ToMi マネータイプ診断の作り方と、言えないこと

この診断は検証された心理尺度ではありません。 お金の扱い方について、本人が申告した内容を整理したものです。 何をどうやって出しているのか、どこからがToMiの表示上の都合なのかを、このページに全部書きます。

1. この診断が何をするものか

48問に答えると、お金についての考え方が、8つの軸それぞれについて0〜100のスコアで出ます。 そのうち、中間からいちばん離れている2つの軸の名前を並べたものが、タイプ名になります。

型に当てはめてはいません。前の版は4軸を二分して16通りの表を引き、そこに用意しておいた人物名を出していました。 表を引くと、同じ型の人の差が全部消えます。 いまは、その人のスコアを見てから名前を作ります。名前は表の見出しではなく、スコアの要約です。

目的は、軸ごとに傾向・強み・注意すべきこと・対策・確かめる数字を出すことです。どちら側に出ても、対策と確かめる数字が決まるように作ってあります。 あわせて、その考え方と相性のよい資産の種類と持ち方も出しますが、これは勧めているものではありません(§10)。

タイプ名は、連続したスコアを読みやすく要約するためのToMi独自の言い方です。 人を何種類かに分けられる、という主張ではありません。

2. 8つの軸を、対等に置いている

前の版は、測るものを性質で4つの層に分けていました。 TYPE(考え方4軸)・PROFILE(補足4軸)・PRACTICE(できていること5領域)・ VIEW(いまの経済の見方6項目)です。

これをやめました。理由は2つあります。

  1. PRACTICE はできているかどうかを測っていました。考え方の診断に混ぜると、結果が通知書になります。
  2. PROFILE を「補足」に置いていたので、 その人でいちばん効いている特徴が補足側にあっても、脇へ追いやられていました。主と補足を決めているのは、こちらの都合です。

いまは、考え方の軸8本だけを、対等に並べています。 並び順は固定ではなく、その人で中間から離れている順です。上2本がタイプ名になり、8本とも同じ形で結果に出ます。

「そちらへ動かしましょう」と書ける軸は、1本もありません。8軸のどちら側にも、強みと、注意すべきことがあります。 「できている/できていない」は、この診断では測っていません。

3. 何を訊いているか

8軸に各6問で、合計48問。任意の設問はありません。 訊いているのはお金についての考え方だけです。性格の設問は1問も入っていません。

軸両側
価格変動への姿勢安定重視/積極投資もとは「安定 ↔ 成長」だったが、成長という価値の高い言葉を片側に置いていた。「成長したいか」と訊かれれば、多くの人が成長側をよいものとして受け取る。そのうえ、リスクを取れば成長するとも限らない。抑制側は下落局面で売らずに済む形を選べ、許容側は期間の長さを使える。
リターンの受け取り方インカム派/資産成長派インカムは手応えがあって続けやすく、取り崩す局面の設計も簡単。キャピタルは複利が効き、受け取らないぶん税が繰り延べられる。設問には「手取りが同じなら」と条件をそろえた項目を混ぜて、配当についての知識の差ではなく、受け取り方の好みが出るようにしてある。
計画の起点目標逆算派/積み上げ派「いま/先」は、先を見る側が賢く見えるので捨てた。「逆算 ↔ 積み上げ」も、逆算のほうが計画的で高度に見える。どちらも将来を見ていて、違うのは何を起点に決めるかだけなので、そう書いてある。
運用の決め方ルール派/状況判断派測っているのは決め方の好みであって、仕組みができているかではない。ルール側は前提の変化に気づけず、状況調整側は下落局面で手が止まる。
判断のよりどころ自己判断派/情報重視派流されない強みと、条件を取りこぼさない強みが両側にある。以前は補足の軸に置いていたが、対策が「調べましょう」に寄るのを避ければ、両側とも同じ重さで書ける。
管理の粒度ざっくり派/細かく見る派細かく見る=把握できている、ではない。見たい解像度の好みであって、答えられるかどうかとは別。どちらにも、見落としと手間のどちらかが付く。
後悔の方向損失回避派/機会重視派価格変動への姿勢と近い疑いがある。パイロットで相関が .70 を超えたら統合する。いまは別に持ち、重なったときに何が起きるかを組み合わせの規則で出している。
選択肢の広さ絞り込み派/比較検討派深く見る側は中身を理解でき、広く見る側は条件の良いものを拾える。どちらも、決まらなくなる形と、見落とす形の両方を持っている。

