指数・インデックス

インド株とは?

「人口が世界でいちばん多い」という説明はよく見ますが、それだけで投資の判断材料にするには足りません。

読了めやす8分更新

この記事の要点

  • 日本から買えるインド株の多くは、国際的な投資家が買える大型・中型株を集めた指数に連動します。
  • 中身は銀行を中心とした金融の比重が高く、上位数社で指数のかなりの部分を占めます。
  • 経済が伸びることと株価が上がることは別です。結果を決めるのは成長そのものではなく、期待との差です。
  • 米国上場のETFなどを通して持つ場合、ルピー・米ドル・円と為替が2段階で掛かります。
  • 現地の株価が上がっても、ルピー安や円高が進めば円で見た成績はそのぶん削られます。
  • 連動するETFの設定が2012年のため、遡れる期間は日本株や米国株の指数より短くなります。
  • 新興国の指数に連動する商品は、先進国の指数より信託報酬が高めです。

結論から

インド株に投資するというのは、インド1国の、しかも金融に比重が寄った株式を持つということです。 新興国なので、政治や規制の変更が株価に直接響きます。 円で持つ人には、ルピーと米ドルの2つの為替が結果に掛かります。

「人口が世界でいちばん多い」「これから伸びる国」という説明をよく見ます。 その見立て自体を否定する必要はありませんが、 それだけで投資の判断材料にするには足りません。

この記事では、インド株の指数が実際に何を持っているのか、 何が結果を動かすのか、そして過去の数字をどう読めばよいのかを整理します。

何に投資していることになるのか

日本から買えるインド株の商品は、多くがMSCI Indiaという指数に連動します。 この指数は、国際的な投資家が買えるインドの大型・中型の株式を集めたものです。 インドの上場企業すべてではありません。

中身を見ると、銀行を中心とした金融の比重が高く、 そこにエネルギー、通信、情報技術が続きます。 上位数社で指数のかなりの部分を占めるため、 「インド経済全体に投資している」というより「インドの大企業の集まりを持っている」ほうが実態に近くなります。

確かめたいこと実際のところ
インドの全企業に投資している?いいえ。大型・中型の一部です
業種は分散している?金融の比重が高くなります
何社くらい?百数十社の規模です
現地の取引所で買う?多くは米国上場のETFや投資信託を通して持ちます
マネック(案内役):国の名前で買うときこそ、中身の一覧を一度見てみてほしいな。 「インド」という言葉から想像するものと、上位に並ぶ会社はけっこう違うよ。

持っている銘柄と比率は、連動するETFの運用会社が毎日公表しています。 商品を選ぶ前に一度見ておくと、 自分が何に賭けようとしているのかがはっきりします。

「人口が増えるから」で決めない

新興国への投資でいちばん多い説明が、人口や経済成長の見通しです。 それは長い目で見た背景としては意味がありますが、経済が伸びることと、株価が上がることは同じではありません。

理由は2つあります。ひとつは、経済成長のうちどれだけが上場企業の利益になるかが決まっていないこと。 もうひとつは、期待が先に株価へ織り込まれていることです。 「これから伸びる」と多くの人が思っている国ほど、 伸びる前提の値段がすでに付いています。

期待どおりに伸びても株価が動かないことがあり、 期待を下回ると、伸びていても株価は下がります。投資の結果を決めるのは成長そのものではなく、期待との差です。

将来の成長率を根拠に「だから買い」と断じる説明には、いったん立ち止まってください。 その成長率は、いまの株価にどこまで入っているのか。 そこを確かめないまま買うと、良い見通しが当たったのに増えない、ということが起こります。

加えて、新興国には制度の不確実さがあります。 税や外国人投資家への規制が変わることがあり、 企業の業績とは関係のないところで株価が動きます。 先進国の指数より、この種の変動が大きいと見ておいてください。

為替が二重にかかる

ここがインド株でいちばん見落とされやすいところです。 日本から米国上場のETFなどを通して持つ場合、ルピー建ての株価が米ドルに直され、その米ドルが円に直されます。 為替が2段階で掛かります。

外貨建ての資産を円で見るときは、指数の動きと為替の動きが掛け算になる指数が上がる現地通貨で+×円安になる円の額が増える=円で見た資産両方が乗る円高のときは、指数が上がっても円では減ることがある
どちらも上向きなら、円で見た増え方は指数の増え方より大きくなります。逆に円高が進めば、指数が上がっていても円では減ることがあります。指数のリターンと、日本に住む人が受け取るリターンは別のものです。

つまり、現地の株価が上がっていても、 ルピーが米ドルに対して下がれば、ドルで見た成績はそのぶん削られます。 さらに円高が進めば、円で見た成績はもう一段削られます。

  • 現地の株価が上がる:プラス
  • ルピーが安くなる:マイナス(ドルで見た額が減る)
  • 円が高くなる:マイナス(円で見た額が減る)
  • 円が安くなる:プラス(円で見た額が増える)

長い期間で見ると、インドは物価の上昇が先進国より高い時期が続いてきました。 物価の上がりやすい通貨は、長い目で見ると弱くなりやすい傾向があります。現地で増えた分が、そのまま円で受け取れるとは限らないということです。

