個人向け国債

個人向け国債と新窓販国債の違い|同じ国債でも別物です

個人が窓口で買える国債には、個人向け国債と新窓販国債の2種類があります。どちらも国が発行する債券ですが、途中で換金したときの扱いが根本的に違います。利回りだけを見て選ぶと、ここで想定と食い違います。

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この記事の要点

  • 個人が窓口で買える国債は、個人向け国債と新窓販国債の2種類です。
  • 個人向け国債は額面100円につき100円、新窓販国債は回号ごとに募集価格が決まります。
  • 満期前の換金は、個人向けが国による額面買取、新窓販が市場での時価売却です。
  • 新窓販国債は表面利率ではなく応募者利回りで比べます。
  • 利回りの差は、満期前でも額面で換金できることの対価にあたります。

いま募集中の国債の利率

  • 個人向け国債 固定3年(第195回債)1.71%
  • 個人向け国債 固定5年(第185回債)2.06%
  • 個人向け国債 変動10年(第197回債)1.87%
  • 新窓販国債 2年(第487回債)1.445%
  • 新窓販国債 10年(第383回債)2.788%

2026年8月6日募集分。財務省の公表値を自動で反映しています。新窓販国債は応募者利回りです。

個人が買える国債は2種類ある

個人が金融機関の窓口で買える国債には、個人向け国債新窓販国債の2つがあります。 新窓販国債は「新型窓口販売方式による利付国庫債券」の略で、 機関投資家が売買しているものと中身は同じ利付国債です。

どちらも発行体は日本国で、満期まで持てば額面どおりの金額が戻ります。 そこだけ見ると同じ商品に思えますが、満期前に換金したときの扱いが根本的に違います。 利回りの数字だけを比べて選ぶと、この点で想定と食い違います。

7つの軸で並べて比べる

個人向け国債新窓販国債
年限変動10年・固定5年・固定3年10年・5年・2年
購入単位1万円から1万円単位5万円から5万円単位
購入価格額面100円につき100円(常に額面どおり)回号ごとに決まる(額面を上回ることも下回ることもある)
利率の決まり方基準金利から算式で計算(下限0.05%)市場実勢に応じた表面利率
満期前の換金発行1年後から国が額面で買取市場でいつでも売却できるが時価
満期前の元本目減りしない元本を下回ることがある
買える人個人のみ個人・法人とも可

表のうち、判断を分けるのは下の3行です。順に見ていきます。

違い1|買う価格が額面どおりかどうか

個人向け国債は、額面100円につき100円で買います。 額面10万円分なら、支払うのはちょうど10万円です。いつ買っても変わりません。

新窓販国債は違います。募集価格は回号ごとに決まり、額面100円につき99円32銭のように、額面からずれます。 この場合、額面10万円分を買うのに9万9,320円しかかかりません。 満期には額面どおり10万円が戻るので、差額の680円も利益になります。

だから「表面利率」だけを見ると判断を誤る

新窓販国債には2つの利率が表示されます。

  • 表面利率|額面に対して毎年支払われる利子の割合。クーポンとも呼ばれます。
  • 応募者利回り|募集価格で買って満期まで持った場合の、年あたりの収益率。

額面より安く買えるときは、応募者利回りが表面利率を上回ります。 逆に額面より高く買うときは、応募者利回りのほうが低くなります。比べるべきは応募者利回りです。表面利率だけを見ると、実際の収益を取り違えます。

当サイトのシミュレーションでは、新窓販国債を応募者利回りで計算しています。 表面利率と募集価格も画面に併記しているので、関係を確かめられます。

マネック案内役):表面利率だけ見て「こっちが高い」って決めちゃうと、あとで 「思ってた金額と違う」ってなりがち。募集価格とセットで見るのがコツだよ。

違い2|途中でやめたときに何が起きるか

ここが最大の違いです。同じ「途中でやめる」でも、起きることがまったく違います。

個人向け国債|国が額面で買い取る

発行から1年が過ぎれば、いつでも国が額面どおりに買い取ります。 そのときの市場金利がどうなっていても、買取価格は変わりません。 そのため元本が目減りすることはありません。

