教育費

教育資金は、使う時期を動かせない

同じ「将来のためのお金」でも、老後資金と教育資金は性質が違います。大学の入学は待ってくれません。この一点が、置き場所の決め方を変えます。

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この記事の要点

  • 教育資金は使う時期が決まっています。値下がりした年に入学が来ても、回復を待つという選択肢がありません。
  • 利回りを前提に置くと必要な積立額は小さく出ますが、それは前提の上での話です。0%のときの額も必ず並べて見てください。
  • 使う時期が近づくほど、値動きのある置き場所は不利になります。取り戻す時間が残っていないためです。
  • 教育資金を生活費と同じ口座に置くと、積み立てたつもりの額が日々の支出に流れます。金額を決める前に分けるのが先です。
  • 生活防衛資金を削って教育資金に回すと、急な出費で取り崩すことになり、結局続きません。

老後資金と教育資金は、性質が違う

どちらも「将来のためのお金」ですが、決定的に違うところがあります。使い始める時期を、自分でずらせるかどうかです。

老後資金は使い始める時期をずらせるが、教育資金はずらせない老後資金下がった年は取り崩しを減らす回復を待てる教育資金入学は待ってくれない下がった年でも売る回復を待てない同じ「将来のためのお金」でも、性質が違う使う時期が決まっているお金ほど、値動きのある置き場所は不利になる
値下がりした年に使う時期が来たとき、取れる選択肢が違います。教育資金は入学の時期が決まっているため、回復を待つという選択肢がありません。この違いが、置き場所の決め方を変えます。

この違いは、金額の大きさとは関係ありません。1,000万円の老後資金と500万円の教育資金なら、 金額としては老後資金のほうが大きい。それでも、失敗したときに取り返しがつくかどうかでは 教育資金のほうが厳しい条件に置かれます。

老後資金は、値下がりした年に取り崩す額を減らすという選択ができます。 働く期間を延ばす、支出を抑える、受け取り開始を遅らせる。どれも回復を待つための手段です。

もう少し細かく言うと、老後資金にあるのは「使う額を減らす」「使い始めを遅らせる」 「働く期間を延ばす」という3つの逃げ道です。どれも、結果が出るまでの時間を伸ばす手段です。

教育資金にはそれがありません。大学の入学は、相場が戻るまで待ってくれません。 値下がりした年に入学が来れば、下がった価格で売って払うことになります。

教育資金は使う時期が決まっています。値下がりしても回復を待てないという一点が、 置き場所の決め方を老後資金とは別のものにします。
マネック案内役):「長期で持てば平均的には増える」という話は、待てる人にだけ当てはまるんだ。 待てない時期が決まっているお金は、そこが違うよ。

利回りを置くと、必要額は小さく出る

積立の計算に想定利回りを入れると、必要な毎月の額は下がります。 同じ条件で比べると、下がり方はこのくらいです。

想定利回り必要な毎月の積立額
年0%月30,900円
年1%月29,400円
年3%月26,500円

小学3年生・すべて公立・国立大学に自宅から通う場合の例です。 年3%を置くと月4,400円下がります。ただしこれはその利回りで実際に運用できた場合の話で、置いた数字は仮定にすぎません。

利回りを置いた必要額だけを見て積立額を決めると、前提が外れたときに戻せません。0%のときの額も必ず並べて見てください。0%で届かない計画は、運用の成績に結果を預けた計画です。

ToMiの試算で想定利回りの既定を0%にしているのは、この理由からです。 利回りを入れた場合も、0%のときの額を必ず併記します。

もうひとつ、表を見て気づくことがあります。利回りを3%にしても、下がるのは月4,400円です。思ったより小さいと感じるかもしれません。 期間が10年ほどだと、複利が効く時間がそれほど長くないためです。

期間が短いほど、利回りで縮められる幅は小さくなります。 そして期間が短いときほど、値下がりから取り戻す時間も残っていません。効果は小さく、危険は大きいという組み合わせになるので、 進学が近いほど運用に頼る理由は薄くなります。

使う時期が近づいたら、置き場所を変える

使うまで10年以上ある教育資金と、来年使う教育資金では、同じ置き場所が適切とは限りません。 違うのは、値下がりしたときに取り戻す時間が残っているかです。

入学が近づくほど、値下がりから取り戻す時間が残らない取り戻す時間がある期間残っていない期間10年前3年前入学使う分を、値動きのない置き場所へ移す時期を決めておく決めていないと、下がった年に「もう少し待とう」と判断することになる
移す時期に「何年前が正しい」という基準はありません。要点は、入学の年になってから考えるのではなく、いつ移すかをあらかじめ決めておくことです。値動きのない置き場所に移した分は、その年に下がっていても売らずに済みます。

「何年前に移すのが正しい」という公的な基準はありません。 要点は年数そのものではなく、いつ移すかをあらかじめ決めておくことにあります。

決めていないと、価格が下がった年に「もう少し待とう」と判断することになります。 そして待っているうちに入学の年が来ます。あらかじめ時期を決めておけば、 その判断をしなくて済みます。

全額を一度に移す必要はありません。1年目に使う分だけを先に移し、 残りは翌年以降に移す形でも、入学の年に売らなくて済むという目的は果たせます。

とくに用意しておきたいのが、入学の年の一時金です。入学金と、私立なら手続きの締切までに 払う額は、合格発表からの短い期間に現金で必要になります。 この分だけは、受験の年より前に現金にしておくほうが安全です。

置き場所を決める3つの条件

具体的な商品名の前に、どういう条件で選ぶのかを決めておくと迷いません。 教育資金の場合、見るところは3つです。

  • 使う時期に、必要な額がそこにあるか。値動きがあると、その年の価格で決まってしまいます。
  • 必要になったときに引き出せるか。満期や解約の条件で縛られていると、時期がずれたときに動かせません。
  • 途中でやめたときに、それまで積んだ分がそのまま残るか。中途解約で元本を割る仕組みかどうかです。

