米国債で手にするお金には、2つの入口があります。 半年ごとの利息と、償還や売却で出た差です。この2つは税の扱いが分かれます。
分かれるといっても、税率が違うわけではありません。 違うのは所得の区分と、他の損益と通算できるかどうかです。 そこが分かると、確定申告をするかどうかの判断もつきやすくなります。
外国国債は特定公社債にあたる
税の話をする前に、その商品が制度の上でどこに置かれているかを確かめます。 ここが決まらないと、税率も手続きも決まりません。
債券は種類が多く、発行した相手や上場しているかどうかで 扱いが分かれます。米国債は分かりやすいほうで、 国税庁の説明にそのまま名前が出てきます。
社債や新興国の債券になると、ここがもう少し複雑になります。 米国債の税を調べた知識を、そのまま他の債券へ持っていかないでください。
国税庁は特定公社債等の範囲に国債、地方債、外国国債などを挙げています。 米国債はこの外国国債にあたります。
譲渡や償還の側でも、上場株式等の範囲に 「外国またはその地方公共団体が発行し、または保証する債券」が入っています。 つまり、利息も譲渡も、日本の国債と同じ枠組みで扱われます。
この枠に入っていることには意味があります。 特定公社債の外に置かれている公社債もあり、 そちらは総合課税になる場合があります。同じ「債券」でも、どこに置かれているかで税率が変わります。
半年ごとの利息
受け取った利息は利子所得になります。
支払いを受けるときに、所得税・復興特別所得税として15.315%、 これとは別に地方税5%が源泉徴収されます。合わせて20.315%です。
そのうえで、同じ税率の申告分離課税の対象になりますが、 確定申告をしないことも選べます。 源泉徴収だけで終わらせるか、申告して他の損益と通算するかを選ぶ形です。
申告したほうがよいのは、たとえば上場株式等の枠で損が出ている年です。 利子と通算できれば、源泉徴収された分が戻ることがあります。 損が出ていない年に申告しても、手間が増えるだけで結果は変わりません。
もう1つ、利息は受け取るたびに課税されます。 満期にまとめてではありません。半年ごとに、 そのつど引かれた残りが手元に入る形になります。再投資に回せるのは、引かれたあとの額です。
満期に償還されたとき
満期に額面が戻ったとき、買った価格との差が出ることがあります。 額面より安く買っていれば、その差はもうけです。
この差は利息ではありません。 上場株式等に係る譲渡所得等として、申告分離課税になります。
| 受け取るもの | 所得の区分 | 課税のしかた |
|---|---|---|
| 半年ごとの利息 | 利子所得 | 源泉徴収 + 申告分離(申告しない選択も可) |
| 償還で出た差 | 譲渡所得等 | 申告分離 |
| 売却で出た差 | 譲渡所得等 | 申告分離 |
逆に額面より高く買っていれば、差はマイナスになります。 その場合も譲渡所得等の枠の中で扱われます。
ここは見落としやすいところです。 「満期まで持てば税金は利息にしかかからない」と思っていると、 額面より安く買っていた場合に、償還の年でもう一度税が出てきます。買った価格が額面と違うなら、満期にも計算が1つ残ります。
途中で売ったとき
満期を待たずに売った場合も、償還と同じ枠です。 売った価格と買った価格の差が、譲渡所得等になります。
上場株式等の枠なので、同じ枠の損益と通算できます。株式や投資信託で損が出ている年に、債券で利益が出ていれば、 相殺できる可能性があります。
同じ証券会社の特定口座で持っていれば、その中で自動的に通算されます。 複数の会社に分かれている場合は、申告して初めて通算できます。
ただし、通算できる相手は決まっています。 上場株式等の損失を一般株式等の利益から引くことはできません。 自分の持っているものがどちらの枠かを、先に確かめてください。
損が出た年に使える仕組みもあります。 上場株式等の枠で出た損は、申告することで翌年以降へ繰り越せる場合があります。 売って損が出たときこそ、申告を検討する場面になります。
円で計算するので、為替も関わる
税額は円で計算します。ドル建ての商品でも、 買ったときと売った(償還された)ときを円に直して差を出します。
そのため、ドル建てでは同じ額でも、円に直すと差が出ます。 ドルで見て損益ゼロでも、円安になっていれば円ではもうけが出ている、 という状態が起こります。
逆に、円高になっていればドルでもうけが出ていても、 円では損になっていることがあります。 税の計算も、生活で使う金額と同じく円のほうで行われるということです。
この性質のせいで、円安が進んだ年は税額も増えます。 円換算で増えているのだから当然ではあるのですが、 ドル建ての数字だけを見て予定を立てていると、 手取りが思ったより少なくなることがあります。
口座の区分で手続きが変わる
どの口座で持っているかによって、手続きの手間が変わります。
特定口座(源泉徴収あり)
証券会社が計算して納めるところまでやってくれます。 申告しないという選択が取りやすい形です。
手間は少ないぶん、他の会社の損と通算したい場合は 結局そのぶんを申告することになります。
特定口座(源泉徴収なし)・一般口座
自分で計算して申告することになります。 外貨建ての商品は円換算の手間が加わるぶん、負担が大きくなります。
米国債を扱える口座の種類は、証券会社によって違います。買う前に、どの口座で持つことになるかを確かめておくと、 あとで手続きの重さに驚かずに済みます。
もう1つ、外国債券を扱っていない証券会社もあります。 口座を持っているところで買えるとは限らないので、 比較を始める前に取扱いの有無を見ておくと、順番として無駄がありません。
アメリカ側の源泉税
外国の債券なので、アメリカ側でも税が引かれるのかという疑問が出ます。
ここは一律には決まりません。 非居住者に対する扱いと、証券会社がどう処理するかによります。 「米国債だから0%」と決めつけられるものではありません。
ToMiでも、米国側の源泉税を0%と固定していません。 実際にどう処理されるかは、取引する証券会社に確かめてください。
もし両方の国で課税された場合に備えて、 二重課税を調整する仕組み(外国税額控除)も用意されています。 ただしこれを使うには確定申告が要ります。使えるかどうかも、実際に引かれているかどうかで決まります。
ToMiの税額は概算
ここまで見たとおり、実際の税額は口座の区分、他の損益、 為替の動きによって変わります。
ToMiが出しているのは、利子に課税した場合の概算までです。 確定申告が必要かどうかの判定もしていません。 税務の判断は、年間取引報告書を持って税務署か税理士に確かめてください。
それでも概算を出しているのは、 税を無視した数字だけで比べると、円預金との差が実際より大きく見えるためです。正確でなくても、引かれることを織り込んだほうが判断に近づきます。
ToMiでは円預金と円換算で比べることができます。 登録は要りません。入力したデータはブラウザの中だけに残ります。 為替そのものの効き方は米国債の為替リスクで扱っています。
