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第一種奨学金と第二種奨学金の違い

借りるときは「無利子か有利子か」で説明されます。ただ、返すときに効いてくるのはそれだけではありません。利率がいつ決まるのか、あとから変わるのか、借りた部分ごとに違うのか。

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この記事の要点

  • 第一種は無利子です。繰上返還しても減る利子はなく、変わるのは完済する時期だけです。
  • 第二種の利率は、借りはじめた月でも返しはじめた月でもなく、貸与が終了した月に決まります。
  • 利率固定方式は返還完了まで同じ率が続き、利率見直し方式はおおむね5年ごとに見直されます。
  • 基本月額と増額部分では利率が別に決まります。両方を借りている人の利率は1つではありません。
  • 所得連動返還方式は第一種の制度です。返還月額が所得で変わるため、完済の時期も固定できません。

日本学生支援機構の貸与奨学金には第一種と第二種があります。借りるときは「無利子か有利子か」の違いとして説明されますが、返すときに効いてくるのは、利子が付くかどうかだけではありません。利率がいつ決まるのか、あとから変わるのか、借りた部分ごとに違うのか。この記事は、返還中の人が自分の条件を読み解くために必要な区別を順に整理します。

違いは、利子が付くかどうか

機構は第一種奨学金を「無利子で借りる」奨学金としています。借りた額をそのまま返す形で、返還の総額は借りた元金と同じです。第二種奨学金は利子が付きます。返還の総額は借りた元金を上回り、その差が利子です。

第一種と第二種は、返すときの中身が違う第一種無利子で借りる返す総額=借りた額繰上返還で減る利子はない第二種利子が付く返す総額>借りた額繰上返還で利子が減る
第一種は無利子なので、返す総額は借りた額と同じです。第二種は利子が付くため、返す総額が借りた額を上回ります。

この差は、返し方を考えるときの出発点になります。第二種は、早く返せばその分の利子がかからなくなるため、繰上返還に金額としての効果があります。第一種は無利子なので、早く返しても減る利子がありません。変わるのは完済する時期だけです。

「無利子なら急いで返さなくてよい」とも、「借金は早く返すべき」とも、この記事では決めません。金額の面で差が出ないのであれば、そのあとは完済の時期をどう考えるかという本人の判断になります。ただ、判断する前に自分がどちらなのかを知っている必要はあります。第一種と第二種を併用している人も少なくありません。

第一種は無利子で、繰上返還しても減る利子はありません。第二種は有利子で、繰り上げた期間の利子がかからなくなります。まず自分がどちらを、いくらずつ借りているかを確かめます。

第二種の利率は、貸与が終了した月に決まる

第二種の利率でいちばん誤解されやすいのが、いつ決まるかです。借りはじめた月でも、返しはじめた月でもありません。機構は貸与終了時に利率を決定するとしています。在学中に世の中の金利が動いても、その途中の率が自分に適用されるわけではなく、貸与が終わった月の率が適用されます。

これは、同じ年に借りはじめた人どうしでも、卒業や修了の時期が違えば利率が違うということです。留年や休学で貸与の終わりがずれた場合も同じです。「同級生に聞いた利率」が自分の利率とは限りません。

機構は、貸与が終了した月ごとの利率を一覧で公表しています。自分の貸与終了年月が分かれば、そこから自分に適用された利率を引けます。ToMiでは、その一覧を第二種奨学金の利率一覧として取り込んでいます。

マネック(案内役):「平均の利率」で計算しちゃだめだよ。人によって違う数字だから、平均を当てはめると他人の利率で自分の返済を計算することになるんだ。

この記事では具体的な利率の数値を書きません。月ごとに違い、毎月増えていく値なので、本文に書くと更新した日に嘘になります。数字は上の一覧か、自分の貸与終了時に機構から届いた通知、あるいはスカラネット・パーソナルで確かめてください。

利率固定方式と利率見直し方式

第二種を申し込むときには、利率の算定方法を2つから選びます。選んだ方式は貸与終了まで適用されます。

利率固定方式は、貸与終了時に決まった利率を返還完了まで使い続けます。市場金利が上がっても下がっても、自分の利率は動きません。返し終わるまでの利子の総額を、いまの時点で見積もれるのが特徴です。

利率見直し方式は、貸与終了時に決定した利率を、おおむね5年ごとに見直します。市場金利が変動すれば、それに応じて自分の利率も変わります。

利率は貸与が終了した月に決まり、そのあとの動き方が方式で変わる高低貸与終了返還が進む →利率固定方式(ずっと同じ)利率見直し方式(おおむね5年ごと)
どちらの方式でも、出発点は貸与が終了した月の利率です。見直し方式は、そのあとおおむね5年ごとに上下します。上下の幅は実際の値ではありません。
比較する点利率固定方式利率見直し方式
出発点の利率貸与が終了した月の率貸与が終了した月の率
そのあとの変化返還完了まで変わらないおおむね5年ごとに見直す
金利が上がったとき影響を受けない利率が上がることがある
金利が下がったとき恩恵を受けない利率が下がることがある
総額の見通しいま見積もれる見直しのたびに変わる

どちらを選んだかは、貸与終了時の通知やスカラネット・パーソナルで確認できます。

利率見直し方式の場合、公表されている一覧の値は貸与終了時の利率です。貸与終了から5年以上たっているなら、見直し後の利率はそれと違う可能性があります。いま適用されている率は、スカラネット・パーソナルで確かめてください。

