どこから引かれるかが違う
ふるさと納税の控除を受ける方法は2つあります。確定申告と、ワンストップ特例です。控除の考え方は同じでも、いつ・どこから引かれるかが違います。
確定申告をすると、所得税の分はその年の所得税から控除されて還付され、 住民税の分は翌年度の住民税が減る形になります。 お金が戻ってくるタイミングが2回に分かれる、と考えると分かりやすいと思います。
ワンストップ特例では所得税からの控除は行われません。 総務省の説明では「その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます」とされています。 つまり還付という形ではお金が戻らず、翌年度の住民税が減る形だけになります。
ここを知らないと、ワンストップ特例を使ったあとに 「還付金が振り込まれないから失敗したのでは」と心配することになります。 ワンストップでは還付そのものが起きないので、確かめる先は翌年度の住民税の通知書です。
ワンストップ特例を使える条件
ワンストップ特例は誰でも使えるわけではありません。総務省の説明では確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限られます。
| 条件 | ワンストップ |
|---|---|
| 給与所得者で、年末調整だけで完結する | 使える |
| 寄附先が5団体以内 | 使える |
| 寄附先が6団体以上 | 使えない |
| 医療費控除を受けるため確定申告する | 使えない |
| 住宅ローン控除の初年度 | 使えない |
| 副業や不動産の所得があり確定申告する | 使えない |
| 自営業・フリーランス | 使えない |
ワンストップ特例を使える場合・使えない場合
もう1つ、手続き上の条件があります。ワンストップ特例は寄附するたびに、その自治体へ申請書を出す必要があります。 同じ自治体に3回寄附したなら、申請書も3回です。1回出せば済むものではありません。
申請書の提出には期限があり、寄附した翌年の1月10日必着とされています。 年末に駆け込みで寄附すると、書類の往復が間に合わないことがあります。 12月に寄附する場合は、この期限を頭に入れておいてください。
5団体は「回数」ではなく「自治体の数」
「5団体以内」という条件は、寄附した回数ではなく自治体の数で数えます。 同じ自治体に何回寄附しても、団体数としては1つです。
たとえば北海道の同じ町に5回寄附した場合、寄附は5回ですが1団体なので、 ワンストップ特例は使えます。逆に5つの違う自治体に1回ずつ寄附した場合は5団体で、 ここに6つ目を足すと使えなくなります。
複数のポータルサイトを使っていると、自治体の数を見失いやすくなります。 同じ自治体でも、サイトが違えば別の履歴として管理されるためです。 年内に何団体へ寄附したかは、自分で数えておく必要があります。
確定申告をすると、ワンストップは無効になる
これがいちばん損につながりやすいところです。ワンストップ特例の申請書を出していても、確定申告をすると特例は無効になります。
しかも自動的に引き継がれるわけではありません。確定申告をするなら、 ふるさと納税の寄附分も自分で申告に含める必要があります。 含め忘れると、ワンストップも無効・申告もなしという状態になり、ふるさと納税の控除が1円も受けられなくなります。
起きやすいのは、ワンストップのつもりで寄附したあとに、 年をまたいでから確定申告をすることになったケースです。 医療費が思ったよりかかった、副業の所得が申告の必要な額になった、 株式の譲渡損失を繰り越すことにした。どれも年が明けてから決まることがあります。
対策は単純で、確定申告をすることになったらまずふるさと納税の受領証明書を集めることです。 寄附した自治体すべての証明書が要ります。 ポータルサイトによっては、年間の寄附をまとめた証明書を発行しているところもあります。
どちらになるかは、先に決まっていることが多い
ここまで読むと「どちらを選ぶべきか」と考えたくなりますが、 実際には選べる場面のほうが少なくなっています。 確定申告をする理由はふるさと納税以外にもあり、 そちらが先に決まっているからです。
自分で選べるように思えますが、実際はほかの事情でどちらになるかが決まっていることが多いです。
自営業やフリーランスの人は、そもそも確定申告をするのでワンストップは関係ありません。 給与所得者でも、医療費控除・住宅ローン控除の初年度・副業の所得・ 株式の損益通算などがあれば確定申告になります。
だから「どちらが得か」を考えるより、今年は確定申告をするのかどうかを先に確かめるほうが実際的です。 そこが決まれば、ワンストップの申請書を出すべきかどうかも自動的に決まります。
手続きの手間で比べると、ワンストップのほうが軽く見えます。 ただし寄附するたびに申請書を出す必要があるので、 寄附の件数が多いと確定申告のほうがまとめて済むこともあります。 年に10件寄附して申請書を10通送るより、 受領証明書をまとめて1回申告するほうが楽だという人もいます。
迷う場合は、ワンストップの申請書を出しておくという選び方もあります。 あとで確定申告をすることになったら無効になるだけで、 そのときにふるさと納税分を申告に含めれば問題ありません。 ただし「含めれば」の部分を忘れないことが条件です。
期限が違う
どちらの方法を使うにしても、期限を過ぎると控除は受けられません。寄附の期限と、手続きの期限は別なので、両方を押さえておく必要があります。
自分の条件での上限目安と、上限を超えたときに自己負担がいくら増えるのかは、ふるさと納税、上限はいくら?超えたら自己負担はいくら増える?で計算できます。年収と家族構成から目安を出し、すでに寄附した額を引いて残りを表示します。
最後に期限を整理します。3つの期限があり、それぞれ違う日付です。
| 何の期限 | いつ |
|---|---|
| 寄附そのもの | その年の12月31日まで |
| ワンストップ特例の申請書 | 寄附した翌年の1月10日必着 |
| 確定申告 | 寄附した翌年の3月15日まで |
ふるさと納税に関わる3つの期限
寄附の期限は「決済が完了した日」で判定されるのが一般的です。 クレジットカードなら12月31日中の決済、銀行振込なら振込日が基準になります。 年末は自治体やポータルサイトの締切が12月31日より前に設定されることもあるので、実際の締切は寄附先で確かめてください。
期限の話でもう1つ。ワンストップ特例の申請書を出したあとに引っ越した場合は、翌年1月10日までに変更届を出す必要があります。 住民税は1月1日時点の住所地で課税されるので、 申請書に書いた住所と実際の住所がずれていると控除が受けられません。 年末に引っ越した人は、寄附した自治体すべてに連絡することになります。
確定申告のほうは、期限を過ぎても5年以内なら還付申告ができます。 寄附した年の翌年から5年間は、あとから申告して控除を受けられる仕組みです。 ワンストップの申請書を出し忘れた場合も、この還付申告で救えることがあります。「申請書を出し忘れた=控除ゼロ」ではありません。
上限の目安と、今年すでにいくら寄附したかを管理したい場合はふるさと納税 上限計算ツールが使えます。上限の目安がその場で出るので、 5団体を超えそうかどうかもその場で分かります。 上限そのものの決まり方はふるさと納税の上限とは?にまとめています。
