ふるさと納税

ワンストップ特例と確定申告の違い

ふるさと納税の控除を受ける方法は2つあります。控除の考え方は同じでも、いつ・どこから引かれるかが違い、使える条件も違います。どちらになるのかを先に決めておくと迷いません。

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この記事の要点

  • 確定申告では、所得税がその年の分から還付され、住民税は翌年度に減ります。
  • ワンストップ特例では所得税から控除されず、その分も含めた全額が翌年度の住民税から控除されます。
  • ワンストップ特例を使えるのは、確定申告が不要な給与所得者などで、寄附先が5団体以内の場合です。
  • 同じ自治体に複数回寄附しても、団体数としては1つと数えます。ただし申請書は寄附ごとに要ります。
  • 確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例は無効になります。ふるさと納税分も申告に含める必要があります。
  • 医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、確定申告をする予定があるならワンストップは選べません。

どこから引かれるかが違う

ふるさと納税の控除を受ける方法は2つあります。確定申告と、ワンストップ特例です。控除の考え方は同じでも、いつ・どこから引かれるかが違います

ワンストップと確定申告で、引かれる先が変わる確定申告所得税から還付翌年度の住民税から控除寄附先の数に決まりはありませんワンストップ特例全額まとめて、翌年度の住民税から控除確定申告が不要な給与所得者などで、寄附先が5団体以内のとき
ワンストップ特例では所得税から控除されず、その分も含めて翌年度の住民税から控除されます。確定申告ではその年の所得税から還付され、住民税は翌年度に減ります。控除の考え方は同じでも、いつ・どこから引かれるかが違います。

確定申告をすると、所得税の分はその年の所得税から控除されて還付され、 住民税の分は翌年度の住民税が減る形になります。 お金が戻ってくるタイミングが2回に分かれる、と考えると分かりやすいと思います。

ワンストップ特例では所得税からの控除は行われません。 総務省の説明では「その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます」とされています。 つまり還付という形ではお金が戻らず、翌年度の住民税が減る形だけになります

どちらを選んでも、控除の考え方そのものは変わりません。引かれる先と時期が違うだけです。どちらかが得になる仕組みにはなっていません。

ここを知らないと、ワンストップ特例を使ったあとに 「還付金が振り込まれないから失敗したのでは」と心配することになります。 ワンストップでは還付そのものが起きないので、確かめる先は翌年度の住民税の通知書です。

ワンストップ特例を使える条件

ワンストップ特例は誰でも使えるわけではありません。総務省の説明では確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限られます。

条件ワンストップ
給与所得者で、年末調整だけで完結する使える
寄附先が5団体以内使える
寄附先が6団体以上使えない
医療費控除を受けるため確定申告する使えない
住宅ローン控除の初年度使えない
副業や不動産の所得があり確定申告する使えない
自営業・フリーランス使えない

ワンストップ特例を使える場合・使えない場合

もう1つ、手続き上の条件があります。ワンストップ特例は寄附するたびに、その自治体へ申請書を出す必要があります。 同じ自治体に3回寄附したなら、申請書も3回です。1回出せば済むものではありません。

申請書の提出には期限があり、寄附した翌年の1月10日必着とされています。 年末に駆け込みで寄附すると、書類の往復が間に合わないことがあります。 12月に寄附する場合は、この期限を頭に入れておいてください。

マネック案内役):年末の寄附でいちばん多い失敗が、これだと思う。寄附は12月31日まで間に合っても、ワンストップの申請書は1月10日必着。 郵送だと年末年始をまたぐから、思ったより余裕がないんだよね。

5団体は「回数」ではなく「自治体の数」

「5団体以内」という条件は、寄附した回数ではなく自治体の数で数えます。 同じ自治体に何回寄附しても、団体数としては1つです。

たとえば北海道の同じ町に5回寄附した場合、寄附は5回ですが1団体なので、 ワンストップ特例は使えます。逆に5つの違う自治体に1回ずつ寄附した場合は5団体で、 ここに6つ目を足すと使えなくなります。

2,000円は、寄附1件ごとにはかからない3つの自治体に寄附した場合A町 30,000円B市 25,000円C村 25,000円合計 80,000円ここから 2,000円 を1回だけ引く2,000円 × 3件 = 6,000円 にはなりません
自己負担2,000円は、その年の寄附の合計に対して1回だけです。3つの自治体に寄附しても6,000円にはなりません。控除の計算はどれも「その年の寄附の合計 − 2,000円」から始まります。

複数のポータルサイトを使っていると、自治体の数を見失いやすくなります。 同じ自治体でも、サイトが違えば別の履歴として管理されるためです。 年内に何団体へ寄附したかは、自分で数えておく必要があります。

5団体を超えたことに年末に気づいた場合、あとから減らすことはできません。 確定申告に切り替えることになります。慌てる必要はありませんが、申告することを忘れないでください。忘れると控除がまったく受けられません。

確定申告をすると、ワンストップは無効になる

これがいちばん損につながりやすいところです。ワンストップ特例の申請書を出していても、確定申告をすると特例は無効になります

しかも自動的に引き継がれるわけではありません。確定申告をするなら、 ふるさと納税の寄附分も自分で申告に含める必要があります。 含め忘れると、ワンストップも無効・申告もなしという状態になり、ふるさと納税の控除が1円も受けられなくなります

