保険料を払っていれば何でも控除できる、というものではありません。 契約の内容と、保険金を受け取る人と、保険料を実際に負担した人。 この3つが条件になります。
対象になる契約の条件
生命保険料控除の対象になるのは、 保険金などの受取人のすべてが本人か配偶者、その他の親族である契約です。 そして、その保険料を本人が負担していることが要ります。
そのうえで、区分ごとに追加の条件があります。 同じ「保険」でも、どの区分に入るかで条件が変わるということです。 区分は自分で決めるものではなく、保険会社が控除証明書で示します。
条件が3つに分かれているのは、それぞれ守ろうとしているものが違うからです。 受取人の条件は、家族の生活を守るための保険にかぎるという線引きです。 負担者の条件は、払っていない人が控除だけ受けることを防ぐためのものです。 区分ごとの条件は、貯蓄に近い商品と保障のための商品を分けるためにあります。 どれも「保険なら何でも」とはしない、という同じ考え方から出ています。
保険料を負担した人が誰か
いちばん見落とされるのがここです。 控除を受けられるのは保険料を実際に払った人であって、契約者の名前ではありません。
契約者が自分でも、引き落とし口座が配偶者のものであれば、 実際に負担しているのは配偶者ということになります。 この場合、控除を受けるのは配偶者の側です。 逆に、契約者が家族でも自分が負担していれば、自分の側で控除できる余地があります。
一般生命保険料の条件
一般生命保険料になるのは、生存または死亡を原因として保険金が支払われる契約です。 死亡保険、養老保険、学資保険などが当たります。
条件は、保険金の受取人が本人・配偶者・その他の親族であることです。 受取人に親族以外が含まれていると、その契約は対象になりません。 受取人を変更したときは、控除の対象かどうかも変わる可能性があります。
旧契約では、医療保険や介護保険もこの区分に入ります。 介護医療保険料という区分が新契約でできたものだからです。 旧契約の医療保険を介護医療の欄に書かないよう注意してください。
介護医療保険料の条件
介護医療保険料になるのは、入院や通院などにともなう給付を約束した契約です。 医療保険、がん保険、介護保険などが当たります。 新契約でできた区分なので、2012年1月1日以後の契約だけが対象です。
受取人の条件は一般生命保険料と同じで、 本人・配偶者・その他の親族であることが求められます。 入院給付金の受取人が本人になっている契約が多いので、 この条件で外れることは実際にはあまりありません。
注意したいのは、医療保険に死亡保障が付いている場合です。 こうした契約では、保険料が介護医療と一般に分かれて証明されることがあります。 1つの契約だから1つの区分、とは限りません。 証明書に区分ごとの額が書かれているので、そのとおりに分けて入れてください。
個人年金保険料は特約で決まる
個人年金保険料控除は、条件がいちばん細かい区分です。税制適格特約が付いている契約だけが対象になります。 商品名が個人年金保険でも、この特約が付いていなければ対象外です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 年金の受取人 | 契約者本人または配偶者 |
| 保険料の払込期間 | 10年以上 |
| 年金の受取開始 | 60歳以後 |
| 年金の受取期間 | 10年以上、または終身 |
これらを満たしたうえで、税制適格特約を付けている契約が対象になります。 一時払いの個人年金は払込期間が10年以上にならないため、 この特約を付けられず、対象になりません。
特約がない場合は一般生命保険料になる
対象外だからといって、控除がまったく使えないわけではありません。 税制適格特約が付いていない年金保険の保険料は、 一般生命保険料として扱われます。区分が変わるだけです。
ただし一般生命保険料の枠は、死亡保険とも共有しています。 すでに死亡保険で枠を使い切っている人は、 年金保険の保険料を足しても控除額が増えないことがあります。 特約の有無で結果が変わるのは、この枠の取り合いが起きるからです。
対象にならない代表例
- 保険期間が5年未満の貯蓄保険や貯蓄共済。積立ての性格が強いため対象外とされています。
- 外国の保険会社と国外で結んだ契約。国内で結んだものとは扱いが違います。
- 財形貯蓄にあたる保険。別の非課税の仕組みがあるためです。
- 信用保険や傷害保険など、人の生死に関係なく支払われる契約。
- 会社が負担している団体保険の保険料のうち、本人が負担していない部分。
対象外の契約は、そもそも控除証明書が送られてきません。 そのため「証明書が届いた契約だけを入れる」という手順にしておけば、 対象外のものを誤って入れる心配はほとんどなくなります。 自動車保険や火災保険の保険料も、生命保険料控除には入りません。 火災保険のうち地震保険の部分は、地震保険料控除という別の控除の対象です。
逆に、証明書が届いているのに使っていない契約があれば、それは使い忘れです。 対象になるかどうかを自分で判断しようとするより、 届いた証明書を全部並べるほうが早く、間違いも起きません。
家族の保険料を払っている場合
子どもの学資保険や、親の医療保険の保険料を自分が払っている場合も、 条件を満たせば自分の控除にできます。 受取人が親族の範囲に入っていて、自分が実際に負担していることが要件です。
このとき、契約者が家族のままでも構いません。 ただし、実際に負担していることを説明できる状態にしておいてください。 自分の口座から引き落とされている、といった事実が根拠になります。
共働きの世帯では、どちらが負担するかで世帯全体の控除額が変わることがあります。 片方の枠がすでに埋まっている場合、 もう片方が負担したほうが世帯としては引ける額が増えるためです。 ただし負担の実態を伴わない付け替えはできません。
税率の違いも効きます。所得税の税率は課税所得によって変わるので、 同じ控除額でも、税率の段が上の人のほうが減る税額は大きくなります。 枠に余裕があるなら、収入の多い側が負担しているほうが世帯としては効きます。 ただしこれも、実際にその人が払っていることが前提です。 口座を分けているだけで実態が伴わなければ、控除の付け替えにはなりません。
子どもが独立して自分で保険料を払うようになった場合も、 その時点から控除を受けるのは子ども本人の側に移ります。 親の年末調整に入れたままになっていないか、一度確かめておくとよいところです。
迷ったときの確かめ方
対象になるかどうかの最終的な確認は、保険会社にしてください。 契約の中身と特約の有無を確かめられるのは保険会社だけで、 商品名や証券の見た目からは判断できないことがあります。
実務的には、届いた控除証明書がその答えになります。 証明書が届いていれば対象で、そこに区分も新旧も書かれています。 あとは、その額でいくら引けるのかを計算するだけです。
ひとつだけ、証明書からは分からないことがあります。誰が保険料を負担しているかです。 証明書の宛名は契約者なので、実際の負担者とずれていても証明書には表れません。 ここだけは自分で確かめる必要があります。
ToMiでは証明書を見ながら控除額と使い忘れを確認することができます。 保険料を負担しているのが自分かどうかも診断の質問に入っているので、 そこで取り違えたまま手続きへ進むことがありません。
