年末調整の書類と一緒に、保険会社から封筒が届きます。 中に入っているハガキや用紙が生命保険料控除証明書です。 申告に使うのはこの証明書で、契約したときに受け取った保険証券ではありません。
控除証明書は、保険証券とは別のもの
保険証券は、契約した内容を証明する書類です。 保障の中身や保険金額が書かれていますが、 その年にいくら保険料を払ったかは書かれていません。 控除の計算に要るのは払った額のほうなので、証券では足りません。
控除証明書は、その年の保険料の払込状況を保険会社が証明する書類です。 税務署や勤務先に対して「この人はこの契約にこれだけ払っています」と示すためのもので、 毎年新しく発行されます。去年の証明書を今年の申告には使えません。
証券と証明書を取り違えると、そもそも書く数字が見つかりません。 証券に書かれているのは月々の保険料や保険金額で、その年の払込合計ではないためです。 月払いの保険料に12をかけて自分で計算する人もいますが、 年の途中で契約したり、保険料が変わったりしていると合いません。 証明書の額をそのまま使うのが、いちばん確実で速い方法になります。
様式は保険会社ごとに違いますが、載っている項目はおおむね共通です。 どこに何が書いてあるかさえ分かれば、会社が違っても迷いません。
いつ、どうやって届くか
多くの保険会社が10月ごろから発送します。 年末調整の書類を出す時期に間に合うように設計されているためです。 ただし年の途中で契約した場合や、払込方法によっては届く時期がずれることがあります。
紙の郵送だけでなく、電子的な証明書を発行する会社も増えています。 年末調整の手続きを電子化している勤務先では、 そのデータをそのまま提出できることがあります。 紙で受け取るか電子で受け取るかは、契約者側で選べる会社が多くなっています。
封筒には控除証明書のほかに、契約内容のお知らせなど別の書類が入っていることがあります。 年末調整の時期にまとめて送られてくるので、どれが控除証明書か分からなくなりがちです。 「生命保険料控除証明書」という表題が付いているものを探してください。 はがきの形で届くこともあり、うっかり広告と一緒に捨ててしまう事故がよく起きます。
共済や少額短期保険にも、控除の対象になるものがあります。 対象であれば同じように証明書が届くので、生命保険会社のものだけを探していると見落とします。 その年に保険料を払った先を一度すべて書き出してから、証明書と突き合わせるのが確実です。
区分の欄を最初に見る
最初に確かめるのは区分です。 一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料のどれに当たるかが書かれています。 「適用制度」「控除の種類」といった名前の欄になっていることもあります。
区分を自分で判断しないでください。 商品名からは分からないことがあるためです。 たとえば個人年金保険という名前でも、税制適格特約が付いていなければ 個人年金保険料控除の対象にはならず、一般生命保険料として扱われます。 この区別は証明書にしか書かれていません。
区分が大事なのは、区分ごとに別の上限がかかるからです。 同じ金額でも、どの区分に入るかで引ける額が変わります。 書き写すときに区分を取り違えると、計算そのものがずれます。
新・旧の記載は、契約年より優先する
次に見るのが新契約か旧契約かの記載です。 「新制度」「旧制度」「新契約」「旧契約」など、会社によって書き方が違います。
ここで契約した年から推測しないでください。 2012年1月1日という境目はありますが、その後の更新や特約の中途付加で、新契約の扱いに変わることがあります。 2010年に契約した保険が、いま新契約として証明されていることは珍しくありません。
申告額と証明額は違う
金額の欄には、たいてい2つの数字が並んでいます。 この2つは意味が違うので、どちらを使うかを間違えないでください。
| 欄の名前 | 意味 |
|---|---|
| 証明額 | 証明書を作った時点までに払い込まれた額 |
| 申告額 | 12月までに払い込む予定を含めた、その年の見込み額 |
年末調整では通常、申告額のほうを使います。 その年の12月末までに払い込む前提で計算するためです。 途中で解約したり、払込を止めたりした場合は実際の額が変わるので、そのときは実績で書きます。
1枚に複数の契約が載っていることがある
同じ保険会社で複数の契約がある場合、1枚の証明書にまとめて載ることがあります。 このとき、契約ごとに区分が違うことがあるので注意が必要です。 1枚だから1件、とは限りません。
逆に、1つの契約が2つの区分に分かれて載ることもあります。 主契約が一般生命保険料、医療特約が介護医療保険料、というような場合です。 区分ごとに金額が分かれて書かれているので、それぞれの欄の額を使います。
合算するのは、区分と新旧が同じものだけ
複数の証明書がある場合、合計してから計算するのではありません。 区分と新旧が同じものだけを足して、その合計に表を当てはめます。 区分をまたいで足すと、区分ごとの上限が働かなくなり、額が合わなくなります。
間違えやすいのは、同じ区分でも新旧が違う場合です。 一般生命保険料の新契約と旧契約が両方ある人は、この2つを足しません。 それぞれ別の表で計算したうえで、合計した場合・新契約だけの場合・旧契約だけの場合の 3つを比べ、いちばん大きい額を採ります。足すと不利になることがあるためです。
証明書が何枚もある人は、まず区分と新旧の組み合わせごとに紙を分けてから、 その組み合わせの中だけで金額を足すと間違えません。 先に全部を足してしまうと、あとから分け直すことになります。
見つからないときの再発行
証明書をなくした場合は、保険会社に再発行を依頼できます。 電話やWebで受け付けている会社が多く、契約者本人であれば手続きは簡単です。 年末調整の時期は問い合わせが集中するので、早めに動くほうが確実です。
電子的な証明書を選んでいる場合は、保険会社の会員ページから再取得できることがあります。 紙の再発行より早く手に入るので、締切が近いときはこちらを確かめてみてください。
再発行には数日から2週間程度かかることがあります。 勤務先の年末調整の締切に間に合わない場合は、 あとから自分で申告する方法も残っているので、慌てて誤った額を書かないでください。
証明書を見ながら控除額を出す
区分・新旧・申告額の3つがそろえば、控除額は計算できます。 ただし手順は単純ではありません。区分ごとに別の表を当て、 区分ごとの上限で切り、3区分を足してもう一度上限で切る。 これを所得税と住民税で2回やることになります。
ToMiでは証明書を見ながら控除額と使い忘れを確認することができます。 証明書1枚ずつ、区分・新旧・年間の支払保険料・申告状況を入れるだけで、 所得税と住民税の控除額と、まだ反映されていない額が出ます。
対象になる契約かどうかの最終的な確認は、保険会社にしてください。 計算はここで済ませられますが、契約の中身を確かめられるのは保険会社だけです。 証明書は申告が終わったあとも、その年分の根拠として残しておくと安心です。