代わりに、直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。減るのは利子であって元本ではない、という構造です。

新窓販国債|市場で売るので時価になる

いつでも売れますが、売却価格はそのときの市場価格です。 債券の価格は市場金利と逆に動くため、買ったときより金利が上がっていれば、価格は下がっています

満期10年の債券を買った2年後に金利が1%上がっていれば、 売却価格は数%下がっていてもおかしくありません。 残り期間が長いほど、値動きは大きくなります。

満期前に換金したときの価格の違い。個人向け国債は常に額面、新窓販国債は市場価格で変動する個人向け国債額面いつ換金しても額面元本割れしない新窓販国債額面そのときの市場価格元本を下回ることも
縦の位置が、途中で換金したときに戻る金額です。個人向け国債は国が額面で買い取るため、市場金利が動いても水平のままです。破線は額面の水準を表します。

新窓販国債は「いつでも売れる」ため流動性は高いのですが、 それは「いつでも損なく現金化できる」という意味ではありません。 満期まで持てば額面が戻る、というのが正確な理解です。

この違いをまとめると、個人向け国債は時間を縛る代わりに価格変動をなくし、 新窓販国債は時間を自由にする代わりに価格変動を負う、という関係になります。

違い3|利率の決まり方と、見るべき数字

個人向け国債の利率は、基準金利から決まった算式で計算されます。

変動10年:基準金利 × 0.66
固定5年 :基準金利 − 0.05%
固定3年 :基準金利 − 0.03%

いずれも市場金利より低くなる設計です。 満期前でも額面で買い取るという条件のぶん、利率が抑えられていると考えられます。

新窓販国債にはこうした割引がありません。市場の実勢がそのまま反映されるため、同じ年限で比べると、新窓販国債のほうが利回りは高くなるのが通常です。 このページの上に出している最新の利率でも、その関係が見て取れると思います。

利回りの差は、そのまま「満期前に換金できる安心を買うための費用」だと解釈できます。 高いほうが得とは限らず、その差額で何を得ているのかを見る必要があります。

違い4|購入単位と年限

個人向け国債は1万円単位、新窓販国債は5万円単位です。 少額から始めたい場合や、金額をきっちり合わせたい場合は個人向け国債のほうが扱いやすくなります。

年限は、個人向け国債が3年・5年・10年、新窓販国債が2年・5年・10年です。2年という短い年限があるのは新窓販国債だけで、 比較的近い時期に使う予定がある資金では選択肢になります。

ただし新窓販国債は、回号によっては募集期間中でも利率が未発表の期間があります。 月の途中で条件が確定するため、「今月は5年ものだけまだ出ていない」という状態が起こります。

マネック案内役):ここが2つの分かれ道。個人向けは「時間を縛る代わりに値動きをなくす」、 新窓販は「時間は自由だけど値動きを引き受ける」。 どっちが上とかじゃなくて、交換しているものが違うんだ。

同じ10年でどれくらい差が出るか

仮に個人向け国債の変動10年が年1.9%、新窓販国債の10年が年2.8%だったとします。 100万円を10年間持った場合の税引後の受取利息を並べると、次のようになります。

個人向け国債 変動10年新窓販国債 10年
年率(前提)1.9%2.8%
10年間の税引前利息19万円28万円
税引後の受取利息約15万1,000円約22万3,000円
満期前に換金したら元本100万円は戻るそのときの時価。下回ることもある

年率を仮置きした概算です。実際の利率は毎月変わります。変動10年は現在の利率が続いた前提での目安です。

10年で7万円前後の差が出ます。この差だけを見れば新窓販国債が有利です。 ただし、この差は10年間まったく動かさなかった場合にのみ実現します

途中で市場金利が1%上がった時点で売却した場合、 残存期間が長いほど価格の下落は大きくなり、 受け取った利息を差し引いても手元が減る可能性があります。 一方の個人向け国債は、同じ状況でも元本100万円がそのまま戻ります。

