投資信託のコスト

ETFと投資信託のコストの違い

「ETFのほうが安い」は信託報酬だけを見た話です。買い方によって逆転します。

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この記事の要点

  • ETFも中身は投資信託です。違うのは取引所で株と同じように売買する点で、そこからコストの違いが生まれます。
  • 信託報酬はどちらも残高から自動で引かれます。違うのは、売買の手数料を自分の口座から払うかどうかです。
  • ETFは売買のたびに手数料がかかり、買値と売値の差も負担になります。海外ETFなら為替の手数料も加わります。
  • 投資信託には分配金を出さずに再投資する仕組みがあります。ETFは分配金を受け取って自分で買い直すことになります。
  • 課税口座では、分配金を受け取った時点で約20%が引かれます。再投資型の投資信託なら、この段階での課税が起こりません。
  • まとめて買って長く持つならETF、毎月少額を積み立てるなら投資信託が総額で下回りやすい傾向です。

ETFは信託報酬が低いと言われます。実際、同じ指数に連動する商品どうしで比べると、 ETFのほうが低いことが多くあります。ただ、それだけで安く済むとは限りません。 コストの出てくる場所が違うためです。

どちらも投資信託ではある

ETFは「上場投資信託」の略で、中身は投資信託です。 お金を集めて運用会社が運用し、信託銀行が資産を預かる仕組みは同じです。 違うのは売買のしかたです。

一般的な投資信託は、1日1回計算される基準価額で売買します。 注文を出した時点では価格が分かりません。 ETFは証券取引所で株と同じように売買するので、 取引時間中はいつでも、そのときの価格で売買できます。

この違いが、コストのかかり方の違いにつながっています。 取引所で売買するということは、株を買うときと同じ費用が発生するということです。

マネック(案内役):中身は同じ投資信託。買い方が「株と同じ」になっただけなんだ。

コストが出てくる場所が違う

信託報酬は、どちらも残高から自動で引かれます。 ここは同じです。違うのは、それ以外の費用です。

同じコストでも、出てくる場所が違う投資信託ETF信託報酬残高から自動で残高から自動で売買の手数料多くは0円自分で払う為替の手数料含まれることが多い自分で払うことがある分配金の再投資自動でできる自分で買い直す
信託報酬だけを比べるとETFのほうが低いことが多いのですが、売買や為替、分配金の再投資まで含めると順番が変わることがあります。

投資信託の場合、多くの費用が信託報酬の中か、投資信託の財産の中で処理されます。 自分で何かを払う場面がありません。 ETFの場合、売買の手数料は自分の口座から出ていきます。

「自動で引かれる」か「自分で払う」かの違いは、気づきやすさに影響します。 自分で払うほうは明細に出るので分かりますが、 自動で引かれるほうは意識しないと分かりません。気づきやすさと、金額の大小は別の話です。

売買のたびにかかるもの

ETFを売買するときにかかるのは、証券会社に払う売買手数料です。 無料にしている証券会社もありますが、対象の銘柄が決まっていることがあります。

もうひとつ、取引所での売買には価格の幅があります。 買いたい人が出している価格と、売りたい人が出している価格には差があり、 その差のぶんだけ実質的な負担になります。取引の少ない銘柄ほど、この幅が広がります。

海外のETFを買う場合は、為替の手数料も加わります。 円をドルに替えるときと、戻すときの両方でかかります。積み立てで毎月買うなら、この費用が毎月発生します。

投資信託ETF
1回あたりの売買費用多くは0円証券会社の手数料
価格の幅無い(1日1回の基準価額)ある(買値と売値の差)
為替の手数料商品の中で処理されることが多い自分で負担することがある
少額での積み立て100円から買えるものが多い1口の価格による

毎月少額を積み立てる使い方では、この差が効いてきます。

売買のたびにかかる費用は、1回あたりで見ると小さく感じます。 ただ、毎月買うなら年12回、20年なら240回です。 1回500円でも12万円になります。回数の多い買い方をするほど、ここが効いてきます。

逆に、年に1回まとめて買う使い方なら、20年でも20回です。 同じETFでも、買い方によって負担がまったく変わります。 信託報酬のように率で決まる費用と違い、 こちらは自分の行動で大きく動かせる部分です。

分配金の扱いが違う

長期で持つ人にとって、ここが実務上いちばん大きい差になります。

投資信託には、分配金を出さずに再投資する仕組みを持つものがあります。 運用で得た利益をそのまま運用に回すので、自分では何もしなくても複利で回ります。

ETFは仕組み上、分配金を出します。受け取った分配金を再び投資に回したいなら、 自分で買い直す必要があります。買い直すたびに売買手数料がかかり、 課税口座なら分配金を受け取った時点で税金も引かれます。

課税口座では、手取りが減る

分配金には約20%の税金がかかります。受け取って再投資すると、 税金を引かれたあとの金額を投資に回すことになります。 再投資する仕組みを持つ投資信託なら、この段階での課税が起こりません。

