支出を減らしたいと思ったとき、 まず削るのは食費や外食だという人が多くいます。 ですが、努力の割に効かないのはそちらです。 効くのは、毎月自動で出ていっているほうです。
分けるのは、効き方が違うから
支出を2つに分けるのは、分類そのものが目的ではありません。減らしたときの効き方が違うからです。
固定費は、1回見直せば、そのあと何もしなくても効果が続きます。 変動費は、その月がまんした分しか減りません。 翌月また同じだけがまんしないと、元に戻ります。
同じ月5,000円を減らすのでも、 固定費なら1回の手続きで済み、変動費なら12回の判断が要ります。続けられるかどうかが、はじめから違います。
この違いは、うまくいかなかったときにも出ます。 変動費の節約が続かなかったとき、残るのは 「自分は意志が弱い」という感覚だけです。 固定費の見直しは、手続きが終われば意志の問題になりません。やる気に頼らない形にしておくことが、いちばん効きます。
どちらに入るか
| 固定費 | 変動費 |
|---|---|
| 家賃・住宅ローン | 食費 |
| 水道光熱の基本料金 | 外食・交際費 |
| 通信費(スマホ・回線) | 日用品 |
| 保険料 | 被服費 |
| サブスク・会費 | 医療費 |
| 駐車場・車の保険 | 旅行・レジャー |
判断の基準は「金額が毎月ほぼ同じか」ではなく、自分の行動で今月の額が変わるかです。 家賃は今月の過ごし方では変わりません。食費は変わります。
この基準で見ると、意外なものが固定費に入ります。 毎日買うコーヒーや、習慣になっている買い物は、 金額こそ毎月違いますが、行動としては自動になっています。 そういうものは、変動費の棚に置いていても減りません。
迷うものの決め方
きれいに分けられないものは必ず出ます。 そのときは、次のどちらかで決めてください。
1. 額の大きいほうに合わせる
電気代のように基本料金と従量部分が混ざるものは、 金額の大きいほうの性格で置きます。 分けて記録しようとすると、続かなくなります。
2. 見直すつもりがあるかで決める
契約を見直す対象にするなら固定費、 毎月の使い方で調整するなら変動費に置きます。分類は、次にどう扱うかを決めるためのものだからです。
分け方に完璧を求めないでください。 どちらに入れても、合計は変わりません。変わるのは、次に何を見直すかの順番だけです。 迷った時間のぶんだけ、手をつけるのが遅れます。
固定費から手をつける理由
固定費を先に見るのには、3つ理由があります。
1回で終わる
スマホのプランを変える、使っていないサブスクを止める、保険を見直す。 どれも手続きは一度きりで、効果はそのあとずっと続きます。
生活の満足度が下がりにくい
使っていないサブスクを止めても、暮らしは何も変わりません。 一方、外食を我慢すると、その分だけ生活の楽しさが減ります。同じ金額でも、失うものが違います。
額が大きい
住居費・通信費・保険料は、家計の中でも大きい部類です。 1割見直すだけで、変動費を必死に削るより大きな額になることがあります。
月3,000円の見直しでも、1年で36,000円、10年で36万円になります。 一度やれば、そのあとは何もしなくても積み上がります。努力の総量ではなく、続く期間で効いてくるのが固定費です。
順番としては、額が大きくて手続きが軽いものから見ます。 通信費とサブスクは、その両方を満たすことが多いところです。 住居費はいちばん額が大きいものの、引っ越しや借り換えが要るので、 すぐには動かせません。動かせるものから先に片付けてください。
固定費が重いかどうかの見方
いくらまでなら適正か、という決まった数字はありません。 住んでいる地域でも家族構成でも変わるためです。
代わりに見てほしいのが、手取りに対する固定費の割合です。 この割合が高いほど、収入が減ったときに動かせる余地が小さくなります。 残業が減った、転職した、そういうときに効いてきます。
固定費が軽い家計は、収入が下がっても持ちこたえられます。 逆に固定費が重いと、収入が少し減っただけで赤字になります。 割合を見るのは、節約のためというよりどのくらいの変化まで耐えられるかを知るためです。
割合そのものより、動きを見てください。 去年より上がっているなら、気づかないうちに固定費が増えています。 サブスクは、増えても月々の額が小さいので気づきにくいところです。
年に1度、契約しているものを書き出す日を決めておくと確実です。 カードの明細を1年分見れば、忘れているものが出てきます。使っていないのに払っているものは、削っても何も失いません。ここだけは、迷わず手をつけられます。
総務省の家計調査では、世帯の支出を項目ごとに公表しています。 自分の家計と比べてみると、どの項目が平均より重いかが見えます。 ただし平均はあくまで参考で、合わせにいくものではありません。
変動費は、削るより枠を決める
変動費は、我慢して減らそうとすると続きません。 月末になって「今月は使いすぎた」と気づく形だからです。
そこで、削るのではなく使ってよい枠を先に決めるやり方があります。 月のはじめに食費や趣味の枠を決めて、その中で自由に使う。 枠の中なら罪悪感なく使えるので、続きます。
この形にすると、記録の目的も変わります。 反省するために記録するのではなく、枠の残りを知るために記録する。 後ろ向きの作業ではなくなるので、続けやすくなります。
枠を決めるには、いまいくら使っているかを知る必要があります。 いきなり枠を決めると、無理な額を置いてしまい、 守れない月が続いて結局やめることになります。1〜2か月記録してから、その少し下に置くのが現実的です。
枠は、項目を細かく分けすぎないほうが続きます。 食費・日用品・自由に使う分、くらいの粗さで十分です。 細かく分けると、どの枠から出すかを毎回考えることになり、 記録そのものが面倒になってやめてしまいます。
守れない月があっても構いません。 枠は、罰を与えるためのものではないからです。使いすぎた月に、何にいくら使ったかが分かることに意味があります。 翌月にどう戻すかを決められれば、それで機能しています。
将来の見通しでも、分け方が効く
固定費と変動費の分け方は、いまの家計だけの話ではありません。 将来の見通しを作るときにも効いてきます。
退職すると、変動費はある程度自分で調整できます。 外食を減らす、旅行を控える、といった形です。 ですが固定費は、収入が減っても同じだけ出ていきます。収入が下がる時期に、固定費が高いままだと苦しくなります。
だから、退職までに固定費を下げておく意味があります。 住宅ローンを退職前に終わらせる、 車を1台にする、保険を見直す。 どれも、退職後の毎月を軽くする手です。
逆に、退職後に増える固定費もあります。 健康保険料は勤め先を離れると自分で払うことになり、 介護保険料も年齢とともに上がります。 減る前提だけで組むと、退職直後の数年が想定より重くなります。
自分の家計で分けてみる
分けること自体は難しくありませんが、 手で集計すると、毎月やり直すことになります。
ToMiでは収入と支出を項目ごとに登録して、月ごとの収支を見ることができます。 登録した支出はそのまま将来の見通しにもつながるので、 いまの家計を直した効果が、何年後の残高に効くかまで見られます。
登録は要りません。入力したデータはブラウザの中だけに残ります。 年ごとの表の読み方はキャッシュフロー表の作り方で扱っています。