回答は5件法で、 「まったく当てはまらない〜とても当てはまる」の1種類だけです。 前の版は訊き方が3種類あったので画面を区切っていましたが、 いまは全問とも同じ訊き方なので、区切りを作っていません。

各軸には、逆転項目を半分ずつ混ぜてあります。 全部を同じ向きで訊くと、内容を読まずに端へ寄せた回答が、そのままスコアになるためです。 逆に、読まずに全部同じ値を押すと8軸ともちょうど中間に出ます。 それを見分ける仕組みは別に持っていて、疑わしいときは結果の先頭に確認を出します (結果は止めませんし、決めつけもしません)。

知識を問う設問は入れていません。正解のある問題を出して点を付けることはしません。 ToMi は判断材料を出す場所で、利用者を採点する場所ではないためです。

4. 「できているか」を測るのをやめた理由

さらに前の版の4軸は把握・仕組み・時間の向き・外の知見でした。このうち「把握」と「仕組み」は、どう書いても片側が上手に見えます。 「把握しましょう」「仕組みにしましょう」と助言したくなる時点で、 それは考え方の違いではなく、できているかどうかを測っています。

なぜそうなったかもはっきりしています。16タイプを作るために4軸が必要で、4軸を埋めるために実践度を混ぜたからです。結果として、診断が通知書になりました。

次の版では、実践度を PRACTICE として別の層に切り出しました。 通知書ではなくなりましたが、同じ画面に並んでいる以上、 点の低い領域は「直すべきところ」に見えます。層の名前を出しても、その読まれ方は変わりませんでした。 いまは、実践度そのものを外しています。

いま、軸の候補はこの4つの問いに通しています。

  1. その項目は「できているか」を訊いていないか。
  2. 片側に「そのほうが望ましい」と書けてしまわないか。
  3. 助言として「そちら側へ動かしましょう」と言いたくならないか。
  4. 両側それぞれに、強み・注意すべきこと・対策を書けるか。

1つでも引っかかったものは、軸に置いていません。8軸はすべてこの4つを通っています。 以前 PROFILE に落としていた「判断のよりどころ」「見る細かさ」なども、 対策を「調べましょう」に寄せずに書き直したうえで、いまは対等な軸として入れています。

5. 既存の尺度を使わなかった理由

以前の版は、公有の性格尺度(IPIP)60問を使い、ビッグファイブの得点をお金の行動へ 読み替えていました。設問60問のうち、お金に触れるものは1問もありませんでした。測っていたのは性格で、お金の話は一度も訊いていない状態でした。

金融行動を測る既存尺度も調べました。OECD/INFE の Toolkit 2026 は CC BY 4.0 で、 翻訳も商用利用も認められているので、使うこと自体はできます。 それでも使わなかったのは、帰属と免責の表示を背負ったうえで、訳の妥当性は検証されないままになるためです。それなら ToMi が自分の言葉で書くほうが筋が通ると判断しました。

5つ目の次元として、ビッグファイブの開放性(IPIP 10項目)を入れることも検討し、やめました。 IPIP の配布元はこの因子を Factor V (Intellect or Imagination) と呼んでいて、 10項目のうち5項目が語彙力・理解の速さ・抽象的思考についての自己申告です。 「新しい選択肢を試すか」を訊いている項目は1つもありませんでした。 因子の名前だけを見て決めかけていたので、落としました。

既存尺度の項目を、言い換えて使うこともしていません。 改変は翻案にあたるうえ、改変した時点で、公表されている信頼性も妥当性も 当てはまらなくなります。法的な危険を負って、その見返りをゼロにする選択になります。

6. どこから組み立て方を借りたか

ToMi が独自に作った設問です。特定の尺度の項目は使っていません。枠組みの考え方は OECD/INFE・金融庁・CFPB を参照しましたが、設問文も、軸の決め方も、採点式もすべて ToMi のものです。

