住宅ローン

住宅ローンの借り換えはいつがいい?

借り換えで減るのは、これから先にかかる利息です。すでに払った利息は戻らないので、残っている期間が長いほど効果は大きくなります。

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この記事の要点

  • 減らせるのはこれから先の利息だけなので、残っている期間が長いほど効果が大きくなります。
  • 「残高1,000万円・残期間10年・金利差1%」は最初のふるいであって、やめる理由にはなりません。
  • 1つが極端に大きければ、残りが目安に届かなくても成立します。
  • 諸費用を取り戻す前に売却や完済をすると、その分だけ損になります。
  • 金利が上がる前提の試算は予想ではなく、そうなっても耐えられるかを見るための置き方です。

早いほど効果が大きい理由

借り換えで減るのは、これから先にかかる利息です。 すでに払った利息は戻りません。だから、残っている期間が長いほど、 減らせる利息も大きくなります。同じ金利差でも、残り25年と残り5年では効果がまるで違います。

元利均等返済では、返済の初期ほど返済額に占める利息の割合が大きくなります。 残高が大きい時期に高い金利がかかるからです。 借入から10年経った時点でも、残っている利息の総額はまだかなり大きく、 そこを下げる余地は残っています。

具体的には、残高3,000万円・残り25年・年1.2%を年0.7%へ借り換えると、 諸費用70万円を引いても総額は130万円ほど軽くなります。 同じ金利差でも残りが10年しかなければ、減る利息は諸費用に届きません。 効いているのは金利差ではなく、それが何年続くかのほうです。

残高と残期間が小さいほど、諸費用の重みが増す残高が多く残期間も長い残高が少ない残期間が短い取り戻せない減る利息諸費用
青が減る利息、オレンジが諸費用です。諸費用は借入額に比例する部分が大きい一方、減る利息は残りの期間にも比例します。残期間が短いと、金利差があっても諸費用を取り戻せないことがあります。

一方、諸費用のうち大半を占める事務手数料は、借入額に比例します。 返済が進んで残高が減れば手数料の絶対額も下がりますが、 減る利息のほうがもっと速く小さくなります。 結果として、時間が経つほど「諸費用に食われる割合」が上がっていきます。

返済が進むと、毎月の返済額に占める利息の割合も下がっていきます。 元利均等返済では、残高が減るにつれて利息が小さくなり、元金に回る額が増えるからです。 つまり返済の後半は、そもそも利息をあまり払っていません。 金利を下げても、下げる対象そのものが小さくなっているということです。

借り換えを考えるなら早いほうが有利です。 ただし「早ければ必ず得」ではなく、諸費用を取り戻せるかどうかで決まります。

残高がいくら残っているかは、返済予定表か金融機関のアプリで確かめられます。 残高と残りの回数、いま適用されている金利の3つが分かれば、 借り換えの効果は計算できます。書類を探すのに数分かかるだけで、 そこから先は数字を入れるだけです。

よく言われる3つの目安

借り換えの目安として、次の3つがよく挙げられます。

  • 残高が1,000万円以上あること
  • 残りの返済期間が10年以上あること
  • 金利差が1%以上あること

この3つがそろっていれば、諸費用を差し引いても効果が残ることがほとんどです。 そういう意味で、最初のふるいとしては役に立ちます。 「うちは全部当てはまるから、一度きちんと計算してみよう」という使い方なら問題ありません。

問題は逆向きに使ったときです。 「金利差が1%もないから、うちは関係ない」と切り捨ててしまうと、 実際には効果が出るケースを取りこぼします。 この目安が作られた頃と比べて、いまは金利の水準そのものが下がっています。 1%の差がつくこと自体が少なくなっているので、 目安のほうが実態に追いついていない面があります。

金利差だけで判断すると、もう一つ見落とすものがあります。 借り換え後の金利タイプです。変動から変動へ移るなら、比べているのは純粋な金利差です。 全期間固定から変動へ移るなら、金利差のなかに「読めなくなること」の対価が含まれています。 同じ0.5%の差でも、中身が違うということです。 タイプをそろえて比べるか、そろわないなら何が変わるのかを言葉にしてから決めてください。

目安が当てにならない場面

3つの目安は、どれも「他の2つが平均的なら」という前提の上に立っています。 1つが極端に大きいと、残りが足りなくても成立します。逆もあります。

たとえば残高5,000万円・残期間30年なら、金利差が0.3%でも減る利息は大きくなります。 諸費用は借入額に比例するので手数料も大きくなりますが、 利息の減り方のほうが期間で効くぶん勝ちやすくなります。 反対に、金利差が1.5%あっても残期間が3年しかなければ、 減る利息が諸費用に届きません。

