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ドルコスト平均法とは?

下がるのは買った値段であって、損の大きさではありません。固定しているのが金額のほうだ、という一点から全部が出てきます。

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この記事の要点

  • 固定しているのは金額のほうです。買える量は値段しだいで勝手に変わります。
  • そのため安い月ほど多く買え、平均買付単価は値段の単純平均を上回りません。値段がばらつけば必ず下回ります。
  • 口数のほうを固定すると、平均買付単価は値段の単純平均とぴったり一致します。差が出るのは金額を固定したときだけです。
  • 平均買付単価が下がることと、儲かることは別です。最後の値段がそれを下回れば損になります。
  • 減らせるのは、買う時期を1点に賭ける危険だけです。買い終わったあとの値動きは一括と同じように受けます。
  • 毎月の収入から積み立てる場合と、手元の余裕資金を分けて入れる場合は別の話です。後者には待っている現金があります。

結論から

毎月同じ金額で買うと、値段が安い月ほど多く買えます。 その結果、平均買付単価は値段の単純平均より必ず低くなります。 ただし下がるのは買った値段だけで、儲かるかどうかは別の話です。

ドルコスト平均法は、名前のわりに中身が単純な話です。 やっていることは「毎月の投資額を決めて、それを守る」だけで、 値段を見て買う量を変えたりはしません。

それなのに平均買付単価が下がるのは、金額を固定したことの裏返しで、 買う量のほうが勝手に増えたり減ったりするからです。 仕組みが分かると、この方法が何を減らしてくれて、 何は減らしてくれないのかもはっきりします。

ドルコスト平均法とは

一定の金額で、同じ商品を、決めた間隔で買い続ける方法です。 日本では「積立投資」と呼ばれることのほうが多く、 金融庁は積立投資を 「一括で投資するのではなく『あらかじめ決まった金額』を『続けて』投資すること」 と説明しています。

ここで大事なのは、固定しているのは金額のほうだという点です。 毎月30,000円と決めたら、値段が上がっても下がってもその金額を投じます。 買える量は値段しだいで変わり、そこは自分では決めません。

「ドルコスト」という名前は、ドルで買う話だからではありません。 英語の dollar-cost averaging をそのまま訳したもので、円で買っても同じです。

間隔は毎月でなくてもかまいません。毎週でも隔月でも、 金額を決めて続けているならドルコスト平均法です。 金融機関の積立サービスを使うと自動で買い付けられますが、 自分で毎月手動で買っても、やっていることは同じです。

間隔を細かくすれば効果が上がる、という性質のものでもありません。 買う回数が増えれば値段のばらつきを拾う機会は増えますが、 毎月を毎週に変えたところで、平均買付単価が目に見えて動くわけではありません。 それよりも、決めた金額を途中で止めずに続けられるかのほうが、 結果にはるかに大きく効きます。金融庁も積立投資の利点として、 「安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられる」 という点を挙げています。値段を見て判断する回数を減らすこと自体が、 この方法の中身だということです。

なぜ平均買付単価が下がるのか

金額を固定すると、買える量は値段の逆数に比例します。 値段が半分になれば同じ金額で2倍、3分の1になれば3倍買えるということです。 逆に値段が2倍になれば、買えるのは半分になります。 この「安いときほど多く買い、高いときほど少なく買う」が自動的に起きることが、 平均買付単価を押し下げます。

狙って安い日を待つのとは違います。待つ場合は、 いつが安いのかを自分で当てる必要があり、外せば何も買えません。 金額を固定する方法では、当てる作業そのものがありません。 安かったかどうかは、買ったあとに結果として分かるだけです。

毎月同じ金額で買うと、値段が安い月ほど多く買える値段買えた口数10,0001月3口8,0002月3.75口5,0003月6口12,0004月2.5口
上が1口あたりの値段、下がその月に買えた口数です。毎月30,000円ずつという金額のほうを固定しているので、値段が下がった3月がいちばん多く買えています。買えた口数の合計で投じた総額を割ったものが、平均買付単価になります。

実際の数字で確かめます。1口の値段が月ごとに動く商品を、 毎月30,000円ずつ4か月買った場合です。

買った月1口の値段買えた口数
1月10,000円3口
2月8,000円3.75口
3月5,000円6口
4月12,000円2.5口
合計120,000円を投じた15.25口

投じた総額を、買えた口数で割ると平均買付単価が出ます。

120,000円 ÷ 15.25口 = 約7,869円

一方、4か月の値段をそのまま平均すると (10,000+8,000+5,000+12,000)÷4で8,750円です。 平均買付単価のほうが881円低く出ています。 安かった3月に6口も買えたことが、全体を引き下げました。

マネック(案内役):ここ、順番を逆にすると分かりやすいよ。 「安いときに多く買おう」と狙ったわけじゃなくて、 金額を決めて動かさなかったから、結果としてそうなっただけなんだ。

「必ず下がる」のはどこまでか

さきほどの例はたまたまではありません。 金額を固定して買い続けるかぎり、平均買付単価は値段の単純平均を上回ることがありません。値段が全部同じだったときだけ一致し、 少しでもばらつけば必ず下回ります。

理由は、高い月ほど口数への寄与が小さいからです。 12,000円の月に買えたのは2.5口で、5,000円の月には6口買えています。 平均買付単価は買えた口数で割って出すので、 口数の多い安い月のほうが、計算の中で重く効きます。 値段をそのまま足して割る単純平均は、この重みを無視しているわけです。

