家計・ライフプラン

手取りから、いくら投資に回せるか

生活費と生活防衛資金を先に引きます。順番を変えると、下がった年に売ることになります。

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この記事の要点

  • 引く順番は、手取り → 生活費 → 生活防衛資金 → 残りが投資に回せる分です。
  • 生活防衛資金が貯まるまでは、投資に回す額を抑えます。
  • 順番を変えると、相場が下がった年に生活費のために売ることになります。
  • 決まった割合はありません。残った額がその人の答えです。
  • 近い将来に使う予定のあるお金は、投資に回しません。

「収入の何割を投資に回すべきか」という問いには、 いろいろな数字が出回っています。 ですが割合から決めると、たいてい合いません。 同じ収入でも、家計の中身がまったく違うからです。

投資に回せる額は、割合ではなく引き算で決まります。 手元に置く分と、近いうちに使う分を先に取り分けて、残ったところが投資に回せる額。 この順番を逆にすると、途中で売ることになります。

「いくら投資すべきか」は答えの出ない問い

収入の2割、手取りの3割。そういう目安をよく見かけます。 分かりやすいのですが、使えるかどうかは家計しだいです。

同じ手取り30万円でも、家賃が15万円の人と5万円の人では、 残る額がまったく違います。 子どもがいるかどうか、ローンがあるかどうかでも変わります。 割合の目安は、その違いを一切見ていません。

目安がまったく無駄というわけではありません。 何も分からないところから始めるとき、置き場所にはなります。 ただし置いたあとで、自分の家計に合わせて直すものです。 そのまま守り続けるものではありません。

しかも、割合で決めると多くの場合多すぎる額になります。 目安は「これくらいできると良い」という願望から作られていることが多く、 いまの家計から出てきた数字ではないためです。

もう1つ、割合には見えていないものがあります。 いくら持っているか、です。 すでに現金が十分にある人と、これから貯め始める人では、 同じ収入でも回してよい額が変わります。フローだけを見て、ストックを見ていないのが割合の目安です。

マネック案内役):多すぎる額で始めると、半年後に「今月は無理」となる。 それが続くと、結局やめてしまうんだ。少なすぎるほうがずっとましだよ。

先に決めるのは、残しておく額

順番はこうです。投資に回す額を決めるのではなく、残しておく額を決めて、余りを回します

引く順番に意味がある手取り額面ではない生活費を引く毎月出ていく分生活防衛資金を先に置く貯まるまで投資しない残りが投資に回せる分
生活防衛資金を先に置かないと、相場が下がった年に生活費のために売ることになります。棒の長さは仕組みを示すための例です。

取り分けるのは2つ。 何かあったときのために手元に置く分と、 近いうちに使うと決まっている分です。 この2つを先に確保すれば、残りは当分使わないお金になります。

この順番にすると、回せる額が小さく出ることがあります。 それでも構いません。小さくても売らずに済む額のほうが、 大きくても途中で崩す額よりずっと役に立ちます。

当分使わないお金だから、値動きに耐えられます。 逆に言えば、取り分けを飛ばして投資に回した分は、 必要になった時点で売ることになります。 その時点が下がっている場面かどうかは、選べません。

投資でうまくいかない理由の多くは、選んだ商品ではありません。下がっている時期に売らざるを得なくなることです。 取り分けを先にするのは、その場面を作らないためです。 何を買うかより、この順番のほうが結果に効きます。

手元に置く生活防衛費

病気、失業、家電の故障。予定していない出費は必ず起こります。 そのときに投資している分を売らずに済むよう、 現金で持っておくのが生活防衛費です。

状況置いておく目安
会社員・共働き生活費の3〜6か月分
会社員・一馬力生活費の6か月分程度
自営業・フリーランス生活費の1年分程度
退職が近い多めに。収入が止まる時期があるため

基準になるのは収入ではなく生活費です。 収入が止まっても、出ていくほうは止まりません。 月にいくら出ていくかを先に知っておく必要があります。

月々の生活費が分からないまま「200万円くらい」と置くと、 多すぎて回せる額が無くなるか、少なすぎて意味をなさないかのどちらかになります。 先に家計の支出を出しておくと、この額は自動的に決まります。

置き場所は、すぐ引き出せるところにしてください。 利率を気にして解約に手間のかかる商品に置くと、 いざというときに使えず、意味がなくなります。

5年以内に使うお金は分けておく

使う時期が決まっているお金は、値動きのないところに置きます。 住宅の頭金、車の買い替え、教育費、リフォーム。

理由は単純で、使う日を選べないからです。 3年後に必要なお金が、その年に下がっていても、待てません。 待てないお金は、値動きするところに置いてはいけません。

この分は、金額と時期を書き出しておくと扱いやすくなります。 頭金を3年後に300万円、車を7年後に200万円、というように。 書き出すと、近い分と遠い分が自然に分かれます。 遠い分は、回してよい側に入れられることもあります。