上限を少し超えたときの追加負担が数千円なのに対して、 この申告忘れは寄附額のほぼ全額が自己負担になる失敗です。 影響の大きさが桁で違うので、確定申告をする年は必ず確認してください。

起きやすいのは、ワンストップのつもりで寄附したあとに、 年をまたいでから確定申告をすることになったケースです。 医療費が思ったよりかかった、副業の所得が申告の必要な額になった、 株式の譲渡損失を繰り越すことにした。どれも年が明けてから決まることがあります。

対策は単純で、確定申告をすることになったらまずふるさと納税の受領証明書を集めることです。 寄附した自治体すべての証明書が要ります。 ポータルサイトによっては、年間の寄附をまとめた証明書を発行しているところもあります。

どちらになるかは、先に決まっていることが多い

ここまで読むと「どちらを選ぶべきか」と考えたくなりますが、 実際には選べる場面のほうが少なくなっています。 確定申告をする理由はふるさと納税以外にもあり、 そちらが先に決まっているからです。

自分で選べるように思えますが、実際はほかの事情でどちらになるかが決まっていることが多いです。

自営業やフリーランスの人は、そもそも確定申告をするのでワンストップは関係ありません。 給与所得者でも、医療費控除・住宅ローン控除の初年度・副業の所得・ 株式の損益通算などがあれば確定申告になります。

だから「どちらが得か」を考えるより、今年は確定申告をするのかどうかを先に確かめるほうが実際的です。 そこが決まれば、ワンストップの申請書を出すべきかどうかも自動的に決まります。

手続きの手間で比べると、ワンストップのほうが軽く見えます。 ただし寄附するたびに申請書を出す必要があるので、 寄附の件数が多いと確定申告のほうがまとめて済むこともあります。 年に10件寄附して申請書を10通送るより、 受領証明書をまとめて1回申告するほうが楽だという人もいます。

迷う場合は、ワンストップの申請書を出しておくという選び方もあります。 あとで確定申告をすることになったら無効になるだけで、 そのときにふるさと納税分を申告に含めれば問題ありません。 ただし「含めれば」の部分を忘れないことが条件です。

期限が違う

どちらの方法を使うにしても、期限を過ぎると控除は受けられません。寄附の期限と、手続きの期限は別なので、両方を押さえておく必要があります。

自分の条件での上限目安と、上限を超えたときに自己負担がいくら増えるのかは、ふるさと納税、上限はいくら?超えたら自己負担はいくら増える?で計算できます。年収と家族構成から目安を出し、すでに寄附した額を引いて残りを表示します。

最後に期限を整理します。3つの期限があり、それぞれ違う日付です。

何の期限いつ
寄附そのものその年の12月31日まで
ワンストップ特例の申請書寄附した翌年の1月10日必着
確定申告寄附した翌年の3月15日まで

ふるさと納税に関わる3つの期限

寄附の期限は「決済が完了した日」で判定されるのが一般的です。 クレジットカードなら12月31日中の決済、銀行振込なら振込日が基準になります。 年末は自治体やポータルサイトの締切が12月31日より前に設定されることもあるので、実際の締切は寄附先で確かめてください

期限の話でもう1つ。ワンストップ特例の申請書を出したあとに引っ越した場合は、翌年1月10日までに変更届を出す必要があります。 住民税は1月1日時点の住所地で課税されるので、 申請書に書いた住所と実際の住所がずれていると控除が受けられません。 年末に引っ越した人は、寄附した自治体すべてに連絡することになります。

確定申告のほうは、期限を過ぎても5年以内なら還付申告ができます。 寄附した年の翌年から5年間は、あとから申告して控除を受けられる仕組みです。 ワンストップの申請書を出し忘れた場合も、この還付申告で救えることがあります。「申請書を出し忘れた=控除ゼロ」ではありません

上限の目安と、今年すでにいくら寄附したかを管理したい場合はふるさと納税 上限計算ツールが使えます。上限の目安がその場で出るので、 5団体を超えそうかどうかもその場で分かります。 上限そのものの決まり方はふるさと納税の上限とは?にまとめています。

よくある質問

ワンストップ特例と確定申告で、控除される金額は変わりますか?
控除の考え方は同じですが、引かれる先が違います。確定申告では所得税から還付され、残りが翌年度の住民税から引かれます。ワンストップ特例では所得税から控除されず、その分も含めた全額が翌年度の住民税から控除されます。どちらから引かれるかが違うだけで、自己負担が変わる仕組みにはなっていません。
ワンストップ特例を申請したあとに確定申告をしたらどうなりますか?
提出済みのワンストップ特例は無効になります。医療費控除などのために確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附分も申告に含める必要があります。含め忘れると、ふるさと納税の控除がまったく受けられなくなるので注意してください。
寄附先が6団体になったらどうすればよいですか?
ワンストップ特例は使えなくなるので、確定申告でふるさと納税の控除を受けることになります。同じ自治体に複数回寄附した場合は1団体として数えるので、回数ではなく自治体の数で判断してください。申告が必要かどうかは他の事情でも変わるため、迷う場合は税務署か市区町村に確認してください。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては総務省のふるさと納税の控除のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。