比べると分かりやすいのが、口数のほうを固定した場合です。 同じ4か月を「毎月3口ずつ買う」に変えると、こうなります。

買い方固定するもの支払った総額平均買付単価
毎月30,000円ずつ金額120,000円約7,869円
毎月3口ずつ口数105,000円8,750円

口数を固定すると、平均買付単価は値段の単純平均とぴったり同じ8,750円になります。 金額を固定したほうだけが、それより低くなるわけです。 ドルコスト平均法の効果と呼ばれているものの正体は、ここです。

平均買付単価が下がることと、儲かることは別です。 上の表の2つは支払った総額が違うので、利益の比較にはなりません。 比べられるのは、1口をいくらで手に入れたかだけです。

別であることは、下がり続ける相場に当てはめるとはっきりします。 10,000円から4,000円まで下げていく4か月に、同じく毎月30,000円ずつ買った場合です。

買った月1口の値段買えた口数
1月10,000円3口
2月8,000円3.75口
3月6,000円5口
4月4,000円7.5口
合計120,000円を投じた19.25口

平均買付単価は120,000円÷19.25口で約6,234円。 値段の単純平均7,000円をきちんと下回っています。 それでも4月末の評価額は19.25口×4,000円で77,000円、 投じた120,000円に対して43,000円の損です。

つまり「平均買付単価が単純平均より低い」は常に成り立ちますが、 それは損益について何も約束していません。 約束しているのは、同じ期間に同じ商品を買うなら、 口数を固定するより安く手に入るということだけです。

減らせるもの、減らせないもの

この方法が減らしてくれるのは、買う時期を1点に賭けてしまう危険だけです。 たまたま高い日に全部買ってしまった、という事態は起きにくくなります。

減らしてくれないものは、はっきりしています。

  • 買い終わったあとの値動き。積み立てた資産も、相場が半分になれば半分になります
  • 下がり続ける相場での損。平均買付単価が単純平均より低くても、最後の値段がそれを下回れば損です
  • 商品そのものの値動きの大きさ。振れ幅の大きい商品を選べば、買い方を変えても結果は大きく振れます
同じ年率でも、途中の道のりは違う。真っすぐ増える線と、途中で沈んでから戻る線投資した時点いま同じ着地ここで売ると、この結果にならない
どちらも始点と終点が同じなので、あとから計算した年率は同じ値になります。ちがうのは途中で、下の線は一度大きく沈んでいます。持ち続けられるかどうかを決めるのは、終点ではなく、この沈み方のほうです。

積立を続けるほど資産は大きくなるので、 1回の下落で動く金額もだんだん大きくなります。 始めたころは数万円の上下でも、10年続ければ同じ下落率で数百万円動きます。 買い方で和らぐのは最初のうちだけ、と考えておくほうが実際に近いはずです。

買うのをやめた時点で、この方法の出番は終わります。 そこから先は、持っている口数をそのまま持ち続けているだけで、 一括で買った人とまったく同じ値動きを受けます。 「積立だから安心」が効くのは買っているあいだだけで、 積み上がった資産のほうは、どう買ったかを覚えていません。

効く場面と、効かない場面

もうひとつ、混同されやすい区別があります。これから入ってくるお金を積み立てる場合と、すでに手元にあるお金を分けて入れる場合です。

毎月の給料から積み立てるなら、待っている現金はそもそも存在しません。 受け取るたびに投じるので、ほかの選び方がなく、比べる相手もいません。

一方、まとまった余裕資金がすでに手元にあるなら話が変わります。 分けて入れているあいだ、まだ投じていないお金は現金のまま置かれます。 その期間、そのお金は値上がりにも値下がりにも参加していません。 平均買付単価は下がっても、市場に置いていた時間が短くなるぶんが差し引かれます。

マネック(案内役):どっちが得かは、入れ終わるまでの値動きで決まるんだ。 分けているあいだに上がれば一括のほうが、下がれば分けたほうが残る。 先に分かる人はいないから、過去に何回どうだったかを見るのが現実的だよ。

手元の余裕資金をどう入れるかで迷っているなら、 過去の同じ条件で一括と分割がそれぞれ何回上回ったかを、自分の金額で確かめられます。

自分の金額で、一括と分割の差を過去の実績から出す

どちらの場合でも、続けられる金額にしておくことのほうが効きます。 途中で止めたり売ったりすれば、平均買付単価の話はそこで終わります。

よくある質問

平均買付単価は、本当に必ず下がるのですか?
金額を固定して買い続けるかぎり、値段の単純平均を上回ることはありません。値段が毎回まったく同じだったときだけ一致し、少しでもばらつけば下回ります。ただし下がるのは買った値段であって、損益ではありません。値段が下がり続ければ、平均買付単価が単純平均より低くても元本を割ります。
毎月同じ口数ずつ買うのとは違うのですか?
違います。口数を固定すると、平均買付単価は値段の単純平均とぴったり同じになります。安い月に多く買うことにならないためです。ドルコスト平均法と呼ばれているのは、金額のほうを固定するやり方です。
手元にまとまったお金がある場合も、分けて買ったほうがよいですか?
一概には言えません。分けているあいだ、まだ投じていないお金は現金のまま置かれ、値上がりにも値下がりにも参加しません。平均買付単価は下がっても、市場に置いていた時間が短くなるぶんが差し引かれます。どちらが残るかは、入れ終わるまでの値動きで決まります。

参照した一次情報

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