いま貯金がいくらあるかは分かっても、 それで足りるのかは分かりません。 足りるかどうかは、これから何が起こるかによって決まるからです。 ライフプラン表は、そのこれからを年ごとに並べた表です。
ライフプラン表とは何か
これからの収入と支出を年ごとに並べて、 その年の終わりに手元にいくら残るかを追った表です。 キャッシュフロー表とも呼ばれますが、 ライフプラン表は家族の年齢やライフイベントも一緒に並べる点が違います。
目的は、将来を当てることではありません。どの年に何が起こって、そのときに足りるのかを見ることです。 当てにいくと精度の話になりますが、 見通すために作るなら、前提を変えて何度も引き直すほうが役に立ちます。
もう1つの目的は、家族で同じものを見ることです。 頭の中にある見通しは人によって違うので、話が合いません。 1枚の表にしておくと、どこが不安なのかを同じ場所を指しながら話せます。
書くのは4つ
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 収入 | 手取りの額。本人と配偶者。退職後は年金 |
| 支出 | 住居費・生活費・税金社会保険 |
| 家族の年齢 | 生年月日。退職する年齢、年金を受け取り始める年齢 |
| ライフイベント | 住宅の購入、車の買い替え、進学の費用 |
収入に書くのは手取りです。額面ではありません。 額面から社会保険料と税金を引いた、実際に振り込まれる額を入れてください。 ここを額面で書くと、使えるお金を2割ほど多く見積もることになります。
退職後の収入は、年金になります。見込み額は「ねんきん定期便」や ねんきんネットで確認できます。ここを推測で置くと、 いちばん長い期間の前提が当てずっぽうになるので、一度は実際の数字を見てください。
家族の年齢を書くのは、横軸を「何年後」ではなく 「自分が何歳のとき」にするためです。 10年後と言われてもぴんと来ませんが、 55歳のときと言われれば、そのころ何をしているかは想像できます。
子どもの年齢も同じです。学費がかかるのは何年後か、ではなく、 その子が何歳のときか。入学と卒業の年齢は決まっているので、 生年月日さえ入れておけば、学費のかかる年は自動的に決まります。 何年後かで書くと、進路が変わったときに全部数え直すことになります。
退職する年齢と、年金を受け取り始める年齢は、分けて書いてください。 この2つが同じとは限りません。60歳で退職して65歳から年金を受け取るなら、 その5年間は収入が無いまま支出だけが続きます。この期間があるかどうかで、必要な額は大きく変わります。
出来事を置くと、線が曲がる場所が分かる
収入と支出だけを並べると、線はなだらかに動きます。 そこにライフイベントを置くと、線が急に曲がる場所が出てきます。その曲がりに名前が付いていることが、この表の値打ちです。
住宅を買った年に大きく下がる。子どもが大学に入る年から4年間下がり続ける。 退職した年に退職金で戻り、そこから年金が始まるまで下がる。 どれも「なんとなく不安」ではなく、名前の付いた出来事です。 名前が付けば、そこに手を打てます。
出来事は、金額が確かでなくても置いてください。 「10年後に車を買い替える。たぶん200万円」で十分です。 置いておけば、その年に足りるかどうかは見えます。 置かないと、その年は無かったことになります。 金額の確かさより、出来事が並んでいることのほうが効きます。
純資産ではなく「使えるお金」で見る
持っているもの全部を足した額(純資産)で線を引くと、 自宅を持っている人の見通しがずれます。
自宅は、住んでいるかぎり売れません。 純資産としては大きな額を占めますが、生活費には1円も回せません。 保険も、解約すれば返戻金は入りますが、そのあとの保障が無くなります。
だから線は2本引きます。純資産と、そこから不動産・現物資産・保険を除いた使えるお金。1本だけ見ていると、 純資産は増えているのに生活費が払えない、という状態に気づけません。 詳しくは純資産と「使えるお金」は違うで扱っています。
1円まで合わせなくてよい
はじめて作る人がいちばんつまずくのが、 支出を正確に出そうとして止まってしまうことです。
そもそも合わせられません。10年先の食費が月いくらかは、誰にも分かりません。合わせられないものを合わせようとすると、作ること自体をやめてしまいます。「生活費はだいたい月25万円」で始めてください。
もう1つ、支出を項目ごとに分けるかどうかも迷うところです。 分けるほど、あとで「どこを削れるか」が見えるようになります。 ただし最初から11項目に分けようとすると、そこで止まります。 合計だけで一度作って、線を見てから細かくするほうが早く進みます。
前提は、変えて確かめるためにある
物価の上がり方、昇給の見込み、運用の利回り。 この3つは前提として置きますが、当てにいく必要はありません。
置いた前提が正しいかどうかより、その前提が外れたときに成り立つかのほうが大事です。 物価が想定より上がったら。昇給が止まったら。運用が思ったほど伸びなかったら。 前提を悪いほうに振って、それでも尽きないかを見てください。
前提を振るとき、いちばん効くのは物価です。 運用の利回りは投資に回している分にしかかかりませんが、 物価は支出の全部にかかります。しかも毎年積み上がるので、 遠い年ほど差が開きます。詳しくは物価が上がると、見通しはどう変わるで扱っています。
年に一度、引き直す
作った時点の前提は、時間とともに現実からずれます。 転職して収入が変わった、子どもの進路が変わった、住宅を買った。 そのたびに前提は変わります。
ずれに気づくのが早いほど、直すのに要る額は小さくて済みます。5年経ってから気づくと、取り戻すのに5年分の無理が要ります。 年に一度、確定申告や年末調整の時期に見直す、と決めておくと続きます。
専門家に作ってもらうのとの違い
ファイナンシャルプランナーに依頼して作る表と、中身の考え方はほぼ同じです。 違うのは作り直せるかどうかです。 依頼して作った表はその時点で止まるので、 多くの場合は最初の1枚を何年も見ることになります。
逆に、相続や事業承継のように個別の事情が大きく効く話は、 専門家に相談してください。その相談に持っていく1枚として、 自分で作った表を渡せます。何も無い状態から話すより、 前提の置き方について具体的な話ができます。
資産とつないで作る
表計算ソフトでも作れますが、資産と切り離して作ると、 資産のほうを直したときに表が古くなります。 ローンを繰上げ返済したのに、表には元の返済額が残っている、という状態です。
ToMiでは資産と家計から見通しを1枚にまとめることができます。 ローンの返済と資産から入るインカムは登録した資産から自動で作るので、 家計に手で入れ直す必要がありません。
登録は要りません。入力したデータはブラウザの中だけに残ります。 数字を直すのは家計の収支の画面で、ライフプランは見せる・渡すための場所になっています。
作った表は、スプレッドシートやPDFで書き出せます。 家族に見せるとき、金融機関に相談するとき、画面を見せるより渡すほうが早い場面があります。説明する相手が増えるほど、1枚にまとまっていることの意味が大きくなります。
