外貨預金や外貨両替の画面には、TTS・TTB・TTMという三つの略語が並びます。 どれも為替レートですが、使われる場面が違います。 この違いが分かっていないと、自分の外貨がいくらになったのかを正しく数えられません。
TTMは、その日の基準になるレート
TTMは Telegraphic Transfer Middle rate の略で、仲値とも呼ばれます。 銀行がその日の取引の基準として決めるレートで、多くの銀行では午前中に決めて、その日いっぱい使うという運用をしています。
TTMそのものでお客さまと取引することは、通常ありません。 TTMは、このあと説明するTTSとTTBを決めるための出発点です。 真ん中に基準を置き、そこから左右に離した二つのレートを提示する、という形になります。
右へ行くほど円安、左へ行くほど円高です。 真ん中のTTMから見て、外貨を買うときは右寄り、売るときは左寄りのレートが適用されます。お客さまにとっては、どちらの向きでも不利な側になるのが特徴です。
TTSは、円を外貨に替えるときのレート
TTSは Telegraphic Transfer Selling rate の略です。 Selling は「銀行が外貨を売る」という意味で、お客さまから見れば外貨を買う側になります。 外貨預金に円から預け入れるとき、外貨に両替するときに使われるのがこのレートです。
TTMより円安側、つまり数字が大きい側に設定されます。 同じ金額の円を出しても、TTMで計算したときより受け取れる外貨は少なくなります。 この差が、円から外貨へ替えるときの為替コストにあたります。
TTBは、外貨を円に戻すときのレート
TTBは Telegraphic Transfer Buying rate の略です。 Buying は「銀行が外貨を買う」という意味で、お客さまから見れば外貨を売る側になります。 外貨預金を解約して円で受け取るとき、外貨を円に両替するときに使われます。
TTMより円高側、つまり数字が小さい側に設定されます。 同じ外貨を持っていても、TTMで計算したときより受け取れる円は少なくなります。
なぜTTSとTTBに差があるのか
銀行は、お客さまと取引した外貨を市場で反対売買して、自分の持ち高を調整しています。 その過程には市場での取引コストがかかり、レートが動くリスクも負います。 TTSとTTBの差は、そのコストとリスクに対する対価という位置づけです。
差の大きさは一定ではありません。通貨によっても、取引方法によっても変わります。取引量の多い米ドルは狭く、新興国通貨は広くなる傾向があります。 また、同じ銀行・同じ通貨でも、店頭よりインターネットバンキングのほうが狭いことがよくあります。
| TTMとの関係 | 使われる場面 | |
|---|---|---|
| TTS | TTMより円安側(数字が大きい) | 円 → 外貨(預け入れ、外貨の購入) |
| TTM | 基準 | レートを決める出発点。取引には通常使わない |
| TTB | TTMより円高側(数字が小さい) | 外貨 → 円(払い戻し、外貨の売却) |
幅の大きさは銀行・通貨・取引方法で変わるため、金額は載せていません。実際の値は取引画面で確認してください。
為替手数料は、どこに含まれているのか
外貨預金の説明で「為替手数料 1米ドルあたり◯銭」と書かれているのを見たことがあるかもしれません。 この手数料は、別途請求される費用ではありません。TTSやTTBというレートの中に、すでに織り込まれています。
つまり、TTSで計算したうえでさらに手数料を引くと、二重に引くことになります。 自分の損益を数えるときは、手数料の額をどこかへ足し引きするのではなく、実際に適用されたレートをそのまま使うのがいちばん確実です。
ニュースで見るレートとの違い
テレビやニュースサイト、検索結果に出る「1ドル=◯◯円」は、市場での取引レートです。 銀行がお客さまに提示するレートとは別のものです。 市場レートを見て「今のレートで計算するとこうなる」と考えると、為替コストのぶんだけ、自分に有利な数字が出ます。
日本銀行も外国為替市況として毎営業日のレートを公表していますが、これも市場のスポットレートです。 銀行が顧客に適用するレートではありません。ToMiの外貨預金金利のデータでも、金利は掲載していますが銀行別のTTS・TTBは載せていません。 銀行・通貨・取引方法で違ううえ、日々動くためです。
自分の取引で使われた数字は、取引画面や明細に残っています。そこを見るのがいちばん早い方法です。 市場レートは相場の動きを追うためのもので、自分の損益を数えるためのものではありません。
自分に適用されたレートを確認する場所
レートの意味が分かっても、自分の取引でいくらだったのかが分からなければ計算できません。 確認できる場所は、預け入れる前と後で変わります。
預け入れる前なら、各銀行のレート一覧や、取引画面の確認ステップに出ています。 多くの銀行は、金額を入力して確定する直前に「適用為替レート」を表示します。 この画面で数字を控えておくのがいちばん確実です。 確定したあとに探すより、その場で見るほうが早く済みます。
預け入れた後なら、取引明細や取引履歴に残っています。 「約定レート」「適用レート」「換算レート」など、表記は銀行によって違いますが、 円から外貨へ替えたときの数字であれば同じものと考えて差し支えありません。 外貨預金の残高照会画面に、取得時の平均レートを表示する銀行もあります。
見つからない場合は、円の出金額を外貨の入金額で割れば求められます。 100万円を出して6,644.51ドルになっていたなら、 100万 ÷ 6,644.51 で約150.50円です。この割り算で出る数字が、実際に自分が外貨を買った値段になります。
損益を計算するとき、どれを使うか
円ベースの損益を出すときに必要なのは、次の二つだけです。
- 預け入れたときに適用されたレート(通常TTS)
- 円で受け取るときに適用されるレート(通常TTB)
預入時のレートは確定しているので、明細から拾えます。 払戻時のレートはまだ分かりませんが、受取円が預入円と同額になるレートは逆算できます。これが元本割れラインです。
ここで市場レートを使ってしまうと、二つの意味でずれます。 ひとつは、預入時のコストが計算から抜けること。 もうひとつは、払戻時に適用されるのがTTBであることを忘れて、 市場レートまで戻れば元本を回復できると考えてしまうことです。 実際にはTTBまで戻る必要があり、その差のぶんだけ余分に円安へ動かなければなりません。
もう一点、レートが決まるタイミングにも注意が要ります。 多くの銀行はTTMを午前中に決めて一日固定しますが、 市場が大きく動いた日には日中に見直されることがあります。 また、外貨預金の中には市場に連動したレートで随時取引できるサービスもあり、 その場合は注文した時点のレートが適用されます。自分がどの方式で取引しているのかは、預ける前に確認しておくと迷いません。
自分の場合を確かめる
預入額・預入時のレート・年利・期間の4つが分かれば計算できます。 ToMiでは自分のTTSを入れて元本割れラインを計算することができます。 手数料を別に入力する必要はありません。取引画面に出ていたレートをそのまま入れてください。
