法人・事業

課税文書になる契約は、合意から保管まで電子で完結させて印紙税をかけない

紙で契約書を取り交わしている事業者が、合意から保管までを電磁的記録で完結させることで、課税文書の作成そのものを起こさず、印紙税の負担をなくすアイデアです。

税・社会保険が減る

120,000円/ 年

記載金額300万円超500万円以下の請負契約書(第2号文書・2,000円)を、月5通ずつ紙でやめた場合

  • 月あたり 10,000円
  • 5年で 600,000円
  • 条件が違うと 2,400円〜240,000円
手間
大きな変更
効果が出るまで
1か月以内
条件依存度
高い
初期費用
なし

2026/10/07 時点で有効 · 金額は前提を決めた目安で、おすすめ度ではありません

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印紙税とは?

印紙税は、契約書や領収書など、印紙税法で定められた課税文書を作成したときにかかる税です。

課税文書の「作成」とは、用紙に課税事項を記載してその文書の目的に従って行使することをいい、相手方に交付する目的で作られた文書については交付の時が作成の時になります(印紙税法基本通達第44条)。

税額は文書の種類と記載金額で決まり、請負に関する契約書(第2号文書)なら記載金額300万円超500万円以下で2,000円、継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)なら4,000円です。

  • 契約の中身も相手も同じです。動かすのは、紙の現物を交付するかどうかだけです。
  • 印紙税がかかるのは「課税文書を作成したとき」です。そして相手方に交付する目的で作られた文書では、交付の時が作成の時とされています(印紙税法基本通達第44条)。紙の現物を渡さなければ、作成そのものが起きません。
  • 福岡国税局は平成20年10月24日、請負契約の注文請書をPDFなどの電磁的記録に変換して電子メールで送信する場合について、「注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しない」という照会者の見解に対し、「貴見のとおりで差し支えありません」と回答しています。
  • ただし、同じ照会にこう書かれています。 「電子メールで送信した後に本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課される」。電子で送ったあとに「控えとして紙も」を続けていると、税は残ったままで、手間だけが増えます。
  • 回答そのものにも断りが付いています。 「この回答内容は福岡国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません」「ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります」。自社の文書と運用で判断するときは、税務署か税理士に確かめてください。

文書の種類と、1通あたりの印紙税

国税庁の印紙税額の一覧表から抜いたものです。第2号文書は記載金額で区分が分かれ、ここに出しているのはその一部です。

第2号文書(請負に関する契約書)

記載金額
1万円未満
1通あたりの印紙税
非課税

第2号文書(請負に関する契約書)

記載金額
1万円以上100万円以下
1通あたりの印紙税
200円

第2号文書(請負に関する契約書)

記載金額
300万円超500万円以下
1通あたりの印紙税
2,000円

第2号文書(請負に関する契約書)

記載金額
1,000万円超5,000万円以下
1通あたりの印紙税
20,000円

第2号文書(請負に関する契約書)

記載金額
記載金額なし
1通あたりの印紙税
200円

第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)

記載金額
金額によらない
1通あたりの印紙税
4,000円
  • ※ 第2号文書の税額は記載金額で12の区分に分かれます。全部の区分は出典の一覧表で確かめてください。
  • ※ 第7号文書は、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除かれます。売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書などが該当例として挙げられています。

具体例で見る

記載金額300万円超500万円以下の請負契約書(第2号文書・2,000円)を、月5通ずつ紙でやめた場合

  • 月5通という通数は、この例で置いた値です。 実際の額は、年に何通の課税文書を紙で作っているかで決まります
  • 1通あたりの税額は文書の種類と記載金額で変わる(第2号文書で300万円超500万円以下なら2,000円)
  • 相手方も電子での受け取りに同意している
  • 電子契約サービスの費用は、この計算に入れていない
  • 印紙税が損金から減るぶん法人税等は増えるので、手元に残る額はこれより小さくなる
  1. 11通あたりの印紙税 = 2,000円(第2号文書・記載金額300万円超500万円以下)
  2. 2年間の通数 = 5通/月 × 12か月 = 60通
  3. 3差 = 2,000円 × 60通 = 120,000円/年

この条件なら年間120,000円/ 条件が違えば額も変わります

式:1通あたりの印紙税額 × 紙でやめる年間の通数

あなたの場合は?

上と同じ式に、自分の数字を入れてください。概算です。

この条件なら年間120,000円(月あたり 10,000円)

式のとおりに1回計算しただけの概算です。上の「得になる条件」と「注意点」に当てはまらない分は、 この額から減ります。

こんな人向け

  • 契約書や注文請書を紙で取り交わし、印紙を貼っている
  • 直近1年に印紙を貼った文書の種類と通数を数えられる
  • 相手方が電子での受け取りに応じる見込みがある
  • 電子取引のデータを保存する仕組みがある、または用意できる

得になる条件

  • 紙の現物を交付しないことが前提です。 電子で送ったあとに現物を持参・郵送して渡せば、その現物に印紙税がかかります。
  • 相手方の同意が要ります。片方が紙を求めれば、その文書は紙のままです。
  • 電子取引で授受した契約書は、電子帳簿保存法第7条により、一定の要件の下でその電磁的記録を保存しなければなりません。契約書は「電子取引の取引情報」に含まれると定義されています。
  • 1通あたりの税額は、文書の種類と記載金額で決まります。第2号文書は記載金額で12の区分に分かれ、第7号文書は4,000円です。
  • 税務上の判断は自社の文書と運用で変わります。福岡国税局の回答は、照会者の事実関係を前提としたものです。

注意点

  • 電子で送ったあとに紙も渡すと、印紙税は残ります。 「念のため控えを郵送」という運用が1つ残っていれば、その文書の負担は変わりません。これは照会の回答にそのまま書かれています。
  • 福岡国税局の回答は平成20年10月24日のもので、「福岡国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません」と明記されています。事実関係が異なれば、異なる課税関係が生ずることがあります。
  • 電子契約サービスには費用がかかります。年に数通しか課税文書を作らないなら、費用のほうが大きくなります。先に通数と税額を数えてください。
  • 電子帳簿保存法の保存要件を満たさないまま切り替えると、印紙税は減っても別の不備が残ります。印紙税の話と保存の話は別に整えてください。
  • 相手方が紙を求める取引は電子にできません。全部を電子にできる前提で見積もると、実際の削減額は小さくなります。
  • 印紙税が減れば損金も同額減るので、法人税等はそのぶん増えます。手元に残る額は、印紙税の削減額より小さくなります。

やり方

  1. 1直近1年に印紙を貼った文書を洗い出し、文書の種類と記載金額ごとに通数を数える
  2. 21通あたりの税額を、国税庁の印紙税額の一覧表で確かめる
  3. 3相手方ごとに、電子での取り交わしに応じるかを確認する
  4. 4電子に切り替える文書を決め、紙の現物を渡す運用を止める(控えの郵送も含めて)
  5. 5電子取引のデータの保存を、電子帳簿保存法の要件に合わせて整える
  6. 6自社の文書と運用で判断が変わるので、税務署か税理士に確かめる

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