実質年率とは
借入にかかる費用を、1年あたりの割合に直したものです。 利息だけでなく、契約に伴う手数料などを含めて表示されます。 「年率15.0%」と書かれていても、それは1年間借り続けた場合の割合であって、 借りた瞬間に15%を取られるという意味ではありません。
「実質」と付いているのは、利息のほかに契約に伴う費用も含めて表示する決まりだからです。 事務手数料などが別にかかる契約では、それらを含めた負担が年率として示されます。 広告や契約書で並んでいる数字を比べるときは、同じ実質年率どうしで比べるようにしてください。
広告でよく見る「年率3.0%〜18.0%」という表記は、 契約者ごとに適用される年率に幅があることを示しています。 この幅の下限が自分に適用されるとは限りません。 実際に何%になるかは審査を経て決まるため、契約書に書かれた数字だけが自分の年率です。
また、借入残高が増えると年率が下がる仕組みを持つ契約もあります。 この場合、借入額が変わったタイミングで年率も変わるため、 試算するときは現時点の年率を使ってください。
借入の条件を見比べるとき、いちばん目に付くのがこの数字です。 ただし、年率そのものは割合でしかなく、実際に払う金額は残高と期間で決まります。 同じ年率でも、残高が半分なら払う利息も半分です。
この関係が分かっていないと、「年率が高いから損」「低いから得」という 大まかな印象だけで判断することになります。 自分がいくら払っているのかを金額で把握するには、 年率のほかに残高と日数を見る必要があります。
この記事では、実質年率が何を表しているのか、 利息がどう計算されるのか、そして自分の年率をどこで確認すればよいのかを整理します。
金利と利息の違い
| 金利(年率) | 利息 | |
|---|---|---|
| 何を表すか | 割合 | 実際に払う金額 |
| 単位 | % | 円 |
| 変わる要因 | 契約で決まる | 残高と借りている日数で変わる |
同じ年率でも、残高が大きいほど、借りている期間が長いほど、 支払う利息の金額は大きくなります。
利息計算の基本
たとえば残高50万円・年率15.0%を30日間借りた場合、 50万円 × 15% × 30 ÷ 365 で、およそ6,164円です。 これが1か月分の利息にあたります。
式を見ると、利息を小さくする方法が3つしかないことが分かります。 残高を減らすか、年率の低い契約に変えるか、借りている日数を短くするかです。 このうち、いま手元でできるのは残高を減らすことと、日数を短くすることで、 追加返済はその両方を同時に満たします。
残高が減ると利息が減る理由
式のとおり、利息は残高に比例します。返済して残高が減れば、次の期間にかかる利息はその分だけ小さくなります。
借入は、放っておくと自動的に増える性質を持っています。 預金の利息が付くのと同じ仕組みが、支払う側に働いているだけです。 ただし借入の年率は、預金の金利より一桁も二桁も大きいことが普通です。同じ「年率」という言葉でも、桁が違うことは意識しておいた方がよい点です。
自分の年率をどこで確認する?
- 契約時の書面(契約書・重要事項説明)
- 会員サイトやアプリの契約内容ページ
- 毎月の利用明細・返済予定表
書面が見当たらない場合でも、会員サイトの契約内容ページや、 毎月の明細に記載されていることがほとんどです。 問い合わせ窓口で確認することもできます。推測した数字で試算しても意味がないので、ここは手間をかけて確かめる価値があります。
複数のカードや契約を持っている場合、年率は契約ごとに違います。 同じ会社のカードでも、作った時期やカードの種類によって条件が変わることがあるため、 1件ずつ確認してください。
契約が複数ある場合は、それぞれの年率を並べて書き出してみてください。 残高が同じでも年率が違えば、支払う利息は年率の比に応じて変わります。 どれから手を付けるかを考えるとき、この一覧が出発点になります。
法律上の上限は借入額の区分ごとに定められています。区分と数値は 借入金利の上限ルールにまとめています。
年率の違いが、金額にするといくらになるか
年率は割合なので、%のままだと差が実感しにくい数字です。 同じ50万円を1年間借りた場合で並べると、次のようになります。
| 実質年率 | 1年分の利息(概算) | 月あたり |
|---|---|---|
| 3.0% | 約15,000円 | 約1,250円 |
| 10.0% | 約50,000円 | 約4,167円 |
| 15.0% | 約75,000円 | 約6,250円 |
| 18.0% | 約90,000円 | 約7,500円 |
残高50万円が1年間変わらなかった場合の概算。実際は返済で残高が減るため、これより小さくなります。
年率が3%と18%では、同じ残高でも1年で6倍の差になります。%の差は小さく見えても、金額にすると大きいのがこの数字の性質です。 複数の借入があるなら、まず年率を並べて書き出してみてください。
預金の金利と比べてみる
普通預金の金利は年0.2%前後です。借入の年率15%とは、桁が2つ違います。 「同じ年率という言葉でも、支払う側と受け取る側では規模が違う」ということが、 この比較でわかります。
なぜ借入の年率は高いのか
担保がなく、審査も簡易で、必要なときにすぐ借りられる。 この利便性の対価として金利が設定されている、と考えると理解しやすくなります。 住宅ローンのように担保がある借入は、年率が1桁台になるのが普通です。年率の高さは、その借入の性質を表しています。
自分の年率を入れて、追加返済でいくら減るかを見るなら 繰り上げ返済の診断 が使えます。
シミュレーターの数字が実額とずれる理由
試算と請求額が一致しないことはよくあります。主な理由は次のとおりです。
- 多くの試算は月単位、実際の計算は日割りであること
- 締日と返済日の関係で、対象になる日数が月ごとに違うこと
- 端数の処理方法が契約先によって異なること
- 返済方式(元利定額・元金定額・残高スライド)の違い
差が出やすいのは、返済日が月末や月初にあたる月、うるう年をまたぐ期間、 そして完済月です。完済月は日割りの期間が1か月に満たないため、 月単位の試算より小さくなるのが普通です。
金額の大小や、返し方を変えた場合の差を見るには十分ですが、 請求額そのものとしては扱わないでください。試算は 繰り上げ返済の診断からできます。
年率を見て、次に何をするか
年率が分かったら、次は金額に直してみることです。 「年率15%」と言われてもピンと来なくても、 「このままだと1年で7万5千円払う」と分かれば、判断の材料になります。
そのうえで、返せる資金があるなら追加返済を検討する、 毎月の返済額を上げられるなら期間を縮める、という順に考えていきます。どちらも年率そのものは変えられませんが、残高と期間は変えられます。
手元の資金を減らしすぎないことだけは、最後まで気をつけてください。 返した直後に急な出費があって借り直すことになれば、 払った利息はそのままで、また新しく利息がかかり始めます。
年率は、契約書に書かれている数字をそのまま使ってください。 広告の下限でも、一般に言われている水準でもありません。 この数字が正確でなければ、そのあとの計算はすべてずれます。 面倒でも、まず自分の年率を確かめるところから始めるのが近道です。
年率・残高・毎月の返済額。この3つが手元にあれば、 いま払っている利息も、追加返済で減らせる金額も計算できます。 明細を開くところから始めてみてください。
割合のままでは判断しにくい数字も、金額に直せば比べられるようになります。 年率を金額に変換して初めて、返すかどうかの検討が始まります。 この記事の内容は、その入口までを整理したものです。
なお、実質年率は借入だけの言葉ではありません。 クレジットカードのリボ払いでは「手数料率」と表記されることが多く、 制度上の位置づけも異なります。数字の見た目が似ていても、同じ基準では比べられません。
