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ビットコインの下落は、どれくらい深い?

半分になっただけ、と言いがちですが、戻るには2倍にならなければなりません。

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この記事の要点

  • 下げ幅と、戻るのに必要な上げ幅は同じ数字になりません。50%下げたら100%上げないと戻りません。
  • 8割下げたら5倍、9割下げたら10倍にならないと元の値になりません。
  • ビットコインでは8割前後の下げが一度きりではなく、繰り返し起きています。
  • 高値を取り戻すまでに数年かかった局面があり、その間ずっと含み損を抱えます。
  • 配当のような支えが無いので、下げた期間はただ待つ期間になります。
  • 年率だけを見ると途中の谷が消えます。必ず同じ期間の最大下落と並べて見てください。

結論から

ビットコインは高値から8割ちかく下げた局面が複数回あります。 8割下げたものが元に戻るには5倍にならなければなりません。 戻るまでに数年かかった局面もあり、 その間ずっと含み損を抱えて持ち続けることになります。

値上がりの記録は目に入りやすく、下げの記録は流れていきます。 けれど持ち続けられるかどうかを決めるのは、下げたときのほうです。

ここでは、深さがなぜそこまで効くのかを算数から確かめ、 そのうえで額の決め方につなげます。

深さと、戻るのに必要な上げ幅

まず押さえたいのは、下げ幅と戻るのに必要な上げ幅が同じ数字にならないことです。

100万円が50万円になったとします。下げ幅は50%です。 ここから100万円に戻すには、50万円が2倍にならなければなりません。 必要な上げ幅は100%です。

下げ幅残った額(100万円が)戻るのに必要な上げ幅
−20%80万円+25%
−50%50万円+100%
−70%30万円+233%
−80%20万円+400%
−90%10万円+900%

下に行くほど、必要な上げ幅が急に大きくなります。 これは算数なので、どの資産でも同じです。 違うのは、ビットコインでは下の2行が実際に起きているという点です。

深く下げた資産が、もとの値に戻るまでの道のり下げる前の値いちばん深いところ下げ幅ここでやっと元通り半分なら2倍、8割下げたなら5倍にならないと戻らない
半分になったものが元に戻るには、そこから2倍にならなければなりません。8割下げたなら5倍です。下げ幅が深いほど、戻るのに必要な上げ幅も、かかる時間も伸びます。持ち続けられるかどうかは、この谷の深さと長さで決まります。

この関係は、投じた額が同じであれば金額でも同じです。 100万円が20万円になったとき、失った80万円を取り戻すには、 残った20万円が80万円ぶん増える必要があります。失った額より、残った額のほうがずっと小さいので、 そこから同じ額を取り戻すのは難しくなります。

株式の指数で「大暴落」と呼ばれる下げは、4割から5割です。 そこから戻るには8割から2倍の上げが要ります。 8割下げた場合は、その先さらに2倍以上の道のりがあることになります。

マネック案内役):「半分になっただけ」って言いがちだけど、 戻るには2倍にならなきゃいけないんだ。下げと上げは対等じゃないよ。

実際にどれくらい下げてきたか

ビットコインには、高値から大きく下げた局面が繰り返し訪れています。 8割前後の下げが、これまでに複数回ありました。

回数が多いことも大事な点です。 一度だけの事故なら「あの年は特別だった」と言えますが、繰り返し起きているのであれば、それがこの資産の性質です。

下げる理由も、そのときどきで違います。 取引所の破綻、規制の強化、大口の売り、 金利が上がって値動きの荒い資産から資金が引くこと。次に何が引き金になるかは、事前には分かりません。分かっているのは、深く下げる局面が繰り返し来ているという事実だけです。

もう一つ、下げ方の速さも株式とは違います。 数か月のうちに半分になることがあり、 売るかどうかを落ち着いて考える時間が取りにくくなります。

  • 8割前後の下げが、一度きりではなく繰り返し起きている
  • 下げ方が速く、判断する時間が短い
  • 下げているあいだ、配当のような支えが何も入らない

日本に住む人にとっては、ここに為替も乗ります。 ドルで8割下げた局面で同時に円高が進んでいれば、 円で見た下げはさらに深くなります。 逆に円安なら、円で見た下げは少し浅くなります。受け取るのは円なので、円で見た下げのほうが実際の痛みです。

3つ目は、前の記事で見た「何も生まない」性質がここで効いてくる部分です。 株式なら、値段が戻らなくても配当は入り続けます。 ビットコインで下げた期間は、ただ待つ期間になります。

自分の金額でどれくらい減るのかは、ビットコインに投資していたら今いくらかを試算すると、その期間にいちばん沈んだところが円で出ます。

深さより、長さのほうがつらい

数字の上では深さが目立ちますが、 実際に持ち続ける人にとってつらいのは長さのほうです。

高値を取り戻すまでに数年かかった局面があります。 その間、口座を開けば含み損の数字が表示され続けます。毎日それを見ながら、何もしないでいる必要があります。

この長さは、あとから振り返ると1行で済みます。 「数年かけて戻った」と書けば数秒で読めますが、 実際に持っていた人にとっては、 その数年ぶんの月日を1日ずつ過ごしたことになります。記録の上での長さと、体感の長さはまったく違います。

