指数・インデックス

オルカンとMSCI ACWIの違い|本当に世界分散になっている?

分散されている部分と、されていない部分があります。分けて見ると扱いやすくなります。

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この記事の要点

  • オルカンは商品の通称、MSCI ACWIはその中身を決める指数です。指数そのものは買えません。
  • 同じ指数に連動する商品が複数あり、信託報酬も指数への追いつき方も少しずつ違います。
  • 全世界を対象にした指数はMSCI ACWIだけではありません。FTSE系には小型株まで含むものがあります。
  • 投資に制限のある市場は入っていません。世界の国の数と、指数に入っている国の数は一致しません。
  • 株式だけの指数です。債券や不動産、上場していない会社は含まれていません。
  • 国は数十に分かれていても、通貨は分かれていません。指数は米ドル建てで、中身の6割前後が米国です。

結論から

オルカンは商品の通称、MSCI ACWIはその中身を決める指数です。 指数は買えないので、実際に買っているのはそれに連動する商品のほうです。 そして「世界分散」といっても、除かれている市場と、 通貨の偏りが残っています。

この2つの言葉は同じものを指すように使われますが、 役割が違います。区別しておくと、 商品を選ぶときの見方が変わります。

あわせて、「本当に世界分散になっているのか」という問いにも答えます。 結論を先に言えば、されている部分と、されていない部分があります。

オルカンは商品名、ACWIは指数名

まず言葉の整理からです。 この2つは、階層が違うものを指しています。

一方は決まりごと、もう一方はそれを形にした実物です。

指数は「何をどれだけ持つか」の決まりごと。商品はそれを実際に買い集めたもの指数どの銘柄をどれだけ持つかの決まりごと投資信託・ETF決まりごとのとおりに実際に買い集めたもの信託報酬がかかる買えるのは右側だけ
指数そのものは買えません。買えるのは、その決まりごとのとおりに株を買い集めた投資信託やETFです。同じ指数に連動する商品が複数あるのは、決まりごとが1つでも、それを実行する会社が複数あるためです。

MSCI ACWI は、MSCI という会社が算出している指数です。 先進国と新興国を合わせた世界の株式市場を対象にしていて、 「どの銘柄をどれだけ持つか」の決まりごとを定めています。

オルカンは、その決まりごとのとおりに株を買い集めた商品の通称です。 ある運用会社の商品名に「オール・カントリー」が含まれていたことから広まり、 いまでは全世界株式の商品全般を指す言葉として使われています。

MSCI ACWIオルカン
何か指数(決まりごと)商品の通称
買えるか買えない買える
費用かからない信託報酬がかかる
決めているのはMSCI各運用会社

指数を作る側と、商品を作る側は別の会社です。 MSCIは決まりごとを定めるだけで、商品は売っていません。

この区別が効いてくるのは、商品を比べるときです。 同じ指数に連動する商品が複数あり、 信託報酬も、指数への追いつき方も、少しずつ違います。「オルカンを買う」と言っても、どの商品かまでは決まっていません。

マネック案内役):「オルカン」って商品の呼び名だから、 お店で言えば「あのお菓子」みたいな言い方なんだ。 中身の決まりごとの名前が ACWI のほうだよ。

全世界の指数は1つではない

言葉の整理ができたところで、指数の側をもう少し見ます。 「全世界株式」と書かれていても、もとになる指数は1つではありません。

もうひとつ知っておきたいのは、 全世界を対象にした指数がMSCI ACWIだけではないことです。

商品を選ぶときに、この違いを意識する人は多くありません。 どちらも「全世界株式」と書かれているためです。

FTSE という会社が算出している系統の指数もあり、 こちらを使った商品も売られています。 どちらも「全世界株式」と呼ばれますが、中身は完全には一致しません。

指数を算出する会社が違えば、対象の決め方も違います。 どちらが正しいということはなく、考え方の違いです。

いちばん大きな違いは、小型株を含むかどうかです。 MSCI ACWI は大型と中型を対象にしていますが、 FTSE の系統には小型株まで含むものがあります。 このため、含まれる会社の数がかなり違います。

会社の数で見ると倍以上の差になることもありますが、 金額で見た比率はそれほど変わりません。

ただし、小型株は市場全体に占める割合が小さいので、 値動きの差はそれほど大きくなりません。 どちらを選んでも、結果が大きく変わることはありません。

国の分類にも違いがあります。 ある国を先進国と見るか新興国と見るかは、算出する会社によって判断が分かれます。 この違いは比率にわずかに影響しますが、こちらも結果を分けるほどではありません。

本当に世界をカバーしているか

ここまでは指数と商品の関係の話でした。 ここからは、よく聞かれる「本当に世界分散になっているのか」に答えます。

ここからが本題です。「全世界」という名前ですが、 実際には含まれていないものがあります。

第一に、投資できない市場は入っていません。外国人の投資に制限がある国や、資金の持ち出しが自由でない国は、 対象から外れています。世界の国の数と、指数に入っている国の数は一致しません。

制限のある市場が外れるのは、実務上の理由です。 指数に含めても、その通りに買えなければ商品が作れません。 買えるものだけを対象にする、という決まりになっています。

