借り換えは新しい借入
借り換えは、いまの契約の金利を書き換えてもらう手続きではありません。別の金融機関で新しく借りて、そのお金でいまのローンを一括返済する手続きです。 新しい借入なので、最初に家を買ったときと同じように審査があります。
最初に家を買ったときは、不動産会社が金融機関との間に立ってくれたはずです。 借り換えには売買がないので、間に立つ人がいません。 書類を集めるのも、金融機関を選ぶのも、日程を決めるのも自分でやることになります。 金額の話に入る前に、そこにかかる手間も見ておくと後で慌てません。
流れは、事前審査、本審査、契約・実行の3段階です。 事前審査は書類が少なく、数日で結果が出ます。 本審査では収入を証明する書類、物件の資料、健康状態の申告などが必要になります。 申し込みから実行まで、全体で1か月以上かかることも珍しくありません。
この期間の長さが、実務上の落とし穴になります。 多くの金融機関では、適用される金利は申込日ではなく実行日のものです。 申し込んだときに見ていた金利が、実行までに変わることがあります。 変動なら影響は小さいのですが、固定を選ぶ場合は差が出ることがあります。
審査の結果が出るまでは、いまのローンをそのまま返し続けます。 借り換えが決まって実行日が来た日に、いまのローンが一括で返済され、 同じ日に新しいローンが始まります。返済が二重になる期間はありません。 実行日は自分で選べる金融機関が多いので、返済日との兼ね合いで決めてください。
審査で見られるもの
借り換えの審査で見られるのは、最初に借りたときとほぼ同じです。 収入、勤務先と勤続年数、いまの借入の返済状況、ほかの借入、 そして担保になる物件の評価です。
最初に借りたときより厳しくなりやすいのが、年齢と物件の評価です。 完済時の年齢に上限がある金融機関が多く、借り換えると完済がその上限を超えてしまう、 という理由で期間を短くせざるを得ないことがあります。 物件のほうも、築年数が進んでいるぶん評価は下がります。
逆に有利に働くこともあります。 最初に借りたときより年収が上がっていたり、勤続年数が伸びていたりすれば、 そのぶん条件はよくなります。 いまのローンを延滞なく返してきた実績も、返済状況として見られます。
ほかの借入がある場合は、そこも合算して返済比率が見られます。 自動車ローンやカードローンの残高、 クレジットカードのリボ払いの残高も対象になります。 借り換えの前に整理しておくと、審査が通りやすくなることがあります。
複数の金融機関に同時に申し込むこともできます。 事前審査なら費用はかからないので、条件を並べて比べる材料になります。 ただし短い期間に何件も申し込むと、信用情報にその記録が残ります。 2〜3行にしぼって申し込むのが現実的なところです。
審査にかかる期間は金融機関によって差があります。 ネット中心の金融機関は書類のやりとりが郵送になることが多く、 その分だけ日数がかかります。対面の窓口があるところは早く進むこともあります。 実行日を決めてから逆算するなら、余裕を持って動いてください。
団信は入り直しになる
借り換えでいちばん見落とされやすいのが、団体信用生命保険(団信)です。 新しい借入なので、団信にも入り直しになります。 最初に借りたときは健康だったとしても、いまも同じとは限りません。
持病があったり、過去数年以内に手術や入院をしていたりすると、 団信に加入できないことがあります。団信に入れなければ、 その金融機関では借りられません。金利がどれだけ低くても、そこで止まります。
引受基準を緩めたワイド団信を用意している金融機関もありますが、 その場合は金利が上乗せされます。年0.2〜0.3%程度の上乗せが一般的で、 これは借り換えの効果をかなり削ります。
健康状態に不安があるなら、事前審査の段階で団信の告知内容を確かめてください。 諸費用の見積もりを取ってから団信で落ちると、 かけた手間がそのまま無駄になります。
団信の保障を厚くすると、そのぶん金利が上乗せされます。 がん保障を付けて年0.1%、3大疾病まで含めて年0.2%といった水準です。 すでに医療保険やがん保険に入っているなら、保障が重なっていないかを確かめてください。 重なっているなら、どちらかを見直す余地があります。
審査に必要な書類は、最初に借りたときと似ています。 源泉徴収票や確定申告書、住民票、印鑑証明書、 物件の登記事項証明書や図面などです。 物件の資料は購入時のファイルに入っていることが多いので、先に探しておくと早く進みます。
広告の金利と、自分に出る金利
金融機関が公表している金利は、ほとんどの場合最大の引下げを受けられた場合の値です。 店頭表示金利から引下げ幅を引いた結果で、 その引下げ幅は申込内容と審査結果で決まります。
つまり、公表されている金利は「この金利で借りられる人がいる」という意味であって、 「申し込めばこの金利になる」という意味ではありません。 審査の結果しだいで、引下げ幅が小さくなることがあります。
上乗せの条件が明示されている場合もあります。 借入期間が35年を超えると年0.1%、 がん保障などの特約を付けると年0.1〜0.2%、といった具合です。 広告の金利だけを見て試算していると、この上乗せの分だけ結果がずれます。
銀行別の住宅ローン借り換え金利では、各行の適用金利と一緒に、店頭表示金利からの引下げ幅と、 上乗せの条件も並べています。 「なぜこの金利になっているのか」が見えるようにしてあります。
団信の告知は、正確に書いてください。 通りたいからと事実と違うことを書くと、 いざというときに保険金が支払われないことがあります。 借り換えの目的は返済を軽くすることで、保障を失うことではありません。
金利以外で比べるところ
金利が同じでも、条件がそろっているとは限りません。 比べるときに並べておきたいものが4つあります。
この4つは、どれも金利の表には出てきません。 金融機関のページを開いて、商品説明書まで見にいかないと分からないものです。 手間はかかりますが、確かめるのは借り換えのときだけです。 そのあと何十年も付き合う条件なので、ここは時間を使う価値があります。
- 事務手数料:定率型か定額型か。定額型は金利が上乗せされることが多い
- 団信の保障範囲:一般団信だけか、がんや3大疾病まで含むか
- 金利タイプの選び直し:契約後に変動と固定を行き来できるか、手数料はいくらか
- 繰上げ返済の条件:ネットで無料か、受付単位はいくらからか
団信は、同じ金利でも中身がまったく違います。 一般団信は死亡と高度障害だけですが、 がんと診断された時点で残高が半分になる特約や、 3大疾病で所定の状態になったら残高がゼロになる特約が付いた商品があります。 金利が0.1%高くても、保障が要る人には合っていることがあります。
繰上げ返済の条件も効いてきます。 借り換えたあとに余裕が出たとき、 1万円からネットで無料でできるのと、窓口で数千円かかるのとでは、 実際にやるかどうかが変わります。金利差だけでは見えない差です。
住宅ローンの借り換え診断では、団信を比べたかどうかを聞いています。 まだなら、次にやることとして出します。金利の差より大きいことがあるからです。
どこを選ぶか迷ったら、金利がいちばん低い行と、 条件がいちばん自分に合う行の2つで試算してみてください。 総支払額の差が小さければ、条件のほうを取る余地があります。 差が大きければ、その差が条件の違いに見合うかを考えることになります。