もう一つ、目安には現れないのが事務手数料の型です。 定額型を選べる金融機関なら、諸費用が数万円で済むかわりに金利が上乗せされます。 この場合、残高が小さくても諸費用を取り戻せることがあります。 目安は借入額に比例する定率型を前提にしているので、そこがずれます。

借入から何年経っているかも、そのままでは目安になりません。 大事なのは経過した年数ではなく、残っている年数と残高だからです。 35年で借りて10年経った人には、まだ25年残っています。 20年で借りて10年経った人とは、同じ「10年経過」でも状況がまったく違います。

マネック案内役):目安は「考える価値があるかどうか」の線引きで、やめる理由にはしないほうがいいよ。 残高と残期間を入れて計算するだけなら数分で終わるからね。

住宅ローンの借り換え診断では、目安に当てはまるかどうかではなく、自分の残高・残期間・金利で総支払額の差を出します。 諸費用を取り戻せる時期も同時に出るので、「動く意味があるか」をそこで判断できます。

いまの金融機関に金利の引き下げを相談してみる、という手もあります。 借り換えを検討していると伝えると、条件変更で下げてもらえることがあります。 下がる幅は借り換えほどではないことが多いのですが、諸費用がかかりません。 差額が小さいなら、こちらのほうが手元に残る額は大きくなります。

売却や住み替えの予定があるとき

借り換えの諸費用は先に出ていき、金利差の効果はあとから効いてきます。 だから、諸費用を取り戻す前に売却や完済をすると、その分だけ損になります。 金利差がどれだけあっても、この順番は変わりません。

回収の時期は、諸費用と金利差から決まります。 諸費用が重ければ遅くなり、金利差が大きければ早くなります。 同じ金利差でも、事務手数料が定額型なら回収は早く来ます。 「何年で取り戻せるか」は商品ごとに違うので、比べる行ごとに出しておくと選びやすくなります。

諸費用を取り戻すまでは、借り換えたほうが負担が重いここで追いつく借り換え後いまのローンここでやめると損ここから先が得負担年数
縦は、その時点でやめた場合の負担(それまでの支払+残りの残高)です。借り換えた側は諸費用のぶん高いところから始まり、金利差で少しずつ埋めます。2本が交わる前に売却や完済をすると、諸費用のぶんだけ損になります。

転勤の可能性がある、子どもの進学に合わせて住み替えるかもしれない、 親の家に移る話が出ている——こうした事情があるなら、 金利を比べる前に「あと何年ここに住むか」を先に見積もってください。 その年数が回収の時期より短いなら、金利差があっても答えは出ています。

はっきり決まっていない場合に、無理に「たぶん10年」と置く必要はありません。 分からないなら分からないままで構いません。 ただ、回収に9年かかると出たなら、それは「9年より前に動く可能性があるかどうか」を 考える材料になります。数字が出てから考えるほうが早く決まります。

住み替えの予定がはっきりしていなくても、 いまの家に何年住んだかは判断の材料になります。 買ってから3年以内に売る人は多くありませんが、 10年を超えると住み替えを考える人が増えます。そのあたりを目安にしてもよいと思います。

金利が上がりそうなときに急ぐべきか

「これから金利が上がりそうだから、いまのうちに固定へ借り換えたほうがいい」 という言い方をよく見かけます。この判断には、当てにいっている部分があります。 金利が上がるかどうかは誰にも分からないからです。

確かなのは、いま提示されている金利は確定しているということだけです。 全期間固定へ借り換えれば、その金利で完済まで確定します。 上がるかどうかを当てたのではなく、上がっても下がっても関係なくなる状態を買った、 と考えるほうが正確です。そのかわり、下がっても恩恵は受けません。

変動のまま置いておくのは、上がったときに返済額が増えることを引き受ける代わりに、 いまの低い金利をそのまま使う選択です。どちらが正しいという話ではなく、返済額が増えたときに家計が回るかどうかで決まります。 月2万円増えても大丈夫なら変動を続ける余地がありますし、 増えると厳しいなら固定に寄せる意味があります。

金利が上がる前提で試算するなら、それは予想ではなく「そうなったらどうなるか」の置き方です。 当たるかどうかではなく、そうなっても耐えられるかを見るために使ってください。

よくある質問

借入から何年以内なら借り換える意味がありますか?
経過した年数ではなく、残っている年数と残高で決まります。35年で借りて10年経った人にはまだ25年残っていて、20年で借りて10年経った人とは状況がまったく違います。
数年以内に売るかもしれない場合は?
諸費用を取り戻せる時期と、住み続ける年数を比べてください。取り戻す前に売ると、金利差があっても諸費用のぶんだけ損になります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては国税庁の住宅ローン控除のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。