抑える「為替ヘッジあり」の商品もありますが、 ヘッジには費用がかかり、内外の金利差が大きいほどその費用も大きくなります。 円高で減るのを避けたいのか、費用を抑えたいのか、どちらを優先するかで選び方が変わります。
S&P500の中身についてはS&P500とは?で扱っています。両方を持つべきか迷っているなら、 先にそれぞれの中身を見てから考えるほうが早道です。
円で見ると、為替が乗る
ナスダック100は米ドル建てで取引される会社の集まりです。 日本に住んでいて円で生活している人にとっては、指数の値動きと、ドル円の動きの両方が結果に掛かります。
円安が進んだ期間は、指数の伸びに為替の分が上乗せされます。 この10年の円で見た実績が大きく見えるのは、その両方が同じ向きに動いた期間を含むからです。
逆に、円高が進む期間は、指数が上がっていても円で見た資産が減ることがあります。「指数が上がったのに、円の評価額が増えていない」という状態は、普通に起こります。
ToMiの試算では、指数そのものの動きと円換算した結果を並べて出しています。自分の金額で、どちらがどれだけ効いたかを確かめると、為替の分を切り分けて見られます。
下げるときは、深く下げる
過去の年率だけを見ると、その期間ずっと真っすぐ増えたように読めます。 実際には、途中で深く沈んだ時期があります。 投資を続けられるかどうかを決めるのは、年率ではなくこの谷の深さと長さです。
半分になったものが元に戻るには、そこから2倍にならなければなりません。 下げ幅が深いほど、戻るのに必要な上げ幅も、かかる時間も伸びます。 ナスダック100は過去に、1年で3割を超えて下げた年があります。
ここで効いてくるのは金額の大きさです。 100万円が3割下がると30万円ですが、1,000万円なら300万円です。 率は同じでも、耐えられるかどうかは金額で決まります。
毎月決まった額を積み立てていく持ち方なら、下げた時期は安く買える時期にもなります。 ただしそれは、積立を止めずに続けられた場合に限られます。 下げが続く局面で積立を止めてしまうと、安く買えるはずだった期間を丸ごと逃します。 金額を決めるときは、下げている最中でも続けられる額かどうかで考えてください。
長く持ち続ける前提なら、途中の下げは通り過ぎるものだと考えることもできます。 ただしそれは、その下げのあいだ売らずに済む金額に収めていた場合の話です。 生活費や数年以内に使う予定のお金を入れていると、いちばん下げた時期に売る側に回ります。