指数そのものの動きと、円で見た結果を並べると、どちらがどれだけ効いたかが分かります。自分の金額で、円換算の実績を確かめると、株価と為替を切り分けて見られます。

遡れる期間が短い

日本から買える形でインド株の実績を追えるのは、 日経平均やS&P500に比べるとずっと短い期間です。 連動するETFの設定が2012年なので、それより前は同じ条件で比べられません。

どこから数えるかで、同じ指数でも答えが変わる好調な時期から数える大きく増えた高値の直前から数えるほとんど増えない暴落の直後から数えるとても大きく増えた
始まりの月を変えるだけで、同じ指数から別の結論が出ます。過去のリターンを読むときは、いつからいつまでを数えたのかを必ず見てください。都合のよい期間を選べば、都合のよい数字が出ます。

期間が短いと何が困るのか。長い下げ局面を含んだ実績を確かめられないことです。 たまたま伸びた10年だけを見て「この調子が続く」と考えると、 含まれていない下げ局面がそのまま見落としになります。

どの年を起点にするかで答えが変わる、という問題もあります。 高値の直前から数えるか、下げ切った直後から数えるかで、同じ指数の年率が大きく変わります。 期間の短い指数ほど、この影響が強く出ます。

年ごとに何%動いたかはインド株の年間騰落率に並べています。年率という1つの数字ではなく、年ごとの並びで見ると、 どれくらいの頻度で下げる年が来ているかが分かります。

過去の数字の読み方そのものについては過去の実績は、将来の約束ではないで扱っています。期間の取り方で結論が変わる例を具体的に見られます。

資産の中でどう置くか

インド株は、全世界株式やS&P500の中にもわずかに含まれています。 単独で買うというのは、その比重を自分の判断で大きくするという意味です。 何もしなくても少しは持っている、というところが出発点になります。

そのうえで単独で持つなら、決めておきたいことが2つあります。 全体の何%までにするか、そして何年持つつもりかです。 値動きの大きい資産ほど、先に上限を決めておかないと、 下げた局面で「もう少し待とう」と金額を増やしてしまいがちです。

マネック(案内役):上限を決めるのは、我慢するためじゃないよ。 下げたときに売らずに済む金額に、あらかじめ収めておくため。 売らずに済む金額かどうかが、結局いちばん効いてくるんだ。

もうひとつ、費用も見ておいてください。 新興国の指数に連動する商品は、先進国の指数に比べて信託報酬が高めです。 差は年あたりでは小さく見えますが、持つ年数だけ積み上がります。

商品を選ぶときに見る場所は3つあります。何に連動しているか、信託報酬がいくらか、為替ヘッジが付いているかです。 同じ「インド株」という名前でも、連動先が違えば中身が変わります。 大型株だけのもの、中小型を含むもの、現地の代表的な指数に連動するものがあります。

為替ヘッジの付いた商品は、円高で目減りするのを抑えられます。 ただしヘッジには費用がかかり、内外の金利差が大きいほどその費用も大きくなります。 新興国の通貨は金利が高いことが多いため、ヘッジの費用も高くつきやすいところがあります。為替の影響を消せる代わりに、毎年その分を払うと考えてください。

受け取る分配金の扱いも確かめておいてください。 分配金を出す商品と、内部で再び投資に回す商品があります。 長く持って増やすことが目的なら、受け取らずに再投資される形のほうが、 その都度の税金がかからないぶん効率がよくなります。

新興国株式の指数を別に持っている場合は、重なりにも気をつけてください。 新興国株式の指数にはインドも含まれるので、インド株を単独で足すと、その比重が二重に上がります。 単独で持つ分と、他の商品の中に入っている分を合わせて、全体で何%になるのかを見てください。

持つ年数も決めておいてください。新興国の株式は、伸びる局面と沈む局面の差が大きく、 数年では結果が偶然に左右されます。短い期間で結論を出そうとすると、 たまたま悪い期間に当たっただけで判断が変わります。何年持つつもりかを先に決めておくと、途中の上下に振り回されにくくなります。

手元にいくら残すかが決まっていないなら、そちらが先です。 生活費や近く使う予定のお金を投資に回さないことは、 どの指数を選ぶかより結果に効きます。

よくある質問

インドは成長するのだから、株価も上がるのではないですか?
経済成長と株価の上昇は同じではありません。成長のうちどれだけが上場企業の利益になるかは決まっておらず、期待は先に株価へ織り込まれます。期待どおりに伸びても株価が動かないことがあり、期待を下回れば下がります。
為替が二重にかかるとは、どういう意味ですか?
米国上場のETFなどを通して持つ場合、ルピー建ての株価がまず米ドルに直され、その米ドルが円に直されます。現地で上がっていても、ルピー安や円高が進めば、円で受け取れる額はそのぶん減ります。
全世界株式を持っていれば、インド株も持っていることになりますか?
含まれていますが、比重はごくわずかです。単独で買うというのは、その比重を自分の判断で大きくするという意味になります。まず、いま持っている商品にどれだけ入っているかを確かめてください。

参照した一次情報

あわせて読みたい

この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては金融庁のNISA・つみたて投資枠のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。