米国債

米国債の利回りと価格の関係

表面利率は買ったあと変わりません。動くのは価格のほうです。ここでは、その2つがどうつながっているのかを説明します。

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この記事の要点

  • 表面利率は入札で決まり、その後は変わりません。市場の利回りのほうが動きます。
  • 利回りが表面利率より高ければ価格は額面を下回り、低ければ上回ります。
  • 市場金利が上がると、すでに持っている債券の価格は下がります。
  • 満期まで持てば戻るのは額面なので、途中の価格変動は結果に入りません。
  • ToMiが出している参考利回りは市場の平均で、買える利回りとは違います。

債券の説明でつまずくのは、数字が2つ出てくるところです。 表面利率と利回り。似た言葉ですが、片方は買ったあと変わらず、もう片方は毎日動きます

この2つを混ぜたまま読むと、「利回りが上がったのに損した」という 矛盾に見える場面が出てきます。矛盾ではありません。 上がったのは市場の利回りで、自分が受け取る利息はそのままだからです。

表面利率は入札で決まり、そのあと変わりません。 動くのは市場の利回りで、その差を価格が吸収します。 利回りが表面利率より高ければ価格は額面を下回り、低ければ上回ります。

表面利率と利回りは別のもの

何を表すか買ったあと
表面利率額面に対して毎年払われる割合変わらない
最終利回りいまの価格で買って満期まで持った場合の年あたりの収益率買った時点で決まる
市場の利回りいま同じ年限を買うならいくらの収益率か毎日動く

受け取る利息の額は、表面利率と額面だけで決まります。 いくらで買ったかは関係ありません。安く買った人も高く買った人も、受け取る利息は同じ額です。

だから、表面利率だけを見て2本の債券を比べても意味がありません。 利率3%で額面より高い債券と、利率2%で額面より安い債券のどちらが有利かは、最終利回りを見るまで分かりません。 証券会社の一覧で並べ替えるときも、そこを基準にします。

利息は現金で入り、元本は増えない買う半年ごとに利息が入る満期額面が戻る
半年ごとに利息が現金で入り、満期に額面が戻ります。受け取った利息を同じ利回りで再投資できる保証はないため、ToMiの試算では再投資しない前提で計算しています。

動かないほうと、動くほう

表面利率が動かないのに、市場の利回りは動く。 この2つのつじつまを合わせているのが価格です。

利回りが上がると、価格は下がる利回りが表面利率より高い額面より安い利回りと表面利率が同じ額面ちょうど利回りが表面利率より低い額面より高い棒の長さが価格。満期まで持てば、どれも額面が戻る
表面利率は買ったあと変わりません。市場の利回りのほうが動き、その差を価格が吸収します。満期まで持てば戻るのは額面なので、この上下は途中で売るときにだけ効きます。

市場の利回りが表面利率より高くなれば、その債券は見劣りします。 同じ価格では買い手がつかないので、価格が下がります。 下がったぶんだけ満期の差益が乗るので、合計するとちょうど市場の利回りに並びます

この調整は、誰かが決めているわけではありません。 高すぎれば買い手がつかず、安すぎれば買い手が殺到する。 売り買いの結果として、そこに落ち着くという形です。 だから価格は毎日動き、同じ銘柄でも買う日によって最終利回りが変わります。

マネック案内役):値札のほうが動いて、つじつまを合わせているんだ。 中身(もらえる利息)は最初から最後まで同じだよ。

額面より安く買う場合

額面100のものを98で買ったとします。 満期には100が戻るので、利息とは別に2だけ増えます。

この2は、受け取る利息が市場より低いことの埋め合わせです。 表面利率が低い債券は、そのままでは選ばれません。 だから価格が下がって、満期の差益で足りない分を補う形になります。

この形は、古い時期に発行された債券でよく起こります。 金利が低いころに出た債券は表面利率が低いので、 いま買うなら額面より安い価格になる。安いのは訳ありだからではなく、条件をそろえた結果です。

受け取る利息は少ないが、満期に差益が出る。合わせた結果が最終利回りで、そこで初めて他の債券と比べられます。

この形には、税金の面で違いが出ることがあります。 利息として受け取る分と、満期の差益として受け取る分では、 扱いが分かれるためです。くわしくは米国債の税金で扱っています。

額面より高く買う場合

逆に102で買えば、満期に戻るのは100までです。差の2は戻りません。

金利が高い時期に出た債券が、そのあと金利が下がってから買われる場合がこれです。 受け取る利息が市場より多いぶん、価格が上乗せされています。

これは損ではありません。額面より高くなるのは、 表面利率が市場の利回りより高いときです。 高い利息を受け取るかわりに、満期の差額を諦めています。 こちらも、合わせた結果が最終利回りになります。
ただし、証券会社の画面で「利率3.5%」だけを見て買うと、 この差額に気づかないことがあります。 見るのは表面利率ではなく最終利回りです。 単価が100より上か下かも、あわせて確かめてください。

