住宅ローン

期間短縮型と返済額軽減型の違い

同じ金額を繰上げ返済しても、返し方によって効果が変わります。利息の削減額が大きいのは期間短縮型ですが、毎月の家計に効くのは返済額軽減型です。

読了めやす6更新

この記事の要点

  • 期間短縮型は毎月の返済額を変えずに完済を早めます。返済額軽減型は完済時期を変えずに毎月を軽くします。
  • 利息の削減額は期間短縮型のほうが大きくなります。利息がかかる期間そのものが短くなるためです。
  • 残高2,500万円・年1.0%・残り25年で100万円返した場合、期間短縮型は約27.7万円、返済額軽減型は約13.1万円の削減です。
  • 住宅ローン控除を利用中なら、期間短縮型は償還期間の要件に触れる可能性があります。
  • 毎月の返済が厳しい、将来収入が下がる見込みがある場合は、削減額が小さくても返済額軽減型が役に立ちます。

2つの繰上げ返済方法

一部繰上げ返済をするとき、返した後に何を変えるかを選びます。 住宅金融支援機構でも、返済期間を短縮する方法と、 借入期間を維持して毎月の返済額を減らす方法の2つが示されています。

  • 期間短縮型:毎月の返済額はそのままで、完済までの回数を減らす
  • 返済額軽減型:完済時期はそのままで、毎月の返済額を下げる

どちらを選んでも、繰上げ返済した月に残高が同じだけ減ることは変わりません。 違いはその後です。返済額を維持すれば元金が速く減って早く終わり、 期間を維持すれば毎月の負担が軽くなります。

期間短縮型は完済が早まり、返済額軽減型は毎月の返済が下がる残高時間繰上げ返済早い完済元の完済そのまま期間短縮型返済額軽減型
どちらも繰上げ返済した月に残高が同じだけ下がります。違うのはその後で、期間短縮型は返済額を維持して早く終わらせ、返済額軽減型は期間を維持して毎月を軽くします。利息がかかる期間が短いぶん、削減額は期間短縮型のほうが大きくなります。

なお、どちらを選んでも繰上げ返済した金額そのものは同じだけ手元から出ていきます。 「軽減型のほうが負担が軽い」という表現を見かけますが、 軽くなるのは毎月の返済額であって、今回出ていく金額ではありません。 ここを取り違えると、手元に残る現金の見積もりを誤ります。

図の青い線が期間短縮型、緑の線が返済額軽減型です。 繰上げ返済した時点では同じところまで下がりますが、 その後の傾きが違うため、完済のタイミングが変わります。

期間短縮型

毎月の返済額を変えずに、返済回数を減らす方法です。 繰上げ返済した金額の分だけ、返済予定表の後ろの方の回が消えるイメージになります。

毎月の返済額が変わらないため、家計の負担は今のままです。 そのかわり、利息がかかる期間そのものが短くなるので、削減できる利息は大きくなります。

繰上げ返済した元本には、その後の利息がかからなくなる返済しなかった場合元本100万円この元本にかかる利息が、完済まで発生し続ける100万円を繰上げ返済すると繰上げ返済した場合この元本の利息は、以後かからない返した100万円は費用ではなく借金の返済。減った利息だけが効果になる
毎月の返済で減るのは元金のごく一部です。繰上げ返済はその元金だけをまとめて減らすため、消えた元本にかかるはずだった利息が、完済までの全期間ぶん発生しなくなります。

残高2,500万円・年1.0%・残り25年の状態で100万円を繰上げ返済すると、 利息の削減額は約27.7万円、完済は約1年1か月早まります。 毎月の返済額は94,219円のまま変わりません。

返済予定表でいうと、後ろの回がまとめて消える形になります。 25年ローンの残り25年の時点で100万円を返せば、 298回目以降の13回分が消え、297回目で完済します。 消えた13回分に含まれていたはずの利息が、そのまま削減額になります。

この方式が向いているのは、いまの毎月の返済に無理がない場合です。 家計を変えずに完済だけを前倒しできるので、 定年までに返し終えたい、教育費が本格化する前に軽くしておきたい、 といった目的があるときに素直に効きます。

住宅ローン控除を利用中の場合、期間短縮型には注意が必要です。 繰上げ返済によって償還期間が10年未満になると、その年以後は控除を受けられません。住宅ローン控除中の繰上げ返済で詳しく整理しています。

返済額軽減型

完済時期を変えずに、毎月の返済額を計算し直す方法です。 減った残高を、残っている回数で割り直すことになります。

同じ条件で100万円を繰上げ返済すると、 毎月の返済額は94,219円から90,450円へ、約3,769円下がります。 完済時期は変わりません。利息の削減額は約13.1万円です。

利息の削減額は期間短縮型の半分以下になりますが、 毎月の支出が確実に減るという別の効果があります。 収入が減る見込みがある、教育費で家計が厳しくなる、といった事情があるなら、 この効果のほうが役に立つことがあります。

もうひとつ、返済額軽減型には見落とされやすい効果があります。 毎月の返済額が下がると、その差額を手元に積み直せるということです。 月3,769円なら年間で約4.5万円。これを使ってしまえば何も残りませんが、 貯めておけば、次の繰上げ返済の原資にも、急な出費への備えにもなります。

逆に言えば、下がった分をそのまま生活費に吸収してしまうと、 利息の削減額が小さいぶん、期間短縮型より不利なだけの選択になります。軽くなった分をどうするかまで決めて選ぶと、この方式は生きてきます。