しかもその期間中、まわりの話題は静かになります。 値上がりしているときは目にする情報が増え、 下げているときは減ります。持っている自分だけが取り残された気分になります。

そして、待っているあいだにも生活は続きます。 その数年のうちに、まとまったお金が必要になる出来事が起きるかもしれません。 そのとき、含み損のまま売らざるを得なくなります。いつ必要になるか分からないお金を入れてはいけないのは、 値動きが荒いからというより、この理由のほうが大きくなります。

売ってしまえば、そこで損が確定します。 そして戻ってきたとき、手元には何も残っていません。耐えられなかった場合、戻ってきても意味がないのはこのためです。

「長く持てば戻る」という言い方は、 途中で売らなかった人だけに当てはまります。 自分がその期間を耐えられるかどうかを、額を決める前に考えてください。

年率だけを見ると、この谷が消える

もう一つ気をつけたいのが、年率という数字の見え方です。

同じ年率でも、途中の道のりは違う。真っすぐ増える線と、途中で沈んでから戻る線投資した時点いま同じ着地ここで売ると、この結果にならない
どちらも始点と終点が同じなので、あとから計算した年率は同じ値になります。ちがうのは途中で、下の線は一度大きく沈んでいます。持ち続けられるかどうかを決めるのは、終点ではなく、この沈み方のほうです。

同じ「年◯%」でも、途中の道のりはまったく違います。 まっすぐ増えた場合と、8割沈んでから戻った場合で、 あとから計算した年率は同じ値になります。

ビットコインの年率は、株式の指数と比べてかなり大きな数字になります。 けれどその数字は、途中の谷を通り抜けた人の結果です。 谷の途中で売った人は、その年率を受け取っていません。

いつから数えるかでも、年率は大きく変わります。 高値の直前から数えれば低く出て、 下げきったところから数えれば高く出ます。 期間の短い資産ほど、この差が極端になります。 目にした年率が、どの期間を数えた数字なのかを確かめてください。

年率を見るときは、必ず同じ期間の最大下落と並べて見てください。 片方だけでは、持ち続けられるかどうかの判断ができません。

ToMiの試算では、評価額と年率を出すときに 必ず「途中でいちばん下げたところ」も一緒に出しています。 増えた話だけを見せないためです。

耐えられる額の決め方

ここまでを踏まえると、決め方は1つに絞れます。 期待する上げ幅からではなく、耐えられる下げ幅から決めることです。

手順としては、まず生活費と近く使う予定のお金を外します。 残った中で、8割減っても持ち続けられる額を考えます。 その額が、投じてよい上限になります。

ここで大事なのは、下げ幅を自分で決めないことです。 「まさか8割は下げないだろう」と思ったところから始めると、 その想定が外れたときに耐えられなくなります。過去に起きた中でいちばん深い下げを当てはめて、 それでも続けられる額かどうかで考えてください。

この順で考えると、多くの人にとって金額はかなり小さくなります。 それが正しい結果です。値動きの荒さに対して、 耐えられる額のほうが先に上限を決めます。

もう1つ、家族と暮らしている場合は その額を家族に説明できるかどうかも目安になります。 8割減ったときに説明できない額なら、 そもそも投じる額として大きすぎるということです。 自分だけで抱えられる範囲かどうかは、判断の材料になります。

資産全体の中での割合で決める方法もあります。 数%までと決めておけば、値上がりした年には割合が上がるので、 その都度いくらか売って元に戻すことになります。上がったときに一部を確定させる仕組みが、あらかじめ入る形です。

いくらまでなら投じてよいかは、こちらでは決められません。自分の金額で試算すると、耐えられると答えた額から逆算した上限が算数で出ます。

8割下げたものが元に戻るには、5倍にならなければなりません。深さと同じくらい、戻るまでの長さが持ち続けられるかを決めます。年率を見るときは、必ず同じ期間の最大下落と並べてください。

よくある質問

なぜ下げ幅より、戻るのに必要な上げ幅が大きくなるのですか?
減ったあとの小さい額を基準に計算するからです。100万円が50万円になると下げ幅は50%ですが、50万円から100万円に戻すには2倍、つまり100%の上げが必要になります。残った額が小さいほど、必要な倍率は大きくなります。
長く持っていれば戻るのではないですか?
これまでは戻ってきましたが、次も戻るという約束ではありません。また「長く持てば戻る」は、途中で売らなかった人だけに当てはまります。耐えられずに売れば、そこで損が確定し、戻ってきても手元には残りません。
年率が高いのに、なぜ注意が必要なのですか?
年率は、途中の谷を通り抜けた人の結果だからです。同じ年率でも、まっすぐ増えた場合と8割沈んでから戻った場合では経験がまったく違います。年率を見るときは、必ず同じ期間の最大下落と並べて見てください。

参照した一次情報

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