「5年」に根拠のある決まりはありません。 値動きのある資産は年をまたいで上下するので、 待てる期間が短いほど、下がったまま迎える確率が上がります。 自分が待てる年数で置き換えて考えてください。

時期は決まっていないが、いつか使うかもしれないお金もあります。 これは判断が難しいところです。 目安としては、使うと決まったときに何年待てるかで分けます。 すぐ要るなら現金、数年待てるなら回してよい側に入ります。

残った分が、回せる額

2つを取り分けたあとに残っているのが、投資に回せる額です。ここではじめて金額が出ます。

出てきた額が思ったより小さくても、それが今の答えです。 小さいのが不満なら、額を無理に増やすのではなく、 残せる額そのものを増やすほうを考えます。

一度で効くものと、毎回がんばるもの固定費通信・保険・住居手続きは1回だけ毎年ずっと効く変動費食費・交際費毎回の判断が要る気を抜くと戻る続けられるほうから手を付ける
固定費は手続きが1回で、その後はずっと効きます。変動費は毎回の判断が要ります。金額の大きさではなく、続けられるかどうかで順番を決めます。

残せる額を増やすには、収入を増やすか支出を減らすかです。 支出のほうは、固定費を見直すのがいちばん効きます。月々の固定費が下がれば、そのまま回せる額が増えます。

この見方をすると、節約の位置づけも変わります。 我慢するためではなく、回せる額を作るための手段になります。減らした固定費は、そのまま毎月の積立に置き換えられます。出ていく先が変わるだけなので、生活の感覚はほとんど変わりません。

毎月いくらにするか

出てきた額を、そのまま毎月に割り振らないでください。 ボーナスや臨時収入も含んだ額になっているためです。

毎月の分と、まとまった分を分ける

毎月の給料から出せる分は、自動で積み立てる形にします。 ボーナスから出す分は、その都度決めます。毎月の額は、いちばん収入が少ない月でも出せる額に置いてください。

最初は少なめに置く

増やすのは簡単ですが、減らすのは気持ちの上で難しくなります。 はじめは出せる額の7割ほどから始めて、 半年続けて問題がなければ上げる、という進め方が安全です。

残した3割は、無駄ではありません。 想定していなかった出費が出たときの緩衝になります。ぴったりの額で始めると、1回のずれで止まります。

金額の大小より、止めずに続くかどうかが結果を分けます。 月1万円を20年続けた人と、月5万円を2年でやめた人では、 前者のほうが積み上がります。

もう1つ、税制の優遇がある口座を先に使い切る形にしておくと、 同じ額でも手元に残るものが変わります。 枠の大きさより、続けられる額のほうが先です。 枠を埋めるために無理な額を置くと、順番が逆になります。

決めた額は、変えていい

一度決めた額を守り続ける必要はありません。 家計は変わるので、額も変えるものです。

収入が増えたとき、子どもが独立したとき、ローンが終わったとき。 こういう節目で見直すと、無理なく増やせます。 逆に、収入が減ったときや大きな出費が続くときは、一時的に減らすか止めても構いません

止めることを失敗だと思わないでください。 売らずに済ませるために止めるのなら、それは正しい判断です。 いちばん避けたいのは、続けようとして生活を切り詰め、 結局あとで売ることになる形です。

止めたあと、いつ戻すかだけ決めておいてください。 「落ち着いたら」では戻らないことが多いところです。半年後に見直す、と日を決めておくだけで違います。

自分の家計で出してみる

引き算そのものは簡単ですが、 生活費がいくらかを知らないと始まりません。

ToMiでは収入と支出を登録して、毎月の収支と残せる額を見ることができます。 生活費が出れば、生活防衛費の目安もそこから決められます。

登録は要りません。入力したデータはブラウザの中だけに残ります。 支出の見直し方は固定費と変動費の分け方で扱っています。

よくある質問

手取りのどのくらいを投資に回すべきですか?
決まった割合はありません。家族構成も家賃も収入も違うので、同じ割合が誰にでも合うことはありません。生活費と生活防衛資金を引いた残りが、その人にとっての上限です。
生活防衛資金が貯まる前に投資を始めてはいけませんか?
少額から始めるのは構いません。ただし、生活防衛資金が薄いうちに大きく投じると、収入が止まったときに売る以外の選択肢がなくなります。売る時期を選べないことが、投資でいちばん不利になる条件です。
ボーナスは全額投資に回してよいですか?
年に一度の大きな支出(税金、保険料、車検など)を先に置いてからにしてください。ボーナスをあてにしている支出があると、投資に回した分をあとで取り崩すことになります。

参照した一次情報

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この記事は商品の仕組みを説明するものであり、 特定の商品の購入を勧めるものではありません。 個別の投資助言でもありません。制度や条件は変わることがあるため、実際のご判断にあたっては総務省統計局の家計調査のページや、お取引先の金融機関で最新の条件をご確認ください。