NISA口座なら分配金に税金はかからないので、この差は小さくなります。 ただ、買い直す手間と手数料は残ります。

どちらが安く済むか

信託報酬だけを見ればETFが低いことが多く、 売買や分配金の再投資まで含めると使い方によって逆転します。

ETFのほうが安く済みやすい場合

まとまった金額を一度に買って、長く持ち続ける場合です。 売買の回数が少ないので、1回あたりの手数料が薄まります。 信託報酬の差が、そのまま効いてきます。

投資信託のほうが安く済みやすい場合

毎月少額を積み立てる場合です。売買のたびに手数料がかかると、 信託報酬の差を上回ることがあります。 分配金を自動で再投資できることも、長期では効いてきます。

投資信託の手数料は、3つの時点でかかる時間買うとき購入時手数料0円のものが多い持っているあいだ信託報酬毎日かかり続ける売るとき信託財産留保額無いものもある
真ん中だけが点ではなく線です。買うときと売るときは1回きりですが、信託報酬は持っているあいだずっとかかります。期間が長いほど、ここが効いてきます。

「ETFのほうがコストが低い」は、信託報酬だけを見た話です。 毎月の積み立てで長期に持つなら、投資信託のほうが総額で下回ることがあります。 自分の買い方に当てはめて比べてください。

率の差が金額でいくらになるかは、投資信託の手数料、20年でいくら差がつく?で計算できます。信託報酬の差だけを比べたいときにも使えます。

NISAでの扱いの違い

NISA口座で持つ場合、投資信託とETFで扱いが少し変わります。 コストだけでなく、この違いも判断に影響します。

つみたて投資枠で買えるかどうか

つみたて投資枠の対象になるには条件があり、 その条件を満たす商品はあらかじめ届け出られています。 対象商品の大半は投資信託で、ETFは数えるほどしかありません。

つみたて投資枠で積み立てたいなら、選べる範囲は投資信託が中心になります。 ETFを買いたい場合は成長投資枠を使うことになり、 枠の使い方そのものが変わってきます。

分配金にかかる税金

NISA口座なら、分配金にも税金はかかりません。 課税口座で問題になった「受け取るたびに約20%引かれる」という点は、 NISAでは起こりません。ETFの不利な点がひとつ消えることになります。

ただし、受け取った分配金を再び投資に回すには、 新しくNISAの枠を使うことになります。枠には年間の上限があるので、分配金の再投資に枠を使うと、そのぶん新しく積み立てられる額が減ります。 再投資型の投資信託なら、この問題は起こりません。

枠の使い方まで含めて考える

コストの比較だけを見ていると、この点は抜け落ちます。 年間の枠を使い切るつもりで積み立てている人ほど、 分配金の再投資に枠を取られることの影響が大きくなります。

逆に、枠に余裕がある使い方をしているなら、 この点はあまり気にしなくてかまいません。 自分がどれくらい枠を使っているかで、重さが変わります。

コスト以外で決まること

コストは選ぶ理由のひとつでしかありません。 扱いやすさの面で、はっきりした違いがあります。

  • 金額を指定して買えるか … 投資信託は「1万円ぶん」で買える。ETFは口数で買う
  • 自動で積み立てられるか … 投資信託は設定すれば自動。ETFは対応していないことがある
  • 価格が分かるタイミング … 投資信託は注文したあと。ETFは注文する前
  • 取引できる時間 … 投資信託はいつでも注文できる。ETFは取引所の時間内

毎月決まった額を自動で積み立てたいなら、投資信託のほうが向いています。 価格を見ながら自分のタイミングで買いたいなら、ETFのほうが向いています。どちらが優れているかではなく、どちらが自分の使い方に合うかです。

コストの低さだけで選び替えると、続けられない仕組みに移ってしまうことがあります。 自動で積み立てていたものを、毎月自分で発注する形に変えると、 忙しい月に止まります。続くかどうかは、率よりも結果に効きます。

同じ指数に連動する商品でも、中身がまったく同じとは限りません。 為替をどう扱うか、どの時点の指数に合わせるかで差が出ます。 コストを比べる前に、何に投資している商品かを確かめてください。

どちらを選ぶかで迷ったときは、コストの差を金額にしてから考えてください。 年0.05%の差なら、500万円で年2,500円です。

この額のために、自動で積み立てられる仕組みを手放して 毎月自分で発注する形に移るかどうか——そう並べると判断しやすくなります。率の差だけを見ていると、手間の大きさと釣り合っているかが分かりません。 金額に直せば、比べられる形になります。

コストは選ぶ理由のひとつですが、唯一の理由ではありません。 続けられる仕組みかどうかまで含めて、自分の使い方に合うほうを選んでください。 途中で止まってしまえば、率の差は意味を持ちません。

よくある質問

ETFのほうが信託報酬は低いですか?
同じ指数に連動する商品どうしで比べると、ETFのほうが低いことが多くあります。ただし売買手数料や分配金の再投資まで含めると、総額では順番が変わることがあります。自分がどう買うのかを決めてから比べてください。
毎月積み立てるなら、どちらが向いていますか?
投資信託のほうが向いていることが多いです。金額を指定して買えて、自動で積み立てられ、売買のたびの手数料がかかりません。分配金を自動で再投資できる点も長期では効いてきます。ETFは口数で買うため、少額での積み立てには使いにくい面があります。
同じ指数なら中身は同じですか?
同じとは限りません。為替をどう扱うか、どの時点の指数に合わせるかで差が出ます。コストを比べる前に、何に投資している商品かを確かめてください。率だけで選び替えると、狙いと違うものを持つことになります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては金融庁のつみたて投資枠対象商品のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。