結論から
「日経平均に投資する」と言うとき、実際に買うのは商品です。 そしてその商品には、大きく分けて2つの形があります。 どちらを選んでも同じ指数を追いかけますが、 買い方と手数料の形が違います。
この記事では、その2つの違いと、 自分に合うほうを選ぶための見方を整理します。
買い方は2つある
まず、指数と商品の関係を確かめておきます。 ここがあいまいなままだと、商品を選ぶ話が始まりません。
日経平均という数字は、日本経済新聞社が計算して公表しているものです。 その数字自体を売り買いすることはできません。
指数は「どの銘柄をどれだけ持つか」の決まりごとで、実物ではありません。 その決まりごとのとおりに株を買い集めた商品が売られていて、 私たちが買うのはそちらです。
日経平均に連動する商品には、次の2つの形があります。
名前は似ていますが、扱いはかなり違います。 どちらが優れているという話ではなく、向いている使い方が違うだけです。
- ETF — 証券取引所に上場していて、株と同じように売買する
- 投資信託(インデックスファンド)— 証券会社や銀行を通じて、1日1回の価格で売買する
中身はどちらも同じで、日経225の銘柄を決まりごとのとおりに持っています。 違うのは売買のしかたと、費用のかかり方です。
ETFの性質
まずETFのほうから見ます。名前は Exchange Traded Fund の略で、 取引所で売買できる投資信託、という意味です。 中身は投資信託ですが、売買のしかたが株に近くなっています。
ETFは取引所に上場しているので、株と同じように売買します。 取引時間中はずっと値段が動いていて、 そのときの値段で買ったり売ったりできます。
売買のしかたは、株とまったく同じです。 いくらで買うかを指定する注文も出せますし、その場の値段ですぐ買うこともできます。 自分が納得した値段で売買したい人には、この自由度が向いています。
利点は、費用が低めであることと、値段が見えることです。 いくらで買えたのかが、その場ではっきりします。
一方で、扱いにはくせがあります。 売買のたびに証券会社の手数料がかかり、1株あたりの値段が決まっているため、金額を指定して買いにくいことがあります。 「毎月3万円ずつ」という買い方が、そのままではできない場合があります。
もうひとつ、分配金の扱いも違います。 ETFは分配金が現金で口座に入るのが一般的で、 再投資したければ自分で買い直す必要があります。 手間がかかるうえ、受け取るたびに税金が引かれます。
売買のたびの手数料は、いまは無料の証券会社も増えています。 使っている口座の条件を一度確かめておくとよいところです。
投資信託の性質
次に、一般的な投資信託です。 証券会社や銀行の口座から買う形で、こちらのほうが目にする機会は多いかもしれません。
投資信託は取引所に上場していません。 注文を出すと、その日の基準価額で売買されます。 値段はあとから決まるので、いくらで買えたかは注文の時点では分かりません。
値段が1日1回しか決まらないのは、不便に見えるかもしれません。 けれど長く持つつもりなら、その日のうちの値動きを追う必要はありません。 むしろ、値段を見ないで済むことが利点になる場面もあります。
利点は、金額を指定して買えることと、 分配金を自動で再投資できる商品が多いことです。 「毎月3万円」と決めておけば、口座から自動で買い付けられます。
分配金を出さずに中で再投資する仕組みの商品なら、 受け取るたびの税金が発生しません。 その分だけ、複利の効きが良くなります。
積立で続けたい人にとって、この自動化はかなり大きな差になります。 毎月の判断が要らないぶん、続けやすくなるからです。 相場が下がった月に手が止まる、ということが起きにくくなります。
手数料の面でも、投資信託は買うときの費用が無料の商品が多くなっています。 少額を何度も買う積立では、この差が効いてきます。 1回あたりの手数料が小さくても、毎月かかれば年に12回分になります。
どちらを選ぶか
性質が分かったところで、選び方を整理します。 目的によって答えが変わるので、まず自分の目的をはっきりさせるところからです。
違いを一覧にすると、次のようになります。 どれか1つで決めるのではなく、自分が重く見る行にどちらが向いているかで判断してください。
| ETF | 投資信託 | |
|---|---|---|
| 売買のしかた | 取引時間中の値段 | 1日1回の基準価額 |
| 金額指定での購入 | しにくい | しやすい |
| 自動積立 | 対応が限られる | しやすい |
| 分配金 | 現金で受け取る | 再投資型を選べる |
| 信託報酬 | 低めのことが多い | 低いものも多い |
| 売買手数料 | 都度かかる | 無料のものが多い |
迷ったときは、自分がどれくらいの頻度で口座を開くかを考えてみてください。 月に一度も見ないつもりなら、自動で買い付けられる形のほうが確実です。 値段を見て判断したいなら、その自由があるほうが向いています。
毎月の積立で長く続けたいなら、投資信託のほうが向いています。 自動化できることと、分配金を出さずに再投資できることが理由です。
どちらを選んでも、追いかけている指数は同じです。 10年後の結果に大きな差が出るような選択ではありません。
まとまった金額を、自分の見ている値段で買いたいならETFです。 売買の自由度が高く、費用も低めに抑えられます。
なお、信託報酬の差はかつてほど大きくありません。 投資信託の側にも低い費用の商品が増えたので、費用だけで決められるほどの差が無いこともあります。そのときは、続けやすさで選ぶほうが結果につながります。
買う前に確かめること
形が決まったら、次は具体的な商品を選ぶ段階です。 ここでも、同じ指数に連動する商品どうしで条件が違います。
見るべきは3つです。どれも商品の画面や目論見書に書かれています。
- 信託報酬。同じ指数でも商品によって差がある
- 純資産総額。小さすぎると、途中で運用が終わることがある
- 分配金の扱い。再投資されるのか、受け取るのか
1つ目の信託報酬は、同じ指数に連動する商品どうしでも差があります。 長く持つほど効いてくるので、最初に見比べておく価値があります。
2つ目は見落とされやすい点です。 純資産総額が小さいまま増えない商品は、繰上償還といって、 運用そのものが打ち切られることがあります。 そうなると、そのタイミングで現金化されてしまいます。
費用がどれくらい効くかは、金額で見ると分かります。自分の保有額で信託報酬の差を試算すると、年0.X%の差が何年でいくらになるかが円で出ます。
3つ目の分配金は、税金に効いてきます。 受け取るたびに税金が引かれ、そのぶん再投資に回る額が減ります。 長く持つほど、この差は積み重なります。
商品を選び終わったら、あとは決めた方法を続けるだけです。 途中で商品を乗り換えると、そのたびに売却の税金がかかることがあります。 最初に決めておくほうが、結果としては手間も費用も少なくなります。
過去にどう動いたかは、自分の金額で確かめられます。日経平均に投資していたら今いくらかを試算すると、その期間にいちばん沈んだところも合わせて出ます。