マネック案内役):どっちが「得か」だけで見ると期間短縮型なんだけど、毎月が苦しいときに効くのは軽減型だよ。 数字の大小だけじゃなくて、いま何に困っているかで選んでね。

利息削減額の比較

残高2,500万円・年1.0%・残り25年で、100万円を繰上げ返済した場合の比較です。

そのまま期間短縮型返済額軽減型
将来払う利息326.5万円298.8万円313.5万円
利息の削減額27.7万円13.1万円
毎月の返済額94,219円94,219円90,450円
完済までの期間25年23年11か月25年
期間短縮型のほうが利息は多く減ります。理由は「利息がかかる期間」が短くなるからです。 返済額軽減型は期間が変わらないため、その分の効果がありません。

この差は、繰上げ返済する時期が早いほど、また金額が大きいほど開きます。 逆に完済間近であれば、そもそも残っている利息が少ないので、どちらでも差はわずかです。

毎月の家計への影響

期間短縮型は、毎月の返済額が変わりません。 今の家計がそのまま続く前提なので、返済に無理がない状態なら問題は起きにくいです。 ただし手元の資金は減っているので、急な出費への備えは弱くなります。

返済額軽減型は、毎月の支出が下がります。 月に3,769円なら年間で約4.5万円です。金額としては大きくありませんが、 収入が下がったときや支出が増えたときに、返済が家計を圧迫しにくくなります。

どちらでも変わらないこと

繰上げ返済した金額そのものは、どちらを選んでも同じだけ手元から出ていきます。 そして返したお金は、どちらの方式でも引き出せません。 「軽減型なら手元に残る」ということはないので、手元資金の判断は方式とは別に考えてください。

選ぶときの判断軸

迷ったときは、次の順に考えると整理しやすくなります。

  • 住宅ローン控除を利用中か。利用中なら、期間短縮型は償還期間の要件に触れる可能性がある
  • いまの毎月の返済は無理なく続けられているか。厳しいなら返済額軽減型
  • 将来、収入が下がる予定があるか。定年後も返済が続くなら返済額軽減型が効く
  • いずれも当てはまらないなら、利息の削減額が大きい期間短縮型

迷ったときにもうひとつ効く見方があります。返済が定年後まで続くかどうかです。 年金収入だけになってから毎月の返済が残っていると、家計の余裕は大きく変わります。 この場合、期間短縮型で返済そのものを定年前に終わらせるか、 返済額軽減型で毎月を軽くしておくか、どちらも意味を持ちます。 完済予定年月を確認して、そこから逆算して選んでください。

自分の条件で両方を並べたい場合は、住宅ローン、繰上げ返済したらいくら利息が減る?で比較表として出せます。削減額・毎月の返済額・完済予定が、 そのまま同じ表に並びます。

なお、繰上げ返済は1回で決める必要はありません。 今回は返済額軽減型で毎月を軽くしておき、家計に余裕が出てから期間短縮型で返す、 という進め方もできます。金融機関によっては、回ごとに方式を選べるようになっています。

マネック案内役):両方を同じ条件で計算して並べると、差が金額で見えるよ。 「なんとなく期間短縮型」で決める前に、一度自分の数字で比べてみて。

迷ったときの決め方

両方の数字を並べても決めきれない場合は、いま困っていることがどちらかで選んでください。 毎月の返済で家計が窮屈なら返済額軽減型、 完済が定年より後ろにずれているのが気になるなら期間短縮型です。

どちらも当てはまらないなら、削減額の大きい期間短縮型で構いません。 住宅ローン控除を利用していない場合、期間短縮型を選ばない積極的な理由は あまり多くありません。

なお、繰上げ返済の申込みでこの選択を求められるのは実行のときです。あとから方式だけを変えることはできませんので、 申込み前に決めておいてください。

最後にもうひとつ。どちらの方式でも、繰上げ返済したあとは 新しい返済予定表が発行されます。 期間短縮型なら最終返済年月が、返済額軽減型なら毎月の返済額が、 想定どおりに変わっているかを確認してください。選んだつもりの方式と違う結果になっていないかは、 この予定表でしか分かりません。

特に住宅ローン控除を利用中の場合、 新しい最終返済年月は控除の要件を判定する材料になります。 手元に保管しておいてください。

方式の名前は金融機関によって表記が異なることがあります。 「返済期間短縮型」「返済額軽減型」「期間短縮」「毎月返済額軽減」など、 呼び方は違っても中身は同じです。何が変わるかで見分けてください。

よくある質問

期間短縮型と返済額軽減型、どちらが得ですか?
利息の削減額だけで比べれば期間短縮型です。利息がかかる期間が短くなるためで、同じ条件なら削減額は2倍以上になることもあります。ただし毎月の返済額は変わりません。
返済額軽減型を選ぶのはどんなときですか?
毎月の返済が厳しい、将来収入が下がる予定がある、定年後も返済が続く、といった場合です。また住宅ローン控除を利用中は、償還期間が変わらないという利点もあります。
あとから方式を変えられますか?
繰上げ返済は何度でもできるため、回ごとに方式を選べる金融機関が多くあります。今回は返済額軽減型、次回は期間短縮型という選び方もできます。
返済額軽減型なら、手元にお金が残りますか?
残りません。繰上げ返済する金額はどちらの方式でも同じだけ手元から出ていきます。手元資金の判断は、方式の選択とは別に考えてください。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては国税庁の住宅ローン控除のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。