どちらの方式でも、基本月額に係る利率には上限が定められています。市場金利がどれだけ上がっても、その上限を超えることはありません。上限に届いている期間があるかどうかは、公表されている一覧を見れば分かります。

基本月額と増額部分で、利率が分かれる

第二種で借りた額は、毎月の決まった額(基本月額)と、それに上乗せして借りた額(増額部分)に分かれることがあります。入学時特別増額貸与奨学金がその代表です。

この2つは利率が別に決まります。機構は、増額部分の利率について、原則として基本月額の利率に0.2%を上乗せすると説明しています。つまり、両方を借りている人の利率は1つではありません。

繰上返還の効果を見積もるときに、この点を落とすと金額がずれます。残額の全体に基本月額の利率をかけると、増額部分の利子を小さく見積もることになります。借りた内訳が分かるなら、分けて計算するほうが実際に近くなります。

  • 基本月額:毎月の決まった額として借りた分
  • 増額部分:入学時特別増額貸与奨学金など、上乗せで借りた分
  • 増額部分の利率は、原則として基本月額の利率に0.2%を上乗せ
  • 両方を借りているなら、自分の利率は1つではない

増額部分は、入学時にまとまったお金が要るという事情に応えるための上乗せです。借りた当時は必要だった分でも、返すときには基本月額より高い利率がかかっている部分になります。残額の内訳を確かめずに「全部で何百万円」とだけ把握していると、どこに利子が多くかかっているかが見えません。

どちらをいくら借りたかは、貸与終了時の「貸与奨学金返還確認票」やスカラネット・パーソナルで確認できます。

返還方式は、利率とは別の話

利率の算定方法とよく混同されるのが、返還方式です。こちらは「毎月いくら返すか」の決め方で、利子の付き方とは別の軸になります。

定額返還方式は、借りた総額と返還回数から毎月の返還額が決まり、完済まで同じ額を返します。これに対して、所得連動返還方式は前年の所得に応じて毎月の返還額が変わります。機構は、平成29年度以降に第一種奨学金の貸与を受けた奨学生・返還者が、定額返還方式から所得連動返還方式へ変更できるとしています。変更には願い出と審査が必要で、人的保証を選択している場合は機関保証への変更が必要とされています。

所得連動返還方式は第一種の制度である点に注意してください。第二種の返還額が所得で変わる仕組みではありません。また、毎月の返還額が所得で動くため、完済の時期も将来の所得によって変わります。「あと何年で終わるか」を固定の数字として扱えないという違いが、繰上返還を考えるときにも効いてきます。

返還方式を変えると、毎月の額だけでなく返還の終わり方も変わります。定額返還方式は回数が決まっているので、何年何か月で終わるかが契約の時点で分かります。所得連動返還方式は、所得が低い年は返還額が小さくなる代わりに、その分だけ返し終わるまでの期間が延びます。どちらが有利かは所得の推移によって変わるため、一方が常に得という比べ方はできません。

月賦返還のほかに、月賦と半年賦を組み合わせる返還方法もあります。ボーナス月にまとめて返す形で、毎月の額が小さくなる代わりに年2回の負担が乗ります。自分がどの割賦方法かも、返還予定表で確認できます。

自分がどれなのかを確かめる

ここまでの区別は、どれもスカラネット・パーソナルか、貸与終了時に届いた書類で確認できます。確認したい項目を並べておきます。

  • 第一種か第二種か(両方を借りている場合はそれぞれの残額)
  • 第二種なら、利率の算定方法(固定か見直しか)
  • 貸与終了年月(利率を引くのに要る)
  • 基本月額と増額部分の内訳
  • 返還方式(定額か所得連動か)と、割賦方法(月賦か月賦・半年賦併用か)
  • 返還残額と、残りの返還回数

保証制度も確認しておくと、あとの手続きで迷いません。奨学金には人的保証と機関保証があり、人的保証は連帯保証人と保証人を立てる形、機関保証は保証料を支払って保証機関に保証してもらう形です。どちらを選んでいるかで、繰上返還して完済したときの扱いが変わります。機関保証なら保証料の一部が戻ることがあり、人的保証ならそもそも保証料がないので返戻もありません。

これらがそろうと、繰上返還したときに減る利子と、早まる完済時期を自分の数字で出せるようになります。自分の残額と利率で、繰上返還の効果を試算すると、返したあとに手元へ残る現金まで並べて確認できます。

第一種か第二種か、利率の算定方法、貸与終了年月、基本月額と増額部分の内訳。この4つが分かれば、自分の返還条件はほぼ再現できます。どれもスカラネット・パーソナルで確認できます。

よくある質問

自分の奨学金の利率は、どこで分かりますか?
スカラネット・パーソナルか、貸与終了時に機構から届いた通知で確認できます。利率は貸与が終了した月に決まるため、貸与終了年月が分かれば機構の公表している一覧からも引けます。平均値では出せません。
利率見直し方式だと、利率はどのくらい変わりますか?
おおむね5年ごとに見直され、市場金利に応じて上下します。先の率は決まっていないので、将来の利子の総額を今の時点で確定させることはできません。基本月額に係る利率には上限が定められています。
第一種と第二種の両方を借りています。どちらを先に返すべきですか?
金額の面だけで見れば、利子の付く第二種を先に減らすほうが減る利子は大きくなります。ただし契約ごとの条件や返還支援の有無で結論が変わることがあるため、機構に確認してから決めてください。

参照した一次情報

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