結論から
S&P500そのものは買えません。買えるのは、 その指数に連動するように作られた商品です。 日本に住んでいると、買い方に選択肢がいくつかあります。
この記事では、その違いと、 どれを選ぶとどうなるのかを整理します。
買い方は3つある
方法が複数あるのは、S&P500が海外の指数だからです。 日本の指数なら選択肢はもっと少なくなります。
まず、指数と商品の関係を確かめておきます。 ここがあいまいだと、商品を比べる話が始まりません。
買うのは常に商品のほうで、指数そのものではありません。
指数は「どの銘柄をどれだけ持つか」の決まりごとです。 その決まりごとのとおりに株を買い集めた商品が売られていて、 私たちが買うのはそちらです。
日本から買う場合、大きく3つの道があります。
- 国内の投資信託(インデックスファンド)— 円で買い、円で売る
- 米国のETF — ドルに換えて、米国市場で売買する
- 為替ヘッジありの投資信託 — 為替の影響を抑える仕組みつき
どれを選んでも、追いかけている指数は同じです。 違うのは手間、費用、そして為替の扱いの3点です。
国内の投資信託
まず、いちばん選ばれている方法から見ます。 日本の証券会社や銀行の口座から買う、円建ての投資信託です。
いちばん手間が少ない方法です。 証券会社の口座から、円のまま金額を指定して買えます。
この「円のまま買える」という点は、思っている以上に効きます。 両替の判断が要らず、口座に入っている円をそのまま使えるためです。 為替が有利かどうかを考えずに、決めた金額を淡々と入れられます。
毎月の自動積立にも対応していて、 設定しておけば口座から自動で買い付けられます。 分配金を出さずに中で再投資する商品を選べば、 受け取るたびの税金も発生しません。
分配金を再投資する形の商品なら、 受け取るたびの税金がかからないぶん、複利がそのまま効きます。
信託報酬は、かつてより大きく下がりました。 年0.1%を切る商品も複数あり、費用の面で不利だとは言えない水準になっています。
NISAのつみたて投資枠で買えるのも、多くの場合この形です。 制度を使いたい場合は、ほぼこの選択になります。
手数料の面でも、買うときの費用が無料の商品が多くなっています。 少額を毎月買う積立では、この点が効いてきます。 1回あたりが小さくても、年に12回、10年で120回かかるためです。
制度の面でも有利です。NISAの枠で買える商品が多く、 利益に税金がかからない枠を使えます。 米国のETFは、この枠の対象外であることが多くなっています。
注意点としては、値段が1日1回しか決まらないことがあります。 注文した時点では、いくらで買えるか分かりません。 長く持つつもりなら問題になりませんが、 値段を見て売買したい人には物足りなく感じます。
米国のETFを直接買う
次に、米国市場で売買する方法です。 費用を詰めたい人が選ぶことが多い道ですが、その分の手間があります。
米国の取引所に上場しているETFを、直接買う方法です。 信託報酬は非常に低く、年0.03%程度のものもあります。
年0.03%という数字だけを見れば、国内の投資信託の3分の1です。 長く持つほど効いてくる差なので、この点だけを見て選ぶ人もいます。
ただし、手間と費用が別のところで発生します。 円をドルに換える必要があり、その両替に費用がかかります。 売買のたびに証券会社の手数料もかかります。
| 国内の投資信託 | 米国のETF | |
|---|---|---|
| 買うときの通貨 | 円のまま | ドルに換える |
| 金額指定 | しやすい | しにくい |
| 自動積立 | しやすい | 対応が限られる |
| 分配金 | 再投資型を選べる | ドルで受け取る |
| 信託報酬 | 年0.1%前後 | 年0.03%前後 |
| その他の費用 | ほぼなし | 為替手数料、売買手数料 |
この2つは、買うたびに発生します。 積立のように回数が多い買い方では、その分だけ積み重なります。
分配金はドルで口座に入ります。 再投資したければ自分で買い直す必要があり、受け取るたびに税金が引かれます。しかも米国でも課税されるため、確定申告での調整が必要になることがあります。
この確定申告の手間は、金額が小さいうちは割に合わないことが多いところです。 外国税額控除という仕組みで取り戻せますが、 申告そのものをしていない人にとっては、そこから始める必要があります。
売買のたびに数量を指定する必要がある点も、積立には向きません。 1株あたりの値段が決まっているため、 「毎月3万円」という買い方がそのままではできないことがあります。
為替ヘッジありという選択
ここまでの2つは、どちらも為替の影響をそのまま受けます。 その影響を抑えたい場合の選択肢を見ます。
3つ目は、為替の影響を抑える仕組みがついた投資信託です。 円高で目減りする影響を小さくできます。
仕組みを図にすると、抑えているのは右側の部分です。
S&P500は米ドル建てなので、 円で見た成績は指数の動きと為替の動きの掛け算になります。 ヘッジありを選べば、この掛け算のうち為替の部分を小さくできます。
ただし費用がかかります。 2つの通貨の金利差にあたる分が引かれるため、 日本の金利が米国より低いあいだは、その差だけ成績が削られます。
この費用は、目に見えにくいところが厄介です。 信託報酬のように率が示されるわけではなく、 ヘッジなしの商品との成績の差として、後から現れます。
どちらが有利かは、これからの為替次第なので事前には決まりません。 分かるのは性質だけです。ヘッジなしは為替の影響を受け、ヘッジありは費用がかかります。
もうひとつ、ヘッジは為替の影響を完全に消すものではありません。 仕組み上わずかなずれが残り、金利差が大きく動けば費用も動きます。 円建ての資産とまったく同じ動きになるわけではありません。
選ぶときに見る点
3つの道を見てきました。どれにも向き不向きがあり、 金額や続け方によって答えが変わります。
3つの道のどれを選ぶかが決まったら、次は商品選びです。 ここは3つの道に共通する話になります。
道が決まったら、具体的な商品を選びます。 同じ指数に連動していても、商品ごとに条件が違います。
- 信託報酬。同じ指数でも商品によって差がある
- 純資産総額。小さすぎると、途中で運用が終わることがある
- 分配金の扱い。再投資されるのか、受け取るのか
2つ目は見落とされやすい点です。 純資産総額が小さいまま増えない商品は、 繰上償還といって運用が打ち切られ、そのタイミングで現金化されます。 率が最安でも、規模が小さすぎる商品には注意してください。
3つ目の分配金は、税金に効きます。 受け取るたびに引かれ、そのぶん再投資に回る額が減ります。 長く持つほど、この差は積み重なります。
費用がどれくらい効くかは、金額で見ると分かります。自分の保有額で信託報酬の差を試算すると、年0.X%の差が何年でいくらになるかが円で出ます。
過去にどう動いたかは、円換算での実績を自分の金額で試算すると、その期間にいちばん沈んだところも合わせて出ます。
最後に、どれを選んでも追いかけている指数は同じだという点を思い出してください。 方法の違いで結果が大きく変わるわけではありません。 迷って始められないほうが、選択の違いより大きく効きます。