単価の表示は、額面100あたりの数字になっていることが多くなります。 「101.20」なら額面より高く、「98.40」なら安い。 この1つを見るだけで、満期に差益が出る形か、差額を諦める形かが分かります。

金利が上がると価格が下がる理由

ニュースで「金利上昇で債券が下落」と聞くと、 持っている債券に何か起きたように感じます。実際には何も起きていません。

変わったのは新しく出る債券の条件です。 より高い利息を払う債券が出れば、古い債券は同じ価格では売れません。 利息の差が埋まるところまで価格が下がります。

この言い方をすると当たり前に聞こえますが、 運用報告書に「評価損」と書かれると別のことのように見えます。 満期まで持つ前提なら、その評価損は満期に向かって消えていきます。 額面に戻るところが決まっているためです。

持ち続けるなら関係ない

価格が下がっても、受け取る利息は変わりません。 満期に戻るのも額面のままです。この下落が結果に効くのは、途中で売るときだけです。

逆に金利が下がれば、持っている債券の価格は上がります。 こちらも、売らなければ受け取る額は変わりません。 評価額が増えたように見えても、満期まで持てば戻るのは額面です。上がっても下がっても、持ち切る人には同じ結果になります。

残りの期間が長いほど、大きく動く

同じ金利の変化でも、価格の動き方は年限によって違います。 残りが長いほど、大きく動きます。

理由は単純で、影響を受ける回数が違うからです。 残り1年なら、見劣りする利息を受け取るのはあと1〜2回。 残り10年なら20回です。埋め合わせに必要な値下がりも、そのぶん大きくなります。

この性質は、金利が下がる局面では逆に働きます。 長い年限のほうが値上がりも大きくなる。 ただしそれを狙うのは、満期まで持つのとは別のやり方です。 ToMiの試算は満期保有だけを扱っていて、値上がり益は見込んでいません。

だから、長い年限ほど途中で売るときの振れが大きくなります。 満期まで持ち切るつもりなら関係ありませんが、 持ち切れるか自信がないなら、年限を短くするほうが振れは小さくなります。

利回りは長い年限のほうが高いことが多く、そこだけ見ると10年が有利に見えます。 ですが、その高さは長く預けることへの対価でもあります。高い利回りと、途中で売れない不自由さは、同じものの表と裏です。

ToMiの参考利回りは、買える利回りではない

ToMiが試算に使っているのは、米財務省が公表している期間別の参考利回りです。 市場の気配値から算出したもので、実在する1本の約定利回りではありません

証券会社の画面に出ている利回りは、その会社が持っている銘柄の 価格から計算されたものです。だいたい近い水準になりますが、 一致はしません。銘柄によっても違います。

差が出る理由はいくつかあります。扱っている銘柄の残り期間が きれいに2年・5年・10年とは限らないこと、売買のコストが価格に含まれること、 在庫の量によって条件が変わること。どれも会社ごとの事情です。

そのためToMiでは、証券会社に表示された利回りを入れて 計算し直せるようにしてあります。実際に買う段になったら、 そちらの数字で確かめてください。

それでも参考利回りを置いているのは、おおよその水準を知らないまま証券会社の画面を開くと、 そこに出ている数字が高いのか低いのか判断できないためです。 目安として持っておいて、実際の条件で置き換える。この順番で使ってください。

実際の条件で計算する

価格と利回りの関係が分かっても、円でいくらになるかは別の話です。 そこにはさらに為替が乗ります。

しかも為替は、価格の上下より大きく動くことがあります。 単価が1〜2動くことを気にしていても、 ドル円が1割動けばそちらのほうがはるかに効きます。

ToMiでは実際の購入利回りを入れて、円預金と円換算で比べることができます。 利回りを変えると、円預金と並ぶドル円も一緒に動きます。

登録は要りません。入力したデータはブラウザの中だけに残ります。 いまの参考利回りは米国債の参考利回りで、途中で売る場合の話は途中で売るとどうなる?で扱っています。

よくある質問

表面利率と利回りは何が違いますか?
表面利率は額面に対して毎年支払われる割合で、買ったあと変わりません。利回りは、いまの価格で買って満期まで持った場合の年あたりの収益率です。額面より安く買えば利回りは表面利率より高くなります。
金利が上がると、なぜ価格が下がるのですか?
新しく出る債券のほうが高い利息を払うためです。古い債券を同じ価格で買う人はいないので、利息の差が埋まるところまで価格が下がります。残りの期間が長いほど、下がり方は大きくなります。
ToMiに出ている利回りで買えますか?
買えるとは限りません。米財務省が市場の気配値から算出した期間ごとの参考値で、実在する1本の約定利回りではありません。証券会社の画面に出ている利回りは、扱う銘柄と価格によってこれより高くも低くもなります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては国税庁の利子所得のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。