利回りの差は「満期まで持ちきれる人へのご褒美」です。 持ちきれるかどうかが読めないなら、その差を受け取れない可能性も込みで考える必要があります。

判断を分けるのは、途中で使うかどうか

7つの違いを並べましたが、実際に判断を分けるのはほぼ1点です。満期まで置いておけるかどうか。ここが決まれば、残りの違いは付随的なものになります。

満期まで置ける見込みが高いなら、年率の高い方を選べば受け取る利息は多くなります。 このとき比べる数字は、新窓販国債では表面利率ではなく応募者利回りです。 募集価格が額面100円と異なるため、表面利率だけを見ると実際の年率とずれます。

途中で使う可能性があるなら、個人向け国債の方が扱いやすくなります。 国が額面で買い取るため、売るタイミングによって受け取る金額が変わりません。 その代わり、発行から1年間は原則として換金できず、直前2回分の利子相当額が差し引かれます。

発行から満期までの時間軸。発行後1年間は中途換金できず、その後はいつでも換金できる発行日1年後満期換金できないいつでも換金できる半年ごとの利払い
● は半年ごとの利払い(年2回)です。起算点は購入日ではなく発行日で、 募集から発行までに約1か月あるため、実際に資金が動かせない期間はもう少し長くなります。 1年経過後の換金では、直近2回分の利子相当額が差し引かれます。

迷ったときは、金額を分けるという考え方もあります。 当面使わないと言い切れる分だけを年率の高い方に回し、 使うかもしれない分は換金しやすい方に置く、という分け方です。 全額をどちらか一方に寄せる必要はありません。

もうひとつ見落とされやすいのが、購入できる期間です。 どちらも毎月募集がありますが、条件は回号ごとに変わります。 「来月にしよう」と待った結果、利率が下がっていることも、上がっていることもあります。 いま出ている条件は、いま判断するための材料でしかありません。

いま募集されている両方の条件で受け取る利息がどれだけ違うかは 利息の比較シミュレーション で確認できます。満期の長さが違う商品どうしを、同じ期間で並べて比べられます。

結局どちらを選ぶか

利回りだけで選ぶなら新窓販国債になります。 ただし、それは満期まで持ちきれる場合の話です。

こういう場合向いているのは
満期まで動かさない自信がある新窓販国債(利回りが高い)
途中で使うかもしれない個人向け国債(額面で買い取ってもらえる)
1万円単位で細かく調整したい個人向け国債
2年程度の短い期間で置きたい新窓販国債(2年もの)
金利上昇に付いていきたい個人向け国債の変動10年
受け取る額を先に確定させたいどちらの固定型でも可

なお、どちらか一方に決める必要もありません。 当面動かさない分を新窓販国債、使う可能性が残る分を個人向け国債、 という分け方も成り立ちます。

金額を入れると、いま募集中の両方の商品を並べて比較できます。 満期ごとに預金のままの場合と比べたうえで、 使う時期と優先したいことを答えると、条件に合うほうまで絞り込めます。

仕組みそのものをもう少し詳しく知りたい場合は個人向け国債とはを、元本の扱いが気になる場合は元本保証の正確な意味をご覧ください。

よくある質問

個人向け国債と利付国債(新窓販国債)の違いは何ですか?
最大の違いは満期前に換金したときの扱いです。個人向け国債は国が額面で買い取るため元本割れしません。新窓販国債は市場で売却するため、金利が上がっていると元本を下回ることがあります。購入単位も1万円と5万円で異なります。
新窓販国債は表面利率と応募者利回りのどちらを見ればよいですか?
応募者利回りです。新窓販国債は募集価格が額面から離れるため、額面より安く買えるときは応募者利回りが表面利率を上回ります。実際の収益率を表すのは応募者利回りです。
どちらのほうが利回りは高いですか?
同じ年限では新窓販国債のほうが高くなるのが通常です。個人向け国債は基準金利から一定の割引をして利率を決めているためで、その差は満期前に額面で換金できることの対価にあたります。
2年など短い期間で持ちたい場合はどちらですか?
新窓販国債です。2年という年限があるのは新窓販国債だけで、個人向け国債は最短でも固定3年になります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては財務省の個人向け国債のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。