OECD/INFE Toolkit for Measuring Financial Literacy, Inclusion and Well-Being 2026

借りたもの:組み立て方。行動と態度を分けること、逆転項目を混ぜること、1つの指標に複数の項目を当てること。採点式は借りていない。 Toolkit は閾値で0/1に落として加算するが、ToMi は項目平均を0〜100にそろえて、連続値のまま持つ。

借りていないもの:設問文。この Toolkit は CC BY 4.0 で翻訳も商用利用も認められているが、ToMi は項目を使っていない。訳の妥当性が検証されないまま帰属表示だけ背負うより、自分の言葉で書くほうが筋が通ると判断した。

金融庁「最低限身に付けるべき金融リテラシー」/金融リテラシー・マップ

借りたもの:4分野の分け方(家計管理/生活設計/金融商品の選択/外部の知見の適切な活用)。分野を分けて訊く、という組み立てのほうだけを借りている。マップは到達目標なので、そのまま軸にすると「できているか」を測ることになる。ToMi は同じ分野を、できているかではなく**どちらのやり方を好むか**で訊いている。

借りていないもの:設問文。マップは教育の到達目標であって、測定の道具ではない。

CFPB Financial Skill Scale

借りたもの:知識とスキルを分ける考え方。知識を問う設問を1問も入れていないのは、これによる。ただし ToMi は、スキルの高低も測っていない。測っているのは考え方の向きだけ。

借りていないもの:設問文と採点方法。CFPB が作った資料は public domain で使えるが、英語・米国規準なので、そのままでは当てはまらない。

金融広報中央委員会「金融リテラシー調査(2022年)」

借りたもの:どの軸が半々に割れやすいかの手がかり。近視眼的行動バイアスが強い人は全国で46.4%、損失回避は74.2%。4分の3が同じ側に来るものは、型の軸に向かないと判断する材料にした。ただし ToMi 側で分布を調整することはしない。境は理論上の中点に固定してある。

借りていないもの:設問文。同調査のサイト規約は、転載に事前の承諾を求め、改変を明確に禁じている(データそのものは出典明記で自由に使える)。

7. 採点の手順

完全に決定論です。同じ回答からは、必ず同じ結果が出ます。 乱数も、日付も、生成AIも使っていません。

  1. 逆転項目は、6から押した値を引いて向きをそろえる。
  2. 軸ごとに項目の平均を取る(1.0〜5.0)。
  3. (平均 − 1)÷ 4 × 100 で、0〜100にそろえる。
  4. 保存するのは、この0〜100です。
  5. 表示するときだけ、50以上なら高い側、それ未満なら低い側と呼ぶ。二分するのは、ここが最後の一手です。名前も、この最後の段階で作ります。
連続値を最後まで持ちます。さらに前の版は項目を先に0/1へ落として足していました。中央への張り付きは避けられましたが、 代わりに個人差が16通りしか残りませんでした。 同じ「4点」でも「全部4」と「半分5・半分3」が区別できません。 表示の段階でしか二分しないなら、途中で落とす理由がありません。

8. タイプ名の作り方と、中間の決め方

8軸それぞれの0〜100を見て、50から離れている順に並べます。上2本の、出ている側の呼び名を「×」でつないだものがタイプ名です (たとえば「積極投資 × インカム派」)。

名前の候補をあらかじめ用意していないので、どの名前が何通りあるか、という数え方自体がありません。同点のときだけ、軸の定義順で先にあるほうを採ります(同じ回答から違う名前が出ないようにするため)。

どちら側かを分ける中間は50(理論上の中点)に固定しています。

回答の中央値で切って、名前が均等に散るように調整することはしません。それは「50対50にするための調整」そのもので、分布のほうを結論に合わせる操作です。 分布が偏るのは、偏った人が受けているという情報であって、不具合ではありません。 その結果、出やすい側と出にくい側に差が生まれます。

この設問について、日本人の規準値は存在しません。 自分が全体の中でどのあたりにいるかは、この診断では分かりません。 出しているのは、あくまで回答そのものを0〜100に直した値です。偏差値でも順位でもありません。