この3つのどれにも、利回りは入っていません。利回りで選ぶと、上の3つのどれかを手放すことになるためです。 増やすことが目的のお金なら利回りで選んでよいのですが、教育資金は 「その時期に、その額があること」が目的のお金です。

使うまで10年以上あるうちは、3つめの条件を満たしたうえで値動きのある置き場所を使う、 という選び方もできます。判断が分かれるのはそこで、使う時期が近づいてからは分かれません。

マネック案内役):「どれがいちばん増えるか」じゃなくて、どれなら使いたい年に使えるかで選ぶ。 順番が逆になりやすいところだよ。

金額を決めるより先に、分ける

置き場所の話の前に、済ませておくことがあります。 教育資金を、生活費と別の口座に分けることです。

生活費と同じ口座にあると、教育資金は残高としてしか見えない分けていない生活費と教育資金が同じいま使ってよい額に見える分けたあと生活費教育資金積んだ額がそのまま残る分けるのは、必要額を計算するより先ただし生活防衛資金まで教育資金に回すと、急な出費で崩すことになる
口座を分けるだけで、教育費として残った額がひと目で分かるようになります。金額を決めるより先に済ませておく手順です。分けていない状態では、積み立てているつもりの額が日々の支出に流れます。

分けるのは、意志の強さの問題ではありません。見え方の問題です。 同じ口座にあるお金は、残高としてしか見えません。 教育費として残しているつもりの30万円も、画面に出るのは口座の合計額です。 月末に足りなければ、その30万円から使うことになります。

しかも、使ったことに気づきません。口座から30万円が減っても、 それが教育費のぶんだったのか生活費のぶんだったのかは、あとから分けられないためです。足りなくなったことに気づくのが、必要になった年になります。

この状態では、必要な積立額を計算しても意味がありません。積み立てた額がそのまま残らないためです。 口座を分けるだけで、教育費として残った額がひと目で分かるようになります。

マネック案内役):「毎月2万円を教育費に」と決めていても、同じ口座だと決めたことにしかならないんだよね。 自動で別の口座へ振り替わるようにしておくと、決めたとおりに残るよ。

生活防衛資金を削らない

教育資金を厚くしようとして、手元の現金まで回してしまうことがあります。 これは結果として、教育資金を守れません。

  • 急な出費が来たとき、取り崩す先が教育資金しかなくなります。
  • 収入が止まったとき、生活のために教育資金を使うことになります。
  • 値動きのある置き場所にしていた場合、下がった年に売ることになります。

順番としては、生活防衛資金が先です。教育費は10年以上先に使うお金で、 急な出費はいつ来るか分かりません。先に来るほうから備えるのが自然な並びです。

生活防衛資金は、教育資金を守るためにもあると考えてください。 手元に別の現金があれば、急な出費が来ても教育資金に手をつけずに済みます。 いくら残すかの考え方は生活防衛資金の記事にまとめています。

学資保険を、他と同じ土俵で見る

教育資金の話でよく出てくるのが学資保険です。ToMiは特定の商品を勧めませんが、他の置き場所と同じ3つの条件で見ればよいという点だけは言えます。

満期の時期を進学に合わせられること、途中で使いたくなっても動かしにくいことは、 見る人によって長所にも短所にもなります。 中途解約で払った額を下回る仕組みかどうかは、契約ごとに違います。

確かめ方は1つです。その契約の書面で、いつ・いくら受け取れて、途中でやめたらいくら戻るかを見る。「教育資金なら学資保険」という決め方ではなく、上の3つの条件に照らして判断してください。

保険には、契約者に万一のことがあった場合に以後の払込みが免除される仕組みを持つものがあります。 これは預金には無い性質なので、比べるときは受け取る額だけでなく、 そこまで含めて見る必要があります。条件は契約ごとに違うので、書面で確かめてください。

順番のまとめ

教育資金の置き場所は、次の順番で決まります。

  • 生活防衛資金を先に確保する。これを削って教育資金に回さない。
  • 教育資金を、生活費と別の口座に分ける。分けるまで金額の話は成り立たない。
  • 必要な積立額を、利回り0%でも出す。利回りを置く場合は両方を並べる。
  • 使う時期が近い分を、値動きのない置き場所へ移す時期をあらかじめ決める。

この4つのうち、最初の2つは今日じゅうにできます。3つめは計算するだけです。 時間がかかるのは4つめだけで、しかもそれはいつやるかを決めておくことなので、いま決められます。

この順番で見ていくと、置き場所を決める前に済ませることのほうが多いのが分かります。 どの商品にするかは最後の話で、そこだけを先に考えると、たいてい前のどれかが抜けます。

必要な積立額と、いつ足りなくなるかは教育費の診断で出せます。利回りを置いた場合も、0%のときの額を必ず併記します。

よくある質問

教育資金は運用に回してもよいですか?
使うまでの期間が長いうちは選択肢になりますが、入学が近づくほど不利になります。値下がりしても回復を待てないためです。利回りを置いた必要額だけを見て、0%のときの額を見ないのが危険な使い方です。
教育資金はいつ、値動きのない置き場所へ移せばよいですか?
何年前が正しいという基準はありませんが、入学の1〜2年前までに使う分を移しておけば、その年に下がっていても売らずに済みます。移す時期をあらかじめ決めておくことが要点です。
教育資金は生活費と分けたほうがよいですか?
分けてください。同じ口座にあるお金は残高としてしか見えないため、教育費として残しているつもりの額が日々の支出に流れます。分けるだけで、積み立てた額がそのまま残るようになります。

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