外貨預金の税金は「◯%です」と一言で答えられません。 同じ口座から出てくるお金でも、利息と為替差益では扱いが分かれるからです。 まずこの分かれ方から押さえます。一言で覚えようとすると、必ずどちらかを取り違えます。
税金のかかり方が二つに分かれる
左の利息は、円預金の利息と同じ扱いです。銀行が計算して差し引き、 残りが口座に入ります。手続きは要りませんが、あとから調整することもできません。
右の為替差益は、性質が違います。円に戻して初めて出てくる利益で、 給与や他の所得と一緒に計算する対象になります。 自分で把握して申告する必要が出てくるのは、こちらです。 銀行が計算して知らせてくれるわけではないため、 自分で預入時と払戻時の円額を突き合わせる必要があります。 外貨預金の残高照会には外貨建ての金額しか出ていないことも多く、 気づかないまま年をまたいでしまうことがあります。
利息にかかる税金
国内の銀行に預けた外貨預金の利息は、利子所得として扱われます。 受け取る時点で税金が差し引かれ、それで納税が完結する仕組みです。 円の預金の利息とまったく同じ扱いになります。
注意したいのは、外貨預金の広告に出ている金利が税引前だということです。 年4%と書かれていても、手元に残るのはそれより少なくなります。 具体的な税率は預金利息の税率のデータで確認できます。
差し引かれるのは外貨建ての利息に対してです。 受け取る時点で円に換算し直して課税されるわけではないため、通帳の外貨残高に足されるのは、すでに税引後の金額になります。
この仕組みは、便利であると同時に融通がききません。 受け取るときに完結するので手続きは要りませんが、あとから取り戻すこともできないということでもあります。 他の所得と合算して税率を下げることも、損失と相殺することもできません。 給与のように年末調整で精算される所得とは、そこが違います。
もうひとつ、外貨預金を途中で解約した場合の利息も同じ扱いです。 中途解約利率で計算し直された利息に対して、同じように差し引かれます。 金利が下がったぶん税額も減りますが、 「解約したから税金がかからない」ということはありません。
為替差益にかかる税金
為替差益とは、預けたときより円安になっていた場合に出る利益のことです。 外貨を円に戻した時点で、円ベースでいくら増えたかが確定します。
この利益は、原則として雑所得として扱われます。 利子所得のように受け取るときに引かれて終わり、という仕組みではありません。 他の所得と合わせて計算するため、その人の所得の状況によって負担が変わります。
| 利息 | 為替差益 | |
|---|---|---|
| 所得の区分 | 利子所得 | 原則として雑所得 |
| いつ確定するか | 利息を受け取ったとき | 円に戻したとき |
| 税金の引かれ方 | 受け取るときに差し引かれる | 差し引かれない |
| 申告 | 不要(分離して完結する) | 必要になる場合がある |
| 他の所得との関係 | 合算しない | 合算して計算する |
国内の銀行に預けた個人の外貨預金の場合です。取引の内容や状況によって扱いが異なることがあります。
為替差益は、いつ出たことになるのか
ポイントは、円に戻すまでは確定しないということです。 外貨のまま持っているあいだは、円換算額が増えていても課税の対象にはなりません。
いちばん上の棒が出発点、その下が戻したときの受取額です。 預けた円より長ければ差益、短ければ差損です。 この長さが決まるのは、円に戻したその瞬間になります。
気をつけたいのは、円に戻す以外の場面でも差益が出たと扱われる場合があることです。 外貨のまま別の外貨へ両替した場合や、外貨で商品を購入した場合などです。「円の口座に入ったときだけ」とは限らないということは知っておいてください。
確定申告が必要になる場合
為替差益が出ても、必ず申告が必要になるわけではありません。 給与所得者で、給与以外の所得が一定額以下であれば申告不要となる場合があります。 ただし、この判定は為替差益だけでは決まりません。
- 給与以外の所得が、その人にほかにもあるかどうか
- 医療費控除など、別の理由で申告する予定があるかどうか
- 給与の支払先が一か所かどうか
- 住民税は、所得税とは別に申告が必要になる場合があること
このように、同じ為替差益でも、人によって必要な手続きが変わります。 金額が小さいから大丈夫、と決めつけないでください。
申告に備えるなら、記録の残し方が重要になります。 必要なのは、円から外貨へ替えたときの円額とレート、 そして円に戻したときの円額とレートです。 外貨預金の取引明細には両方が残っているはずですが、何年も経ってから探すと見つけにくくなります。 預け入れた時点で控えておくと、あとの手間が減ります。
複数回に分けて預け入れた場合は、さらに整理が必要です。 そのつど違うレートで買っているため、円に戻すときにどの分を戻したのかによって 計算が変わります。取得価額の考え方は取引の内容によって異なるため、 回数が多い場合は早めに税務署へ相談しておくと確実です。
為替差損が出た場合
円高になっていた場合は、円に戻した時点で損失が出ます。 このとき、利息にかかった税金が戻ってくるわけではありません。利息と為替差損は別の所得なので、相殺されないのが原則です。
利息の税金は受け取る時点で完結しています。 あとから為替で損をしても、その完結した部分をさかのぼって調整することはできません。 「トータルではマイナスなのに、税金は払っている」という状態は起こりえます。 外貨預金の損益を考えるときに、見落としやすいところです。
雑所得の中では、他の雑所得と相殺できる場合があります。 ただし、給与所得や事業所得と相殺したり、 翌年以降へ繰り越したりすることは原則としてできません。 株式の譲渡損失のような繰越の仕組みとは、扱いが異なります。
ToMiが税額を自動計算しない理由
ToMiの外貨預金の試算では、利息にかかる税金は差し引いていますが、為替差益にかかる税金は計算していません。理由は二つあります。
1. 人によって変わるから
雑所得は他の所得と合算して計算します。 同じ10万円の為替差益でも、その人の他の所得によって負担は変わります。 一律の率をあてはめると、多くの人にとって間違った数字を出すことになります。
税率を仮に置いて表示することも考えられますが、それは避けています。 画面に出た数字は、根拠のある計算結果として読まれます。仮の税率で出した額を、確定した負担のように見せるべきではありません。
2. 申告の要否まで判定できないから
申告が必要かどうかは、為替差益の額だけでは決まりません。 ToMiが聞いていない情報で結論が変わるため、自動判定はしていません。 判定できないことを、できるように見せないという方針です。
そのうえで、円ベースで損益がどう動くかは計算できます。 ToMiでは利息にかかる税金まで含めた元本割れラインを試算することができます。 そこで出た差益に対する税金の扱いは、税務署または税理士にご確認ください。 円ベースでいくら増えたのかが分かっていれば、相談も具体的に進みます。 まず金額を把握し、そのうえで手続きを確認する、という順番になります。