軸を掛け合わせたときだけ出てくることも出しますが、 こちらは両方の軸が35以下か65以上、 つまりはっきり出ているときだけに限っています。中間のすぐ近くで発火させると、ほとんどの人に全部出てしまい、 「組み合わせで出てくること」という意味がなくなるためです。

9. 中間の近くにいる人のこと

前の版で、1本の軸あたりの問数を変えて1問ぶれると側が反転する人の割合を測りました(相関を入れた模擬回答20,000件)。

1軸あたり1問で反転する人
4問23%
8問11%
10問11%
12問8%
20問4%

4問から8問への改善は大きいのですが、そのあとは平らです。 20問にしても1割近くが中間の近くに残るので、問数では解決しきれません。 それなら短くして、最後まで答えてもらえる確率を上げるほうが効くと考え、 1軸6問にしました。

ちょうど50に着く人もいます。これも防いでいません。 問数を奇数にしても、全問まん中を押せば必ず50になるので、防ぎようがないからです。 その場合は「ちょうど中間です」とそのまま出します。

消せない以上、隠しません。 スコアが45〜55に入っている軸には「中間の近く」の印を出します。 この幅は5件法1問ぶんの差より小さく、別の日に答えれば反対側になりうる範囲です。8軸ともはっきり出なかった場合は、 タイプ名より軸ごとのスコアを見るように、結果の先頭で書いています。

10. この診断で分からないこと

  • これは検証された心理尺度ではありません。お金についての考え方と、できていることを、本人の申告から整理したものです。信頼性係数(α)や妥当性の裏づけはありません。
  • 回答そのものを保存していないので、検証ができていません。 α・因子分析・再検査の相関を出すには回答の保存が要りますが、それは診断を受けることと抱き合わせにせず、別に同意をいただくべきものです。できていないことなので、そのまま書いておきます。
  • 訊いているのは自己申告です。実際の口座や明細を見ているわけではないので、本人の見立てがずれていれば、結果もずれます。
  • 日本人の規準値はありません。 0〜100は回答そのものを直した値で、偏差値でも順位でもありません。自分が全体のどのあたりにいるかは分かりません。
  • 二分する中間は50に固定してあります。 分布が半々になるように動かしていないので、出やすい側と出にくい側に偏りがあります。これは不具合ではなく、分布のほうを結論に合わせない、という設計です。
  • 中間のすぐ近くにいる人がいます。 45〜55に入った軸は、別の日に答えれば反対側になることがあります。その軸には印を出しています。
  • タイプ名は、いちばんはっきり出た2つの軸を並べただけのものです。あらかじめ用意した型に当てはめてはいませんし、人を何種類かに分けられるという主張でもありません。
  • 8軸に優劣はありません。 どちらの側にも強みと、注意すべきことがあります。「できている/できていない」は、この診断では測っていません。
  • 相性のよい分野・手法は、勧めているものではありません。 その考え方だとどちら側の話になりやすいか、という対応表です。資産額・使う時期・耐えられる下落幅を訊いていないので、何をいくら持つかは決まりません。
  • この結果から、特定の金融商品を勧めることはありません。考え方から資産の額を推し量ることもしません。

11. 回答データの扱い

回答も結果も、この画面の中だけで計算しています。答えている途中で ToMi のサーバーへ 送られることはありません。

ログインした状態で診断を終えたときだけ、軸ごとの0〜100と、版を保存します。タイプ名も文言も保存しません(スコアから毎回組み立て直します)。設問への回答そのものは保存しません。保存するなら、そのための同意を別に取るべきものだからです。 保存した結果は、いつでも本人が削除できます。

回答を預かっていないので、信頼性係数(α)も、因子分析も、再検査の相関も、いまは出せません。出せるようにするには回答の保存が要りますが、 それは診断を受けることと抱き合わせにせず、別に同意をいただくべきものです。 できていないことなので、そのまま書いておきます。

12. 版

設問・判定方法・文言のどれかを変えたら、版を上げます。保存した結果にも版が付くので、 あとから「どの版で出た結果か」を追えます。

診断全体v8.0.0
設問v9.0.0
判定方法v9.0.0
文言v18.0.0
引用したのは、実際に組み立ての参考にした資料だけです。 使っていない研究を、根拠として並べることはしていません。

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