第二に、これは株式だけの指数です。 債券、不動産、現金は含まれていません。 「世界に分散している」と言っても、資産の種類は1つです。

第三に、上場していない会社は入りません。 どの国でも、経済の相当な部分は非上場の会社が担っています。 指数が見ているのは、上場している部分だけです。

整理すると、次の3つが対象の外にあります。

  • 投資に制限のある市場は入っていない
  • 株式だけで、債券や不動産は含まない
  • 上場していない会社は対象外

もっとも、これらを完全に含む商品は存在しません。 投資できないものは買えませんし、 上場していない会社の株を買う手段も個人にはありません。 指数の限界というより、市場そのものの限界です。

そのうえで、比率の偏りもあります。 国別の比率は市場の規模で決まるため、 いちばん大きい米国が6割前後を占めます。 国の数としては数十か国ですが、金額としては数か国に寄っています。

「全世界」は対象の広さを表す言葉であって、 均等に配られているという意味でも、 あらゆるものが含まれているという意味でもありません。

国は分かれても通貨は分かれない

対象の広さを見たので、次は通貨の面を見ます。 こちらのほうが、日本に住む人には効いてきます。

見落とされやすいのが、通貨の偏りです。 国は数十に分かれていても、通貨はそれほど分かれていません。

円で見た資産は、投資先の動きと為替の動きの掛け算になります。

外貨建ての資産を円で見るときは、指数の動きと為替の動きが掛け算になる指数が上がる現地通貨で+×円安になる円の額が増える=円で見た資産両方が乗る円高のときは、指数が上がっても円では減ることがある
どちらも上向きなら、円で見た増え方は指数の増え方より大きくなります。逆に円高が進めば、指数が上がっていても円では減ることがあります。指数のリターンと、日本に住む人が受け取るリターンは別のものです。

指数そのものが米ドル建てで計算されているうえに、 中身の6割前後が米国の会社です。 日本に住む人から見れば、円高になったときに全体が目減りします。

新興国の通貨も、多くは米ドルとの関係で動きます。 国の数だけ通貨が分かれているように見えても、 実際にはドルの影響が広く効いています。

国を分散することと、通貨を分散することは別の話です。 国を分けたから通貨も分かれている、とは言えません。 外貨建ての資産をほかにも持っていれば、その偏りはさらに強まります。

通貨を分けたい場合は、円建ての資産を別に持つのがいちばん確実です。 日本株や円預金は、円高の局面で目減りしません。 株式の中で国を分けても、この効果は得られません。

これは欠陥ではなく、性質です。 知ったうえで持てば問題ありませんが、 「世界に分けたから通貨の心配もない」と考えていると、 円高の局面で想定と違うことになります。

どう受け取ればよいか

ここまでで、含まれるものと含まれないものが見えてきました。 最後に、この商品をどう位置づければよいかをまとめます。

ここまでを整理すると、次のようになります。 否定しているのではなく、何が含まれていて何が含まれていないかの話です。

  • 国と会社を選び間違える危険は、確かに小さくなる
  • 株式が下がる危険、通貨が動く危険は残る
  • 中身は米国に寄っているので、米国株と近い動きをする

言い換えると、この商品が引き受けてくれるのは 「どれを選ぶか」という問題だけです。 「株式を持つかどうか」「外貨建てを持つかどうか」は、 自分で決める必要があります。

この3つを知ったうえで持つなら、 扱いやすく、判断の少ない方法であることは変わりません。 問題になるのは、分散という言葉で安心してしまうことのほうです。

分散という言葉は、便利なぶんに曖昧です。 何から何を守ってくれるのかを具体的に見ておくと、 下げた局面で「話が違う」と感じずに済みます。

どの商品を選ぶかについては、信託報酬と純資産総額を見てください。 同じ指数に連動していても、費用には差があります。自分の保有額で信託報酬の差を試算すると、その差が何年でいくらになるかが分かります。

過去にどれだけ下げたかは、自分の金額で試算すると、円換算での金額として出ます。

オルカンは商品の通称、ACWIは中身を決める指数です。 「全世界」は対象の広さを表す言葉で、均等でも、あらゆるものを含むという意味でもありません。

よくある質問

オルカンとMSCI ACWIは同じものですか?
階層が違います。MSCI ACWIは「どの銘柄をどれだけ持つか」を定めた指数で、オルカンはその決まりごとのとおりに株を買い集めた商品の通称です。指数そのものは買えず、費用もかかりません。買えるのは商品のほうで、こちらには信託報酬がかかります。
本当に世界分散になっていますか?
なっている部分と、なっていない部分があります。国と会社を選び間違える危険は小さくなりますが、投資に制限のある市場は入っておらず、株式だけで債券や不動産は含まれません。また国別の比率は市場の規模で決まるため、米国が6割前後を占めます。
通貨も分散されていますか?
されていません。指数そのものが米ドル建てで計算されているうえ、中身の6割前後が米国の会社です。国を分けることと通貨を分けることは別の話で、日本に住む人から見れば、円高になったときに全体が目減りします。

参照した一次情報

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